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プロローグ
作者は、音楽関係の知識に乏しく、間違った表現をする場合があるかもしれません。ご了承ください。
終わった……
歌い終わった瞬間は、毎回とても清々しい気分になることができる。
この場の空気は、自分たちの作った音楽で溢れている。
満員の観客はじっとこちらを見て、みんな笑顔で拍手を送っている。
ああ、なんて気持ちがいいんだろう。
「ありがとうございましたっ!!」
良く通るその声で、凛は観客に向かってお辞儀した。
横では、いつもと変わらずムスッとしている祐斗が居て。
振り向くと、ニカッと笑ってこちらを見ている涼が居る。
祐斗はああ見えても、内心は喜んでいるのが分かる。
凛は笑顔でステージを後にした。
ステージの袖でも、アンコールは終わったというのに、鳴りやまない拍手がまだ聞こえてくる。
その時凛はふと、この三人と知り合った4年前の事を思い出していた。
全ては、毎日見えない未来について悩んでばかりいた、「中三」から始まったという事を。