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【毎日更新】 勇者たちの功罪 【ハッピーエンド】  作者: Sin Guilty
第八章

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第078話 『世界再構築』②

『北の雄』ヴァレリア帝国、帝都ルーヴェンブルグ。

『勇者の国』アルメリア中央王国、王都アーヴェイン。

『南の盟主』ウィンダス皇国、皇都ゾシア。


 それぞれに存在している魔導塔の中で、崩壊していない――先端部までそのカタチを維持できているのは、ルーヴェンブルグに在るものだけである。

 そしてこれまでの周期からすれば、アステア大陸汎人類共通暦1458年の盛光期(初夏)――ちょうど今頃――には、魔導塔の先端が魔大陸に繋がることが予測されていた。


 そのためか今代の魔王が生まれてから大陸中に巨大魔石に投下して魔物支配領域を生み出すこととは別に、魔王直属の魔人軍によってヴァレリア帝国は攻められ続けていた。

 まず間違いなく魔王のいる魔大陸へ至る唯一の手段である魔導塔の奪取を目的としているのだろうが、多大な犠牲を出しながらもヴァレリア帝国は今現在もまだなんとか持ちこたえている。


 それは九葉蓮華キルクルスと呼ばれる、九つの神遺物級武装アーティファクト・ウェポンを使いこなす九人の強力な戦士たちがいてくれたからこそである。皇帝も九葉蓮華の中から選ばれるヴァレリア帝国が軍事大国として三大強国の一角に数えられているのは、ひとえに個としての圧倒的な戦闘力を誇るが故である。


 だがそれも百年に渡る魔王軍の猛攻を前に1人、また1人と欠けて行くことは避けられなかった。直系への継承が途切れればその血統に九葉蓮華が生まれるまでに数代を必要とすることがほとんどで、欠けた席を即座に埋めることは叶わない。


 ついには4人目の犠牲者を数え、残された5人ではいつまでも持ち堪えられなくなった中、なんとか手遅れになる前に勇者たちがヴァレリア帝国の帝都、ルーヴェンブルグに到着したのだ。いや魔大陸がルーヴェンブルグ魔導塔の先端に接続されるまで、九葉蓮華キルクルスたちを中心とした帝国騎士団がどうにか持たせたといった方がより正しいかもしれない。


 ただルーヴェンブルグを目指すだけなら、勇者たちの旅が10年もかかるはずはない。

 九葉蓮華キルクルスたちと合流し、攻め来る魔王軍を撃退するだけであれば、早々に万全の防衛体制を築くことも可能だっただろう。


 だがそれでは『魔大陸』に攻め上り、魔王を討伐することなどできない。


 勇者たちは魔物支配領域テリトリー迷宮ダンジョンによって滅亡の危機に晒されている国々を救って回るとともに、それぞれの最奥になぜか設置されている神遺物級武装アーティファクトウェポンを獲得し、巨大魔石を入手することによって自身を強化する必要があったのだ。


 千年前の勇者たちも、そうしたのと同じように。


 それだけではなく、魔王軍ですら外部から破壊することを諦めているらしい魔導塔を登っていくためには、先代勇者たちが千年前は健在だったアルメリア中央王国、王都アーヴェインの魔導塔を攻略した時と同じく、いわゆるキーアイテムを入手しなければならなかったこともある。


 自身の能力に合致した強力な神遺物級武装や、魔導塔を登るために必要なキーアイテムがどの魔物支配領域、迷宮の最奥にあるかなどわかるはずもない。故に勇者パーティーは自分たちを鍛えつつ、あたりを引くまでいくつもの魔物支配領域テリトリー迷宮ダンジョンを一つ一つ攻略していくしかなかったのだ。


 それでも勇者たちは、その無理難題を5年がかりでどうにかやり遂げた。


 いくつもの巨大魔石を手に入れて自らの能力を強化し、技や魔法を飛躍的に強化する神遺物級武装を探し当て、魔導塔を進むために必要なキーアイテムをすべて揃えることに成功したのだ。


 そしてそれを、魔大陸がルーヴェンブルグの塔に接続されるタイミングに間に合わせた。その一方でヴァレリア帝国の九葉蓮華と帝国騎士団はそのための時間を稼ぎながら、最後の魔導塔を魔族に奪われることを止めきって見せたのである。


 当然、大陸中がその報に沸いた。


 ヴァレリア帝国も含めたすべての人々が、5年に渡る勇者たちによる大陸再征服活動レコンキスタのおかげで、沸くことができるだけの余裕を取り戻していたともいえるだろう。


 誰もがこれで千年前と同じように、今回も自分たちは救われたのだと確信した。


 これからは勇者パーティーによる魔導塔、魔大陸への快進撃が連日伝えられ、そう遠くない未来に魔王討伐と、魔族による脅威からの完全な開放が伝えられることを期待した。


 だがこの日、この時、すべての場所へ――


 人類を絶望させる凶報が伝えられた。


 5年前に魔王討伐に旅立った勇者たち。


 この5年の間にすべての魔物支配領域テリトリーを解放し、迷宮ダンジョンを攻略し、ついには最終目標である魔王を討伐すべく、魔大陸へ攻め入る直前と伝えられていた人類の希望。


 その勇者たち全員を巻き込んで、ヴァレリア帝国そのものが消滅したのだ。

 帝都ルーウェンブルグの上空にあったはずの『魔大陸』もまた、同時に消滅している。


 希少レア固有ユニークを含めたあらゆる技や魔法でもその向こう側を観測できない黒い空間。

 ゆっくりと拡大を続けるそれを前にすれば、人々は「消滅した」としか認識も表現もできない。


 それに呑み込まれて、生きていられる者がいるとは思えない。

 つまりヴァレリア帝国の帝国民たちとともに、勇者パーティーも死んだのだ。


『勇者たちの死』


 それは勇者たちの出身国であるアルメリア中央王国だけではなく大陸中の国家にあまねく伝えられ、大陸中を絶望で覆いつくすに充分なものだった。


 それも当然だろう。


 人は魔王を倒しうる唯一の存在を失ったのだ。


 つまり千年前とは違い、魔王討伐による幸福な終劇ハッピー・エンドは訪れない。

 そう遠くない未来に、人類滅亡という不幸な終劇バッド・エンドを迎えるしかなくなったのだから。


 だがそれを覆そうとしている者がいる。


 絶望すら塗り潰すほどの深い悲しみと――それすらも凌駕する強い怒りによって。


『世界再構築』③

1/9 18:00以降に投稿予定です。


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2月上旬まで毎日投稿予定です。

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