前世の記憶とスナックのお姉さんの言葉
世の中には、男性にモテる女とそうじゃない女が居る。私は昔から責任感が強く、学生時代は学級委員に選ばれてしまい、小、中、高と学級委員だった。
そんな私は、もちろん後者だ。
でも、別にそんなのはどうでも良い。
好きでも無い男に好かれる位なら、永遠に1人でも良いと思っていた。
周りからは「一人で生きていけるタイプ」とか、「肩で風を切って歩いている」とか言われていた。
そんな私は、何故か前者の女子に付き纏わられる。
「菜穂ちゃん、強いから~」
口元の前で手を合わせ、「えへ」っと笑うその首はいつも揺れている。
男はこういう女が好きだ。
得てして、こういう女はフリフリフワフワで、柔らかい素材の服を好む。
色はパステルカラーの可愛い色(特にピンク系)を好み、髪の毛はゆるふわ系にしている。
しかも、天然を装い男性の気を引くのが非常に上手い。
どうやら私も天然らしいが、私の場合はお笑いのボケになってしまうんだとか。
そんな私にも、社会人になってから彼氏が出来た。
婚約が決まった矢先、彼氏が私の友達の首が揺れている女と浮気した。
その女は2児の母で、男性には結婚している事を言わない。男友達と遊びに行く時、勝手に私の名前を使って遊びに行くような女だ。
そんな女と、ホテルから出て来た所でバッタリだった。
その現場から逃げ出した所、良くある転生モノのド定番。私は車に轢かれて死んでしまったらしい。
死ぬ間際、会社の上司が連れて行ってくれたスナックのホステスの言葉が脳裏を過ぎった。
凄く綺麗なホステスさんだったけど、太客が居なくて苦労していると話していた。
その時
「私、首が座っているでしょう? それがダメなんだって。男は、首が揺れてる女が好きなんだって……」
その話を聞いた時は
「赤べこか!」
ってツッコミを入れたけど、車に轢かれた私を抱き上げる婚約者だった男の背後で、わざとらしく口元を手で覆いショックを受けた顔をした女が見えた。
遠のく意識の中、そいつの首が揺れているのをぼんやりと見ていた。