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第3話 ボクの恋人=ちょいドS



 真清のナルシスト暴露という爆弾投下から2時間、ボクの姿をした真清がツヤツヤとした顔でボクを見ています。

 仕草の指導から今度は服をとっかえひっかえして着せ替えショー。イキイキと顔を輝かせた真清がボクの服を、無理やり脱がしては着せ……無理やり脱がしては着せ……とされたのです。


「うう……穢された……。ボクの心……穢されちゃったよぉ……ぐっすんっ……」


 下着姿にまでひん剥かれたボクがさめざめと泣いていると、真清がボクの顎をくいっと持ち上げた。


「にゃ!? にゃにしゅるの!?」


 そのまま真清の顔が、ボクの顔に吐息がかかるくらい近付いた。


「ああ、やっぱり、入れ替わって良かった!」


「なっ!? それどういう意味!?」


「ほら、ボクって気が強いだろう? 泣き言なんて今まで言ったことも無いくらい泣き言と無関係だったからさ……」


 真清が言葉を一旦止めてぺろり、とボクのほっぺたを舐めた。


「お、しょっぱい」


「ぴゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!?」


「困った顔とか泣き顔とか見れて良かったなぁ、ってね……ふふふ……」


 怖いです。まさか捕食される側の気分が味わえるとは思ってませんでした。


「こ、怖いから近寄らないでください! お願いします!」


「……そんな……拒絶された……」


 ボクの言葉に大きなショックを受けたのか、ガックリと盛大にひざまずく真清。正に『orz』のポーズだった。


「鬱だ……死のう……」


 目がどんより死んだ魚の目になってしまいました。さっきの輝かんばかりの瞳とは打って変わってまるでレ○プされた後の瞳みたいになってます。

 レ○プされそうになったのはぼくなのに! ねえ? 立場逆じゃない? ねえ? 誰か答えてよ……。と言って誰も答えてくれるはずもなく、しかたなくボクは真清の肩に手を置いた。


「ごめんね? 真清……。真清も同じ立場で不安なんだよね? ごめんね……? ボク、ワガママ言ってばかりで……。だから真清の言うこと頑張って聞くから元気出して? ね?」


「……本当に?」


「うん、ほんとだよ?」


「本当に本当?」


「ボク、不運な事故とかにあったりした時じゃない限り真清との約束は破らないよ! これまで約束破ったことないでしょ? 男に二言はないよ!」


 あ……今のボクって『真清の身体』だから女か。でも心は男だし問題ないよね!


「二言はないって本当?」


「うん! 約束するよ!」


「……そう! そうなんだ!?」


 ガバリ、と跳ね起きた真清の顔は、泣いているどころか晴れ渡る青空のような清々しい笑顔でした……。

 ナニコレ……ドウイウコトナノ?


「ちょっと真清……さん?」


「『直』だって言ってるだろう?」


 ニヤリ、と笑ってボクに詰め寄る真清。なんだか怖いよ……。


「真清? どうしてそんな……ボクの腰に手を回してるの?」


「だから直だって! それは怯える真清も可愛いからだよ?」


「この身体は『真清』だろ!?」


「うん、なんていうか……こうして見てるとさ……『真清の姿をした直』も良いなぁって思えてきた。むしろベスト? ボク、こっちの方が良いや」


 そう言ってボクの身体を持ち上げてベッドに放り投げた。


「きゃう!? ……いった~……何する――んむぅっ!?」


 顔を上げたら速攻でボクの姿をした真清がキスをしてきた。

 ……ていうかボクの身体からのキスって……ボクの身体からのキスって……ちょっ!? おまっ!? ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!? 


「なにするっ! 放せ! やだっ!」


「放さないよ? 二言はないんだよね?」


「それとこれとはべつもんだ――」


 叫ぼうとしたらまたキスをされた。どうしてこうも節操なしなんだよ!?


「ふふっ……もう決めちゃったんだ」


 真清が怪しく目を細めて微笑みながら、ボクのほっぺたを優しく触る。


「な、なにを……?」


 これがボクなの? こんなカッコ良いのがボクとかありえないんだけど!? っていうかなんだかドキドキしてきちゃったんだけど……!? もしかしてボクもナルシストの気があるの!?


「これから『真清』をボク好みに教育してあげるから……覚悟してね?」


 やっぱだめぇ! 無理だよ! やっぱタンマ! こんなのボクじゃないぃ! こんな鬼畜っぽい顔なんてボクしないよぉ!


「やだぁ! そんなのぜったいやだぁ! んむぅ!? んん~~~~!!!?」


 無理やり三度目のキスをされて、ていうか現行されっぱなしで息が苦し……ガクリッ――。

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