ep.3 裾の長さがあっという間に調整できるズボン
ドカン!!!! さあ! キツネの冒険者にテキトーに売ってみよーーう。
ショーバイっ♪ ショーバイっ♪
びずぅねぇすッっ!!! businessっ♪ business~~ッッ♪
僕は人生をやり直すんだ~~~っ♪
ショーバイターゲットは、Cクラス冒険者のキツネさんッ
キツネだからって油断は禁物。覚悟して話をしよーーーっ。
やったれっ!!!!
あっ、
また、立て看板を見つけちゃったよ。坊さんがんばってるな~。
「複数の存在するパラレルワールドでは、地獄の世界を救うための救済体制を政府や、個人が作り上げています。実際に、パラレルワールドでは、我々の暮らしの中で、なぜか、現実なのに、時間がおかしくなり、現実と断裂して、切り離されて存在する地獄の世界が存在し、我々は必ずその地獄に落ちます。そこではお腹が減っても、食糧を食べられないため、心理上で食料を作り出す必要があります。また、痛みも同様です。心理上で食料を作れる化学的なシステムと痛みを心理上で除去する科学的な方法を作り上げましょう。それは神経系の科学的作用で可能です。アーメンズインシュアラー密教」
なるほど~。
おっ、冒険者の掲示板がある。チラっと見てみよう~。
―――
冒険者の掲示板 自由に書いてください。3日で消します。チョークは設置してあります。
> ↑↑↑転生先のパラレルの世界の救済体制。作るのは賛成。
> それより、オークのいい簡単な料理法考えてくれよ。
> ↑ふとももを切り落として、塩とレモン。30秒。
> お前ら。初級冒険者。金持ったら、まず、盾形鉄板を買うんだ。おにいさんとの約束だゾ。
> 盾の勇者の肉語り。じゅー。
> 塩とレモンのオークか。うまそうだな~。
> うーーーん。オーク焼肉じゅーじゅー。
> 焼肉からのやきにく~♪
> 誰が地獄を救う救済体制作れるんだ?
> 俺たちの世界ではムリ。次元移動が可能な世界が他のパラレルワールドにある。俺たちも死んだらそこに行ける。そこで、地獄の救済体制は作られてるらしい。
> 解体ナイフ研ぐのめんどくさい。
> ↑↑ああ。解体いっぱいやるからすぐなまるんだよなあ。
> いい研ぎ石売ってないかな? 誰か知らない?
> 地獄ってなに?
> 時間の壊れた世界。俺は実際にこの世界でドラゴンを倒したら、時間が壊れた世界で、そのドラゴンと2000年間無限に戦うことになった。何度も死んで、ドラゴンだけ食ってた。
> ↑↑↑なんだかお前すげえ強そうだな。帝国の皇帝カエサリウスをひとりで倒してくれ。
> 魔道具の研究とかってできないの?
> 魔道具は魔道国が独占。
> 魔道国ってエルフの国だよね?
> そう。エルフはまたの名を長命族。2000年の寿命持ってて。俺らと知恵が違う。
> あいつら、俺らのこと刹那「せつな」って言ってバカにしてるゾ。
> 刹那。刹那を生きる100年の寿命の刹那。人間も獣人も虫人も刹那だ。我々エルフだけが長命のエリートだ。
> エルフ、世界の技術進化を操って儲けてる。
> ドラゴン馬車のエンジン。部品バラバラにして、パーツ生産しかさせてなくて。コアの魔道機構は魔道国しか作れない。
> ↑↑↑魔道国の技術独占を許すな! 我々人民は怒っている!
> ↑↑↑共和国共産党かよ。
> ↑魔法を機械に封入する試みは帝国も軍事研究でやってる。こっちは軍部の管理がずさんで技術流出してる。
> 軍事機密というのは夢物語。軍部は乱暴ものが多いから、酒場に行けば秘密をボロボロ話すし、金で技術を裏で売ってるヤツ多数。
> ただ、魔道国より帝国の魔道技術は杜撰。
> 小人のドワーフの作る技術の方が、軍人が作る技術より上なのは当たり前。魔道国はドワーフを管理してる。管理が楽だから。酒だけ与えれば、普通の労働条件にすれば、ドワーフは文句言わない。小人だし。
> 他国のドワーフはエルフ憎んでるがな。我々ドワーフはエルフのつかいっぱしりではない。
> ↑↑↑お前、共和国共産党ドワーフだな?
> ドワーフは我々ビッグ・ドワーフの奴隷でしかない。我々はドワーフをドワーフと認めない。ビッグ・ドワーフがドワーフだ。当然だ。チビに用はない。
> ↑↑↑お前、合衆国ビッグ・ドワーフだな?
> げええええ。軍事研究いやあ。平和が一番。
> 死んだ後、時間が壊れた世界に行くのは本当なんですか?
> 全員行くらしい。魔道研究で観測している研究所がある。富裕の国ではけっこう真剣に調べてる。
> まゆつばだよ。オカルトで嘘ばっかついて予算採りやってるだけ。
> 実際ある世界でも、観測できなきゃオカルト。
> でも、あるぞ。転生したら突然自分の家の中に取り残されたりするゾ。しかも閉じた部屋。
> ↑↑↑どういうこと?
> バレーの試合、冒険者体育館でやりたいので、メンバー募集。
> ↑↑↑冒険者体育館。王が貧困対策に無駄に建てた体育館。税金の無駄。小学校の体育館がある。
> でも、剣の練習のための超弾性クッション人形あるから俺は好き。
> ああ。ゴムモンスターの死体使ってるんだよな。超弾性クッション人形。
> ↑↑↑不安定な世界だと、突然世界が壊れて、自分の部屋の中でひとりでいたりするんだ。
> ↑↑↑食べ物どうするの?
> 食べられない。眠ることはできる。坊主が真剣に地獄を救おうとしてるのはこのため。死ねないし、空腹の状態だったら、空腹の状態が100年続く。100年っていうのは、自分が生前生きた時間でそういう例が多いらしい。
> 坊主はだから、梅の鉢植えを家において、クビに梅の枝をつけてる。時間が壊れた世界で食べるため。梅は育つ。水はおしっこ。梅の枝をクビに吊り下げてる坊主がいたら、転生者。
> 転生前の記憶があるのが転生者。実際に転生はみんなしてる。
> あまりいい記憶ではない。
> パラレルワールドの世界って、僕が勇者になったりすることがあるって本当ですか?
> ↑↑↑本当。なぜか理由はわからないが、突然、弱いヤツがすごい戦闘能力になって強くなったりする。
> ↑↑↑女でも?
> ↑↑↑女でも。人の能力素養上げられる存在に気に入られるのはかわいい女が多い。
> それは危険です。勇者は正しいものがならないと、その後の治政がおかしくなる。だから、これを見ている人で、人の能力を転生先で弄れる人は、性格のおかしな人間に力を与えるのを止めてください。
> パラメーターとかある世界に行きたいなぁ。経験値だけで強くなれる世界があったらなあ。
> あるよ。実験的に破壊された地獄を改良して作られてるらしい。
> どういうこと?
> 人の能力を色々弄れる存在を捕獲して、その存在の力を引き出して経験値制度作ってるらしい。それが原始の経験値システム。
> この世界、経験値制度にならねえかなあ。
> 鍛えるのだるい。
> 確かにだるい。
> ↑↑↑冒険者体育館使うりる。王の慈悲を無駄にするな。
なるほど~。
この世界は転生がいろいろある世界みたいだな。エルフもドワーフもいて、エルフが長命で技術を独占?
ビッグ・ドワーフって、ドワーフとなにが違うんだろ? ただ、おっきいだけかな? なんか大きい国作ってるみたいだけど。合衆国?
確かに寿命が長いと技術を独占するのはあるかも。ただ、身体は衰えないのかな?
長い寿命だと皮膚とかの新陳代謝がおかしくなって、皮膚が剥がれちゃったり。
そういうの、エルフはないのかな?
なんか色々ごちゃごちゃありそうだけど。
経験値とかはない世界なんだな~。ちょっと残念。
おっ、それより、ショーバイに集中しなくちゃ。
僕はお客になるキツネさんを笑わせるために、カクカクしながら、ゆーーらゆらすることにした。
「ねえねえ☆彡 サングラスを掛けたキツネの冒険者さんッ。冒険者さんッッ」
イエイ。素敵にアプローチッ♪
カクカク、カクカク、カクカクっ。カクカク。
きょろきょろ人を探していたキツネの人が振り返って、きょとんと僕を観たっ!!!
きょとん
おっ、驚いてるけど、悪い感触じゃない。怒ってないね?
「キキキっ!?? おめえ、なんでカクカクいってる? オモシレエナッッ。素敵だぁ~っ」
おッ、素敵って言われた。掴みはオッケ~っっ♪
キツネの人は、鼻をフンフンさせてるッッ。あっ、今、鼻の辺りを手で瞬間的にくしゃくしゃやった。
くしゃくしゃ
「えへへ。ありがとうございまぁーーす。足短いけどぉ。冒険者さんも素敵ですよッ」
「キキキキぅ~ッ。うれしいネエッ。けど、足短けえは余計ダゼッ。わはは~っ」
キツネの冒険者さんに笑顔が出たッッ。やったね~♪
えーーーーいっ! ヨイショしちゃえッ
「アハハっ。足短いけど、ステキぃー♪」
「わははっ。キッキッ~。だから、足短いは余計だっツーノッ」
「アハハっ。す・て・き~。カクカク~♪」
「わははッッ。うれしいぜぃ~~~っ♪ く~~~んっ」
キツネの人は喜んで、右に左に小さく僕の周りで、飛びはねはじめたッ
サングラスキツネ~。
ぴょんぴょん~♪
いえーーーーーーーい! ノって来たね~♪
僕もカクカクもっとやっちゃえっ。
カクカク。カクカクッ。
「わははっ。キッキッ~。おめえ、ほんと動きおもしエナっッ。おいらも踊るゼぇぃーーーーー!!!」
おっ、なんかすごい喜んでるッッ~~~♪ 踊り始めた~~~っ。
これはイケるかもッッッ。
さあ~ッ。掴みはオッケー。ズボン売るために、ゆーーらゆーら妙な動きだ~♪
ゆーーらゆーら。 ゆーーらゆーら。
そのとき、ギルドの受付嬢のリスの女の人が、僕の方を見て言った。
「・・・あの、あなた。もしかして、昨日、私に話をしてくれた男の人じゃありませんか?」
えっ? えっ? えっ?
あわわわわ。
受付嬢の女の人から話しかけられちゃったよっ!
どうしよう?
僕はこのメガネのリスみたいな受付嬢の人に、これから長い人生で色々ある運命を感じちゃってるゾ~。
勘違いじゃないよね? 話しかけてくれたし。異世界だと、美人と必ず再会して、仲が進むのは絶対な筈だ。
DC扇風機的に絶対なはずだし。
扇風機。ぶぉおおおぉおおおお
そう思ったとき、キツネの人が僕に言って来た。
「キキキゥ。おーーーい。なにしてるんダヨ。オイラと話の途中だロ~~?」
えっ? えっ? えっ?
やば! カワイイ受付嬢の人とプライベートでお近づきになるチャンスだけどっ。
えっ?
でも、今、ショーバイのことで。
僕が迷ってると、メガネのリスの受付嬢の人が遠慮がちに言った。
「あっ、ごめんなさい。お忙しかったみたいで。またの機会に」
あわわわわ。出会いのチャンスがががががっ!
そのとき、キツネの人が言った。
「キキキっ。おいおい。オイラとの話は? くぅーーーん」
ええい。雑念は払って、キツネの人に話を切り出そうッ
わお! 切り替えだっ!
「は、はいはーーい。ハイハイハイ~♪」
「おうっ! おうっ! おうっ! キキキッ」
「はーーーい!!!! ごめんなさい。ちょっとおそそう。ところで冒険者さん、ズボンの長さ合ってませんよぉっ。それじゃあ、絶対冒険で怪我します~」
僕は誤魔化してゆらゆらしたゾ。
ゆーーら。ゆーーーーら。
「おっ、やっぱおまえ、面白い動きダナっっ」
おっ、キツネの人はケロっとして、僕の話を聞いてくれた。
いい人だぁーーーーー!
「はいはい♪ 冒険者さん、普通のズボンだと足の長さで怪我しませんかぁーーーー?」
「あ~~~、くぅ~~~んっ。わかってんだケドヨ。俺のサイズに合ったズボン売ってネエンダヨッ。くぅ~~ん」
ええい!!! メガネのリスの受付嬢の人とは今度ちゃんと話すゾ。
ほほほいっ♪ それにしても、キツネさん、いい人。よかった。よかった~ッッ♪
踊るサングラスキツネ~。ぴょんぴょん~♪
さっ、切り替えて素敵に売るゾーーーー!