表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

第1話 ボクの人生=オチひとつ

と言う訳で本編行くよ! 本編!



「真清? そんな慌てたら危ないよ?」


「なにを言ってるの? そんなにゆっくりとしていたら、座れる席がなくなってしまうわよ?」


 いつもはふたり一緒に中庭でお弁当を食べるのが日課だけど、生憎と外は雨で出られない。こういう時はちょっと恥ずかしいけど学食でお昼を食べることにしてる。


「良い? 直。マイペースなのは貴方の可愛い点ではあるけど、たまには人に合せる、ということを覚えなければならないわよ?」


 そう言って、ビシッとボクに指を突き付ける真清……ちょっとカッコイイ。

 校内での男子による真清の評価は容姿端麗、清楚可憐でシッカリ者、クールビューティーなお嬢様。なかなかに人気もあってすごい人。見惚れちゃうなあ……。


「ちょっと、聞いてるの? 直! ぽや~っとしてるところじゃないでしょう? そんなだから男子の制服着ててもカワイイ系の天然男の娘なんて言われるのよ?」


「うぐっ……ごめん……」


「まあ、でも? そういうところも好きになったところだから……その? 嫌いではないのよ? その……そう! 時と場合! 時と場合を考えてくれさえしてくれれば良いのよ!」


 ボクの前でしか見せないいわゆる世間一般で言うデレというヤツを、真清が目の前で展開してくれていた。ちょっと幸せ……。


「もう! 直ったら……」


 ほっぺたを膨らませて、真清が階段の上で振り返ろうとした。その時――


「きゃっ!?」


――真清が足を滑らせた。


「危ない!」


 今日は朝から雨と強い風で雨が校舎の中にも降り込んでたみたい。階段が少し濡れていて危ないなって思ったんだけど、真清が足を滑らせてボクが庇う形で階段をゆっくりと落ちて行く。

 いや、ゆっくりに思えただけで、本当は激しく落ちたのかもしれない。

 ただ1つ言えることは、『真清をしっかりと抱きしめたまま、彼女の身体と上下を入れ替えることに成功した』ということだけだった。

 ボクのことは二の次で良い。彼女にケガをさせないようにできて、ボクは満足だった。



□◇□◇□◇□◇□◇――…



 どれくらい経ったのか……。

 目を開けると、真清のお母さんがのぞき込んでいた。


「ああ、良かった……。目を開けないから心配してたのよ?」


「え……あの……ごめんなさい?」


 疑問形で答えると、なんだかおかしなことに気付いた。

 なんだか声が高くなってるような……。


「だから言ったでしょ? 真清は大丈夫だって」


 かなり高めだけど、男の子の声が聞こえた方を見る……と……。


「はぇ!? ちょっ! なに? どうなってるの!?」


 ボクがいた。頭に包帯してるけど……それは間違いなくボクだ! なんで? どうして!?


「落ち着けって……ここは病院なんだよ?」


 じっとりとにらみながらボクの身体が近づいて、ボクを抱き締めた。


「……騒がないで直。私、真清だから」


 耳元でそっと囁かれた言葉は……確かにボクの声だけど、真清の口調そのものだった。


「とりあえず合わせてくれる?」


「……うん」


 ボクはそれだけで安心しきって、頷いてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ