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ボクらの顛末=エピローグ



――あれから1年……。



 今日は入れ替わり記念日として、真清……ううん、直とデートの約束をして、駅前広場で待ち合わせをしている。

 いつかは元に戻るかな? なんて期待をしていたけれど、結局戻ることもなく1年が過ぎてしまった。今振り返ると、ボクも嫌がってたのは最初の内だけで、結局慣れてしまった後はすんなり受け止めてしまったのかもしれない。

 そうそう、一人称は今も『ボク』を使ってる。体育祭の時に気合いを入れてたらポロッとみんなの前で『ボク』って言ってしまって、ギャップが良いとか言われて「そのまま『ボク』を使ってください!」とみんなにお願いされるという事態に……。

 一年間、ボクも色々と苦労したんだよ……。

 この一年を振り返っていたら、結構な時間過ぎてそうだな、と思って広場のシンボル、時計台を見る。見事に直と約束した10時を10分も過ぎてた。


「遅い……大丈夫かしら?」


 ひとつため息を吐く。


「お姉さんひとり?」


 ふいに掛かった声に反応して顔を上げると、チャラそうなお兄さんが2人立ってた。明らかなナンパ目的っぽい。反応したのはまずかったかも……。


「暇なら俺たちと遊びに行かない?」


「お金なら心配ないぜ? 俺たち出しちゃう」


 口々にペラペラと話し続けるふたりにため息出ちゃう。


「ごめんなさい。ボク、待ち合わせしてるので他を当たって頂けませんか?」


「え~? どうせ待ちぼうけなんでしょ?」


「うぐっ……」


「さっきから時計ばっか気にしてるの、見えてたんだよ~?」


「そうそう、こんな可愛いお姉さんほったらかしの彼氏なんて忘れてどっか行こうよ?」


「……直は、直は絶対来るわ! 勝手なこと言わないで!」


 そう叫んだ時、ぬぅっとボクの両肩に腕を回されて――

「きゃあっ!?」

――後ろに引っぱられた。


「そうそう、コイツはオレの彼女なんで諦めてもらえます?」


 声の主は直だ。たぶん、直の頭がボクの頭に乗っかってるんだと思う。


「なんだよ、まったく……上玉だったのによ……」


「来るならもっと遅く来いよなっ!」


 変な捨てゼリフを吐いて、ナンパ男たちが去っていく。


「直、遅い!」


「ごめんな? サイフ忘れてさ、取りに行くハメに……な」


 ポンポンとボクの頭を叩く直。1年前はほとんど身長は同じだったのに、今のボクと直の間には20センチ近くも身長差がある……。男女で成長に差があるなんて不公平だよね?


「そんなに怒るなよ? 今日はオレのおごりで良いからさ」


 上目遣いににらんでると爽やかな笑顔でスルーされました。というか、ボクの本心に気付いてくれなくて、ちょっとだけムカってした。


「まあ、おごりならそれはそれで許してあげなくもないわよ?」


「お姫さまのご機嫌が直るのでしたら」


「お姫さま扱い禁止です!」


 今のボクと直の関係は1年前よりも一歩進んでる。

 ボクたちはそれぞれの立場を受け入れて、ボクは女らしく、直は男らしくとそれぞれ自分を磨いている。

 直が身長伸ばしたのも、あれからバスケ部に転属して身長を伸ばす努力をしたからだ。


「1年って早いですね? 直も今では178センチで細マッチョ。それでいて美形のイケメンさんに成長してしまうなんて……」


 『真清』が思ってたとおり、『直』はイケメンさんになって驚きだ。

 内面的にはちょっと男らしくなってるけど、相変わらず美への追求は人一倍厳しいのは変わりないけどね……。


「そう言うお前だって、オレが真清やってるときよりもイイ女になってるじゃないか? さっきなんて『きゃあ』なんて黄色い声出しちゃってさあ?」


「うぐっ……そんなことないっ! これはそう……直のせいなのよ!」


「じゃあ、オレの成長も真清のせいだな。苦労したんだぜ? 意外に注文多くってさ」


「それは……まあ? カッコ良くなれるならその方が良いもの……」


 若干……いや結構? 『直』がどんどんカッコ良くなるのが楽しみでしかたなかったってのはあるかも……。

 1年前のあの日、直に迫られた時に『直』がカッコ良いということに気付かされて、ボクもナルシストに目覚めてしまったという黒い歴史に1ページ……。


「ほら、そろそろ行こうぜ? 今日楽しみにしてたんだぜ? オレ」


「うん、ボクも楽しみにしてた。今日こそは服選び負けないんだから! 絶対直に似合った服選んでやるんですからね?」


「オレだって! 真清に似合う服選びなんて年期が違うからな! 絶対負けないぜ?」


 あの日、ボクと真清が入れ替わってからの人生は思わぬ方向にねじれちゃったけど、今じゃあお互いの服選びに全力で競い合うような、そんな幸せな生活を送っています。


「オレは佐々木真清が世界で一番好きだ」


 見上げるボクの目を真っ直ぐ見下ろして、直が言い切った。すっごく恥ずかしいよ、そのセリフ。顔が熱くてしかたない。


「ボ、ボクも……神崎直が――」


 つないだ右手をさらに強く握って、左腕を直の左腕に絡ませて腕を組んで笑いかける。


「――世界で一番大好きです」


 どうやらボクも筋金入りのナルシストになってしまったみたいです。






                         《ハッピーエンド?》

と言う訳でちょっとした短編として上げてみました。

久しぶりに全力を2日間だけ出してみました。

案外すんなり書けて楽しかったかも?

因みに設定と構成は15分で作りました。時間があったらもっと長編でラブコメちっくにしても良かったなぁと反省。

もし感想で『ボクの恋人=ナルシスト』の長編よろしく~って意見が多ければ……描いて見なくもないという感じになるかもしれません(笑)

それではまた他の作品でお会いしましょう・ヮ・ノシ ばいばい


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