40.同盟締結
武器を持って襲ってきた難民の出処という隣国の上空にて待機していると、それほど待つこともなく潜入を試みていた秘書さんから連絡が入った。
『よろしいですか。只今王宮の謁見の間にて、国王らしい男性と文官数名が謁見している所に来ております。魔眼保有者は警備に含まれていない模様、スムーズに入れました』
オクティは石を持ってないのでそちらを見たら、既にテレパシーの原石を握って宰相さんを見ていたので直接聞いてるみたい。
宰相さんはそこは気にすることもなく、通信石を握って口を開く。
「よし。襲撃の背景については何か掴めたか?」
『襲撃してきた者たちは推察の通り、身分の低い追放者の集団ですね。安全地帯に住みたければ自力で他国の土地を奪うしか方法はないと暗示をかけて武器を持たせる試みは成功。邪魔な貧民はすぐに旅立ったようで未だ戻ってはおりません、との報告のみでしたので。おそらく遠征隊と接触していたことも先方は把握していないと考えます』
「ふむ、では彼らの身元を追跡して飛んだ結果、偶然そこに現れたこととするぞ。こちらが現れるのに合わせて、お前も姿を現せ。
――というわけだ。頼むぞ」
宰相さんに頷いてから、目を閉じる。
「捜査。ではいきます……『テレポート』」
飛んだ直後にすぐ横でバサァッとローブを大きく翻す気配がして、秘書さんが思わせぶりに大きく杖を振りながら宰相さんの傍に歩いて、一礼。
「到着いたしました」
「うむ」
2人がさっと前に出たので私たちはそっと杖を立てつつ、黙って後ろに並んでおく。
「な、何者だ?!近衛兵!」
私たちが現れたのは玉座っぽいところと入口の丁度ど真ん中辺り。
こちらの謁見の間は灰色の石をよく磨いたもので壁や天井が貼られ、吹き抜けみたいに高い天井は彫刻に飾られ、灯りはシャンデリアではなく床にダンジョンの灯りを装飾的に埋め込んである造りだった。
王座っぽい所に居るのは金髪でオクティほどではないけど十分金目と呼んでいい、かなり魔力の高そうな中年男性で、皇帝と違ってしっかり自分で周りに指示を飛ばしているし、冷静に見える。
王座周辺に居た人たちは文官みたいで王様の前に立って庇おうとかそういう動きはなく、代わりに部屋の各所にある出入り口らしきところから武装したりローブを着たりしている人たちが慌てて詰めかけて王の周囲をかため、こちらにも走ってこようとしている人達が多数。
ーー今、気付いたかのように、宰相さんが玉座の方を見て、わざとらしく胸に手を当てた礼を取って、よく響く大きな声を出した。
「おっと失礼、ここはどちらの国ですかな?我々は人族至上主義帝国から参りました。宰相のジュラ―ル・ガラテアマンダと申します。先ほど突然、千を越える民兵たちが我が国を襲撃してこられましてな。無事に鎮圧して服従の誓いを立てさせ終えたので、彼らの身元を辿って転送魔法で追ってきたところ、ここへ辿り着いたのですが」
その声に、こちらに走ってこようとした護衛たちは王の反応を伺うように足を止めた。
「ここはメイジア国だ。しかし……やつらの身元を辿って?しかも転送魔法だと?そのような魔法は聞いたこともない」
「ほう、やつら?王が彼らをご存知とは。つまり溢れた国民に武器を持たせ、宣戦布告もなしに近隣の国を襲わせようと目論んで我が国を襲撃したということになりますな。――構え!」
バッと、宰相さんが片手を後ろに振るのに合わせ、秘書さんがゆっくりと杖を両手で掲げる仕草をしたので、こちらも合わせて真似してみる。
調子に乗って、小声で「中空に浮かべ小さな火の玉」と囁くと、最初はバスケットボールくらいの火の玉がみるみるうちに自動車ほどのサイズまで膨らんで、ぐるぐると石の天井を焦がした。
大きくなりすぎると流石にまずいので大きさはここまでと念じるとそれ以上は膨らまなくなる……けど動かしてるつもりはないのにゆっくり回る巨大な火の玉。
多分隣でオクティが操作してくれてるのかな。思ったより大きな火の玉が出てしまって焦ったけど、天井が高いから大丈夫そう。
でも相手側は突如現れた巨大な火の玉に全員緊張し、怯えの色を浮かべて小声で囁きあっているのが分かる。
一番最初に動きだしたのは王様本人だった。
「ま、まて?!我が国は……そう!城壁の内に住みきれず、壁外に住まざるを得ない国民が安全に暮らすための武器は支給したが。近隣の国を奪いに行けと命じたわけではない!」
「ふーむ。土地の強奪を目論んだのではなく、武器を配られた住民が勝手に亡命を試みただけだと?襲撃があったのは事実ですが、そこは水掛け論でしょうな」
宰相さんが悩むふりをしながら片手を振り、秘書さんがゆっくり杖を立てて戻したのでこちらも杖を戻して火の玉も消した。
「いや宰相殿よ、貴国には申し訳ないことをしたようだ。我が国はかなり人口増加が深刻でな。貧民はもう外に出すしか無かった。難民の受け入れをして貰えたのであれば有難いとしか言いようがない。多大な迷惑をかけてしまったことには詫びさせてもらうが。決して貴国へ戦を持ちかけるつもりは無かったということだけは信じて貰えまいか?詫びの品といっても大したものは用意できんのだが……金と宝石を使った装飾品など贈らせてもらおう」
先程の火力や転送魔法を警戒してか、皇帝とは全く違って、ちゃんと人の顔色を伺う態度でスラスラと喋るが……なんというか、すごく腹黒そうな気配を感じて好きになれない。
宰相さんはさらっと手を振って詫びの品を断った。
「いいえ、金銭は不要にございます。
我が帝国では、先程お見せしたような転送魔法をはじめ、飲食や道具類に至るまで、色々と開発が進んでおりましてなぁ。天人や魚人など、他の人族たちとの交易さえも開始しており、金には困っておりません。ただ……如何せん忙しくてですなぁ。人手が全く足りておらんのが目下の悩みなのですよ」
「ほ、ほう..…….他人族との取引、素晴らしい技術や新製品………」
ごくり、と王のみでなく周囲からも興味が集まっているのがわかる。
「どうです?人間同士、ここは同盟を結んでみるというのは。
こちらの国は人的資源が潤沢のようだ。これからは帝国に従って多くの人手を提供して頂けるなら、此度の襲撃の件はただの事故であったと受け入れましょう」
王様は探るような眼で、表情だけは笑顔を浮かべて声を返した。
「人手や資源の提供を行うことで、我々にも見返りとして他人族との貿易で得たものや、そういった魔法、開発物をこちらにも流して頂ける……ということかな?」
「勿論同盟国になるなら飲食や物資はお安く手に入るように致しましょう。魔塔の研究成果に関しては『帝国民として』従うのならば、ということになりますがね」
「属国化しろ、と?……今のところはあくまで帝国の配下の国であるとして、メイジア国内の自治権は認めて頂きたいのだが?」
「配下として調印までしていただけるのなら、こちらが必要と判断したものだけはご利用頂けるようにしましょう。……あぁ、管理体制を大幅に変えるのは大ごとですからな。完全に属国化した場合でも、この地の自治権だけは認めますぞ?調印は王族同士の直接制約を行いますので。そちらにその気があるのであれば、今すぐにでもお招き致しますがね」
「配下として調印を行おう。すぐに行けるとは例の転送魔法とやらか、それは是非すぐにでも体験したい。――この2人を従者として同行させてもよいかね?」
「構いませんとも。お互いに調印後に取り決めが必要なことも多いでしょう。先にどこか、我々が大使館として使って良い場所をご用意頂けますかな?」
喋ってる間にこそっとこの広間にはマークをつけておく。
一応、オクティに寄って、連れていくっていう2人の従者を含めて何かありそうかと聞いてみたけど、王様含めた3人とも魔塔でも2位か3位に着けそうな高魔力ってことだけで、魔眼持ちじゃないし変なアイテムを持ってたりもしないみたい。
王様が風属性で、従者は2人とも火だから。何かあった時に周囲を燃やして吹き飛ばして逃げるとか、そういう動きをするなら最適な組み合わせだし。少数精鋭の護衛としては一番効率的だから選んだんじゃないかと。
敵地に行くのに武力がないのは不安だもんね。
宰相さんの予定通り、大使館として使って良いという建物に転送盤を設置。
秘書さんから、人数が多いのであちらへ行って呼んできてくださいと小声で声をかけられたのでチョーコが転送盤で飛んで見せ、転送所にも印をつけて向こうから護衛隊12人を先にテレポートで連れ戻ってくる。
オクティが転送盤の魔力を満たしている間に。
私たちが飛んだ後、護衛隊の人達が何かあった時に飛んでこられるように、こちらの板の魔力は使わずに飛んだ方がいいと秘書さんが囁いてきたので。
宰相さんと王族たちを連れ、秘書さんが触ったふりで転送と言うのに合わせて小声でテレポート。
転送所では、秘書さんが門番の所へ行ってフードの下から顔を覗かせて声をかけると、すぐに軍部の大隊長のお爺さんが現れて礼をとってから連れてきている3人の説明を求め、隣国の王様は自ら前に立って口を開いた。
「我が名はメイジア国王アロン・ド・メイジア。この2人は我が側近。――此度は我が国から亡命した難民たちを受け入れて貰ったそうで、感謝の極み。そちらの宰相殿から、新天地の捜索と国交貿易のために同盟を結ばんと誘いを受けて参った」
隣の宰相さんも頷いたのですぐに大型の獣人車が呼ばれ、そのまま城へ。
城でも秘書さんがメイドさんと同じローブの男性に手紙のようなものを渡して自分の顔を見せれば、途中で足止めされることやゲスト用のローブなどと交換することもなくスムーズに進ませて貰えた。
秘書さんだけでこちらにまで顔を見せろと言われないのは、多分いつもの3人組と思われてるんだろうな。
謁見の間に来たのは二度目だけど、今回は完全に後ろに隠れてていいからかなり気が楽だ。
高い所に皇帝が座って、先程秘書さんが持っていた紙を広げて読みながら待っていたが、我々が近寄ると片手をあげた。
「隣国の王というのはそちであるか。余は人族至上主義帝国の皇帝、エルダード・ウルド・エルドウムである。此度は多数の武器を持った者共が突然押しかけてきて、驚かされたぞ?まぁ、この帝国の力の前には、特に苦労するほどのことでも無かったがな」
偉そうな皇帝の態度を意に介する仕草もないどころか、王様の方は頭こそ下げないものの、大仰に敬うように腕を胸の前に上げながら若干膝を屈める仕草をした。
「おぉ偉大なるエルダード皇帝よ。我が名はメイジア国王アロン・ド・メイジア。誤解を与えてしまったかもしれないが、決して我が国は侵略を企んだわけではなく。ただ国土に収まり切らぬ者たちを外に出す際、自衛のために武器を与えてやっただけなのだ。
亡命した難民を受け入れて貰い、感謝に尽きぬ。
聞けば……帝国では新たな国土開拓のため、新天地の捜索や貿易相手を求め、人手を多数必要としているとか?我々も是非その末席に加えて貰えるだろうか」
皇帝はもう一度手紙を持ち上げ。
「メイジア国は帝国の配下となり、我々の行う新天地の開拓や貿易について必要な労力と資源の提供を惜しまぬ。見返りとしてメイジア国内の自治権を認め、貿易により帝国の豊かな文化にあやかることを望む。相違ないか?」
「はっ。その通りに。つきましては制約を交わさせて頂きたい」
ずずいと国王が皇帝の前に進み出て、皇帝もにやりと笑んで頷いた。
――制約の儀では、予想通りに皇帝が制約言語でメイジア国は帝国のもので、国民も全て帝国民とするとか言っていたが。相手の王はおそらく魔力の高さに自信があるタイプなんだと思う、なにやらごにょごにょ言っているのが口の動きで見えてしまった。
うーん。制約を利用してる王族って、やっぱりどこもこんな感じなんだろうな……
そっと、強く魔力を込めて口を開く。一応日本語に切り替えた。
『メイジア国は帝国の配下として、メイジア国内のみ自治権を持つ。帝国と共に新地開拓や交易路発展の為に惜しみなく働き、全ての人族に敬意を持ち、互いに友好的で有意義な交易を持つよう努力をせねばならない。以上』
制約が終わると、王様同士が妙に仲良く、これからは力を合わせ一丸となって新たな地や利を得られるよう努力しましょうなんて言い出し。あちらの国の側近たちが妙にそわそわしている。
制約の儀式で魔力任せに何かやる予定だったんだろうけど。おかしいと思ってもここで問いただすなんて出来ないもんね。
宰相さんが表情も変えずにそちらへ歩いて行った。
「まず本日は、二国の同盟が成ったことをお喜び申し上げます。今後の街道の設立や遠征に関する人手などの資源について、どれだけご用意頂けるのか。文官を送りますので、メイジア国にてよく話し合って頂きたい。つきましてはこちらが友好の証としての軽い手土産で――」
緑茶の粉、紅茶の粉、塩、黒砂糖の入った小樽を土産として持たせるよう既に用意していたらしい。
今後の流れであるとか、3人ほど文官を送るのでどういうことを優先的に決めて欲しいとかサクサクと説明しながら大広間から流れるように連れ出していく。
そして転送所で王様たちに転送盤の使い方を教えて、王様と侍従2人に実際に飛んで帰ってもらい。魔力を補充してすぐに文官達を追って送り出し。
ーーようやく、私たちのお仕事は終了。
すぐに宰相邸へ戻ってローブと杖を返して、ホッとする。
宰相さんも良い感じに話が進んだのかいつになく機嫌が良さそうに目元が緩い。
「うむ!よくやったぞ3人とも、これも返しておく」
宰相さんが握っていた通信石を出して、秘書さんと共にチョーコに返し。
……そして宰相さんがいつものキツイ目になってジトッと見たのは秘書さんの首元で、襟に着いたピンに同じ色の石。
「それで?その石については俺はまだ報告を受けておらんな」
「こちらは我々兄弟への『個人的な贈り物』として頂いたものですので」
とにっこり。
「――先日書かせた議事録。翻訳の文言と書かれた文言が違い、やけに詳しいのが気になっておったがそれのせいか?」
「言い回しによる誤解を少なくするためと、機能の試運転を兼ねました」
「まぁいい。それでこれはなんだ?」
今度はこっちに視線が向いた。
あー、そうなるよね。
「魚人族の人たちと一緒に、翻訳が出来るような道具が作れないかと色々試してた時に出来た試作品で、今はまだこれだけしかないんですが。石に触っている人同士だけ、言葉が違っても遠くにいても会話が出来る『通信石』です」
「ふむ……使い道は限られるが間違いなく有益なものだった。まだ研究中ということだが、実用化は出来そうなのか?」
「翻訳機能に関しては良いのが作れるようになったんですけど、通信はまだ微妙で。同じセットの石を持つ人同士しか話せないので人数が限られますし、自分が触ってない時に誰かが触っても光ったりするわけじゃないので気付けなくて」
チラッとオクティに目線が行った。
「魔眼で見ても反応は分からないのか?」
「ずっと光りっぱなしで変化が分からないんだ」
「ふむ。運用には工夫が必要そうだな。改良品が出来たらすぐに教えてくれ」
そんな話をしていたら、ミラルダさんが扉をスパーンと開け。
「ジュラールったら!あなた、チョーコさんがいらしてるのなら、どうして教えてくれないのよっ」
とぷりぷりしながら割り込んで来た。
「いや今は仕事の話をしていたところで――」
喋ろうとする宰相さんをスルーして視線をこちらに向けながらオクティに気付く。
「あーらっ、今日はオクトエイドさんも一緒なのね。あなたチョーコさんをきちんと大事にしているの?泣かせたら承知しないわよ!」
「はいっ!」
そしてこちらに向くと、ぐいっと近付いてきた。
「もーう、チョーコさんたら水臭いわぁ!あの子に滑り落ちない靴下の材料、もう届けて下さっていたんですって?!仕事が早くって素敵よ。すぐにわたくしにも教えて下さったらお礼も準備しておけたのにぃ。今急いで作ってますからね。楽しみにしていて?今度わたくしのお友達にもあなたを紹介したいの、お茶会にお招きしていいかしら?」
ひぇっと飛び上がって両手で遠慮するように手のひらを見せてしまう。
「お茶会っ?ミラルダさんのお友達っ?!そそそんな大層なものじゃないですから、お気持ちだけでっ」
「遠慮しないのよっ、あなたはわたくしの可愛い孫娘なんですから!それに本当にこれはただの気持ちなのよ、皆に紹介くらいさせて頂戴」
さすがにそこまで言われたら手を下げるついでに頭も下げる他ない。
「えっとあの、ありがとうございます」
「こんなに可愛いのだから、もっと着飾らせてみたいわぁ。――服も髪留めも飾りの石は黒い魔石だけなのね。他の石は好きではないの?」
「こっ、これはオクティに力を籠めて貰っていて、身に着けてると落ち着くんです」
「んまぁーっ、そう感じられるのならよほど魔力相性が良いのね?!そういうことなら逆に、服に直接ではなくて常に身に着けられるアクセサリーを幾つか見繕って差し上げるから任せておいて」
「はいっ、あ、ありがとうござ――」
「それからその髪型よ、いつも伸ばして切りっぱなしでしょう?わたくしが懇意にしている髪結いがいるのだけど、明日にでもどうかしら!」
「あ、明日?はい、えっと、わかりまし――」
「まーよかった!それじゃあ明日のお昼過ぎくらいに来て頂戴ね、色々呼んでおくから!――あ、ジュラール。邪魔しちゃったわね。伝えたいことは伝え終わったから戻るわ。また明日ねチョーコさん」
チャーミングな笑顔とウインクを残し。
誰も口を挟めないままミラルダさんは去っていった。
「――すまんな」
「いっ、いえ!その、とっても大事に思ってくださってるなって感じます!それにミラルダさんは新しい取り組みとか芸術とかに支援を惜しまない方で、色々な新しい商品の開発を後押しする存在ですよね」
「うむ。新しいものには目がないやつでな……まぁ付き合ってやってくれるとありがたいが。あまりにも面倒ごとが多くなった時は言ってくれ。少し強めに叱っておく」
「わかりました、その時はお願いしますね」
***
一方その頃、高山では。
そろそろワイバーンの弱点に当てられるようになっただろうという竜人の判断により、あえて野生の亜人の群れに突っ込まされ、決死の行軍を続けていた訓練生一行がいた。
言葉が通じるというのはやはり違うものなのだろう、ハーピーやワイバーンの動きをよく知り尽くした的確な指示と、殴り合いで選んだ結果として全員が竜人が得意とする身体強化による肉弾戦の戦い方に適していたことが上手く噛み合ってしまったらしい。
疲れたら焼きニンニクを食え!というごり押しに耐えながら、ハーピーを燃やしたり切ったり、ワイバーンを殴り飛ばしたり絞め落としたり。
無茶な戦いの中でも怪我人ゼロが継続出来ていた。
ニンニクのお陰で人間の体力の限界を越えそうになりながらも頑張った甲斐は確かにあって。
無事パリィがワイバーン捕獲に成功したのをキッカケに、なんと10人全員がその日のうちに自分のワイバーンをゲットしたのだ。
捕まえたワイバーンの首に縄を掛け、倒したハーピーたちも餌に使うからと全部集めて牛の村へ戻ることに。
ワイバーン達は首に縄を付けて引くと思いのほか素直に後ろをついてきたが、牛の村に向かうと気付いた瞬間、全員まとめてビクッと足を止める。
ただ「どうした?あそこが俺たちのキャンプだ」という言葉が訓練生の翻訳機のおかげで聞き取れた。
ボスたちはこの恐ろしい縄張りに住んでいる群れの一員だった、竜人も沢山いる強い群れを束ねる大ボスなら、なるほどそれはすごく恐ろしいはずだと。
群れの一員として受け入れて貰えるのなら、強いボスのいる群れは安全というワイバーン的な判断をして牛の村への移動を受け入れた彼らは。
ここで怖いのはボスたちよりも大ボスだから、ボスが居なくても縄張り内での盗み食いは絶対止めようと決意したため、今回捕まえたワイバーンたちは妙にいい子だなと評価され。
ワイバーンの食欲を知っている竜人がちゃんとハーピーを与える量など采配してしっかり食べさせて貰えたので、すぐに懐くことになる……




