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5-6 もうそれしか方法がないっ!!

 咄嗟にムジカが動けたのは、状況を誰よりも俯瞰できていたからだ。

 全速力で前進して、アルマの<サーヴァント>を捕まえて駆け抜ける。他の人間も即座に反応して散開。最後に動いたのが――〝ヴィルベルヴィント〟と呼ばれた、<マーカス>級ノブリスだった。

 銀色に輝くガン・ロッドの、その引き金を引く。動きとしてはそれだけだ。だが。


「ぐ、ぅ――――っ!!」


 その次の瞬間に訪れたのは閃光と衝撃、そしてそれを音だと理解できなくなるほどの轟音だった。

 機動ではなく爆風によって体が吹き飛ぶ。ムジカが見たのは背後で放たれた魔弾が浮島の大地を直撃する、その瞬間だった。

 赤黒く――鈍く瞬いた弾丸が、その瞬間に辺りを爆炎で包み込む。

 衝撃と熱風に吹き飛ばされながら、速度は殺さず身を翻すと、ムジカは後退しながらその惨状を見やった。爆炎が晴れた先では、浮島の大地が赤熱し、広大なクレーターを作っている。そこにあったはずの石畳や政務館正門の大半が、跡形もなく消し飛んでいた。

 そしてその頭上には、〝ヴィルベルヴィント〟が身じろぎ一つせずこちらを見下ろしている――他のノブリスではなく、ムジカたちを。


「ジャミングクロークが、効いてねえ……!?」

「これはメタル用だ、ノブリスのシステムを誤魔化せるようには作ってない――回避を! 急いで!!」

「ちぃ!!」


 肩に担いだアルマの悲鳴を聞きながら、ムジカは全力で空に上がった。

〝ヴィルベルヴィント〟が再び魔弾を放ったのはその時だ。ムジカの元いた場所を狙った下方への撃ち下ろし。先ほどと同じ最大火力が浮島の大地に直撃し、また爆発を巻き起こす。


(こんなの――浮島が持たねえぞ……!?)


 通常の<マーカス>級ノブリスの出力を、明らかに超えた力押し。何が起きているのかは知らないが、性能限界を遥かに超えた一撃だった。高位等級機なら装甲全壊と引き換えに一発は生き延びられても、今のムジカの<ダンゼル>では跡形すら残らない。その事実に戦慄する。

 だが同時に、不可解な光景に顔をしかめた。

 今の敵の一撃は、明らかに狙いが遅かった。偏差も考慮していない、稚拙な射撃だ。戦闘機動も取っておらず、ノブリスが空戦機動兵器であることを理解できていない。

 つまり――学習の浅い個体だ。これも。大火力なら人間を殺せると理解はしているが、それだけ。

 理解できないのは、そんな個体が――というよりメタルが、どうしてノブリスに〝寄生〟しているのかだが。


『――下男は下がりなさい!! これの相手は私たちがやる!!』


 広域通信――同時に敵ノブリスへ、三方から同時射撃。

 ハッと見やれば、先ほどの二撃を回避して展開していたアールヴヘイムのノーブルたちが、戦闘機動を取りながら敵へと迫る。

 その時になってようやく、敵は機動を開始した。

 三方から迫る魔弾の雨に晒され、反撃を交えつつ後退する。応射の魔弾に先ほどの威力はない。流石の<マーカス>級といえど、ろくなチャージもなしに魔弾の威力は出ないようだ――が、それが救いとも言い難い。

 アールヴヘイムの三機が繰り広げる戦闘機動に翻弄されて、敵は何発も魔弾の直撃を受けている。〝シルフ〟が二挺のガン・ロッドで弾幕を張り、動きの鈍ったところを二機の<バロン>級が削るコンビネーション。通常の敵ならそれで十二分に通用するはずだが……

 後退しながらその様子を見ていたムジカは、ゾッと呟いた。


「効いて、ねえ……?」


 放たれた魔弾は敵<マーカス>の真芯を捉えている。何度もだ。

 だというのに……敵の装甲には、傷がついた様子すらない。


「効くはずがないよ」


 呆然としたムジカの呟きが聞こえていたのだろう。担いでいた肩の上から降りながら、アルマが答えてくる。


「〝ヴィルベルヴィント〟――数年前に空賊との戦闘で喪失した()()()()、アールヴヘイムのナンバーツー。その特異な流線型のフォルムは、高速戦闘機動のためのものじゃない。あの機体は通常の感応装甲とは別に、パッシブな魔道防御を備えている」

「魔道防御?」

「直撃の寸前に魔力障壁を展開して、直撃そのものを無効化するんだ。敵の攻撃を風に乗せるように流して逸らし、あるいは打ち消して無効化する――そのための装甲形状であり、だから〝旋風〟だ。生半な攻撃で抜けるものではない上に――」

『こ、のぉぉっ!!』


 と、アルマの声がその雄叫びで途絶える。

 叫んだのは〝シルフ〟のノーブルだ。しびれを切らしたのか、吶喊を開始する。同時に重ねた定点射撃。単調な敵の機動を捉え、胸部に連打が直撃した。

 魔弾をかき消す魔力障壁が飽和し、数発がバイタルガードに直撃した。轟音が空気を切り裂き、〝ヴィルベルヴィント〟が大きく吹き飛ぶ――

 そしてその砕けた緑色の装甲を、上から銀色の砂が覆った。


「アレの中身はメタルだ。倒しきれなければ再生する」

「……メタルがノブリスを乗っ取るなんて、あり得ることなのか?」


 アルマには色々と聞かねばならないことがあるが、今一番聞きたいのはそれだった。

 もちろん、その光景が今目の前にあるのだから現実を否定したいわけではない。だがこれまで生きてきて一度も聞いたことのなかったその事実を前に、ムジカは信じられない気持ちでいっぱいだった。

 戦闘の光景を見つめながら、アルマは言う。


「普通なら、あり得ないよ。当時ならともかくね。メタルは人を殺すものだ。そのために進化することはある――そのために既存の魔道具の機能をコピーすることも。でも、魔道具そのものに成り代わるなんてことは、普通はあり得ないんだ」

「なら……」

「でも、その〝普通〟じゃないことを()()()()()()


 その結果であるメタル――〝ヴィルベルヴィント〟から、アルマは目を離さない。

 それはムジカも同じだが。


(……上達してきてねえか、アレ?)


 敵ノブリス〝ヴィルベルヴィント〟のことだ。先ほどまでアールヴヘイムのノーブルたちに翻弄され続けてきた戦闘機動から、拙さが消えつつある。撃たれっぱなし、当たりっぱなしだったこれまでから、少しずつ被弾が減り始めていた。

 同時に、射撃も。偏差の概念を理解し照準の精度が向上している。これまで余裕のあったノーブルたちの動きに、苦しさが覗くようになった。チャージの時間がないとはいえ、高火力の魔弾が機体をかすめ、それだけで装甲を削っていく。

 間違いない。メタルの学習が進んでいた。これまでは素人同然だったのに、瞬く間に成長していく。

 加えて装甲の問題もある。あの三機の装備では、殺しきれない――

 ぽつりと、アルマが呟いた。


「まずい」

「そうだな……まずいぞアレ。殺しきれないまま学習だけが続く。このままじゃ、手が付けられなく――」

「違う。違うんだよ少年。本当にまずいのはそんなことじゃない」


 その声で、不意に気づいた。

 こちらを見ている、アルマが――その体が、震え始めていることに。


「ここには全部あるんだ。魔道具を〝浸食〟することを覚えたメタルも、ゼロポイントの座標を知った浮島も――おそらくは、そこを目指した目的も! この浮島は全部知っている! この浮島がメタルに乗っ取られたら、全部終わりだ!!」

「…………?」


 アルマの言っていることは、相変わらず理解ができない――だが今回だけは、伝わったものがあった。

 嘆きだ。後悔でもある。彼女の声が震えていたのは、己の失敗に対する慟哭だったからだ。


「私の見通しが甘かった。レティシアが島を出る前なら、まだ間に合った。戦力をかき集めていれば。なのに私は提言しなかった……あの時には、可能性しか考えなかった。ここに来るまでも、大丈夫だろうって高を括ってた。どうせ、そんなことはないだろうって、そこまで人類は愚かじゃないはずだって――見極めを誤った。その結果がこれだ。()()()()()()()!」


 と――その瞬間だった。

 メタルが攻め方を変えた。

 不意に自らのガン・ロッドを捨てると、その腕からまた銀の砂をこぼして何かを作る。

 それもまた、ガン・ロッドではあった。ただし自らの右腕をその銃身に巻き込んだ形の――だがアレでは射角が減る。本来なら、それは不利な進化のはずだった。

 それをノーブルたちも悟ったか。数少ない好機とみて、一斉に攻勢に出た。

 対するメタルも待ちはしない。迫るノブリス三機を相手に、魔弾を撃ち返す――

 これまでとは違って、()()()()()()

 それが何か、アルマだけが瞬時に気づいた。


「ダメだ、避けろ――生体弾だ!!」


 だが遅かった。

 狙われたのは三機のうちの一機、<バロン>級だ。三機の中では比較的機動性が低かった。これまで何度か攻撃がかすり、装甲が半壊している――言い換えれば限界ギリギリを見切り、抗戦を続けていた。

 今回も同じように、それをした。

 銀色の弾丸は、通常の魔弾より弾速が遅い。それでも大げさな回避の手間を嫌ったのだろう。彼はこれまでと同じように機体にかすらせながら回避して、敵を狙った――

 変化が起きたのは、その直後だった。


『――? な、に? なんだ、これ――』


 機体の装甲に、銀色の砂が付着していた。

 その砂が――一瞬後には、爆発したように増殖して膨れ上がる。

 そして自らがこびりついていた<バロン>級を、貫くように殺到した。砂は機体の隙間から、瞬く間に内部へ潜り込み――


『ヒ、ぃっ!? な、あ、あ、ァ――ぎゃああああああっ!?』

『アレクっ!?』

「な、ん……!?」


 発せられた男の悲鳴――次いで起きた変化に、ムジカは愕然と目を見開いた。

 

『アレク――アレクっ!? 応答なさい! 何があったの――アレク!!』


〝シルフ〟のノーブルの声も遠く。名を呼ばれた<バロン>級ノブリスの内部から……赤い液体がこぼれだす。それが何かは考えるまでもない。悲鳴はその時にはもう終わっていた。

 もう二度と、声を発することはない。

 そしてだというのに、その<バロン>級ノブリスが空から墜ちてくる様子もない……

 と、アルマが囁いた。


「生体弾だ。あいつ、自分を撃ち出した」

「……は?」

「銀色の魔弾なんか存在しない。あいつ、自分の一部を撃ち出して付着させて、装甲の隙間から潜り込んでノーブルを殺した!!」

「はあっ!?」

「それだけじゃない、アレは〝浸食〟することを知っている――かすっただけで、ノブリスが乗っ取られる!!」


 事態はそれだけでは終わらない。

 かすっただけでほとんど外れていた銀の弾丸が、不意にその動きを宙で止めた。同時にその形状が変化を始めた。泥人形のように、不格好な人型へと。足りない体積を補うために、ゆっくりと増殖を始める――完成まではまだ遠いが、それが何かはムジカにもわかる。

 このスバルトアルヴで何体も見た、ノブリスもどきのメタルだった。


「アレが今回のメタルハザードの元凶だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。装甲を無視して、中のノーブルだけ殺すよう方法まで覚えた……<マーカス>級ノブリスを取り込んで生まれたメタル!」

「どうすりゃいいんだ、そんなもん――……ちっ!!」


 舌打ちする。反応できたのは、ムジカが警戒をやめていなかったからだ。

 戦闘はまだ続いている。その中でムジカが注視していたのは、血を溢れさせて動きを止めている<バロン>級ノブリス――アレクと呼ばれた誰かが乗っていた機体。

 それが不意に再起動すると、そのガン・ロッドをこちらに向けた。

 刹那の判断でアルマを突き飛ばすと、ムジカは全力で前進した。

 放たれた魔弾の色は赤。<バロン>級の最大火力が二人の間で弾け、小規模の爆発を産む。その爆風に乗るようにして、ムジカは敵になったノブリスへ迫った。


「――っ! 少年!!」


 いつの間にかアルマのこちらの呼び方が変わっていたが、そんなことに構っていられない。

 敵の動きは鈍く、反応も遅い。この程度なら――例え<バロン>級ノブリスが相手であろうと――敵ではない。普段なら。

 だが迫る敵を前に、ムジカは歯噛みした。アールヴヘイムのノーブルたちは〝ヴィルベルヴィント〟にかかりきり。自分ひとりで敵を相手にしなければならない上に――


(ガン・ロッドもなしに、ノブリス相手しろってか……!!)


 無茶だ。だがそれでもやらなければならない――

 先ほどの<バロン>級の最初の一撃。敵が狙っていたのはムジカではない。アルマだ。

 思えば一番初めの時も、あの〝ヴィルベルヴィント〟が見ていたのはムジカではなくアルマだったように思える。アルマに何があるのかは知らないが……メタルは明らかに、彼女のことを気にしていた。


 再度放たれた魔弾を紙一重で避けると、その一瞬でムジカは敵の懐へ飛び込んだ。

 敵はノブリスがゼロ距離まで踏み込んでくることを想定していない。想定外に硬直している敵の顔面に拳を叩きこんだ。今の<ダンゼル>で出せる最大火力、M・G・B・Sも遮断した質量打撃。

 相手が人間ならこれで十分な威力だが――敵は機能停止しない。吹き飛んだその勢いを即座に殺してみせた。人間よりもはるかに復帰が早い。

 だけならまだしも――今度は逆襲のように、敵が全力で突撃してくる!


「なっ……!?」


 今度は、ムジカが泡を食う番だった。学習が浅い個体ゆえか。敵は今の一当てで近接戦闘を学び、即座に対応してくる。

 持っていたガン・ロッドを投げつけてこちらの回避機動を妨げると、意趣返しのようにゼロ距離へ。

 突き出された拳はガントレットで弾くが、ハッキリ言って悪手だった。

 正解択は殴打を受けて吹き飛び、逃げる距離を稼ぐことだ。間違いを選んだ結果、ムジカは敵に張り付かれた。殴打、蹴撃、頭突き、体当たり、何でも混ぜ込んで襲い来る。

 格闘距離から抜け出そうにも後退では限界がある。こちらから再度仕掛けて、相手と距離を取るしかない――

 わかってはいたが、相手のほうが一手早かった。


「……っ!?」


 突き出された拳を叩き落した腕に、鈍い衝撃。

<ダンゼル>のガントレットを、敵ノブリスが握り締めていた。振りほどこうにも、間に合わせのガントレットではパワーが出ない。

 敵の狙いをそれで悟った。こちらの拘束だ。となれば、次手は――

 敵は唐突に動きを止めると、バイタルガードを解放した。


「……は?」


 完全に理解の外の行動に、思わずそんな声が出た。

 装甲板がスライドし、中から覗くのは搭乗していたアレクとかいうノーブル――では、ない。

 銀色の、砲口だった。


(ノーブルを〝消した〟、その後で――)


 その余剰スペースを、魔弾の生成機構に改造した。

 しくじった。相手がメタルだということを理解しきれていなかった。改変を続ける敵を相手に対ノブリス用の格闘戦を仕掛け、そして受けたミスだ。

 砲口が燐光を灯す。明らかに過剰威力の。こちらを一撃で消し飛ばすことを目的とした、その用意。拘束から逃れる術はムジカにはない――


「――少年っ!!」


 悲鳴と異変は、その直後に起きた。

 横合いから殴り掛かられるような、唐突な衝撃に息が詰まる。何が起きたのかと視線だけで見やれば、そこにいたのは<サーヴァント>だ。

 

「アル、っ……!?」


 ただし、中には誰もいない。おそらくは、魔道機関が溜めていた残存魔力だけで動いている――

 アルマの狙いが何か、悟ってムジカは呼吸を止めた。今できる範囲で対ショックの用意を固める。

 ――そして次の瞬間には、<サーヴァント>が自爆した。


「ぐっ――ううっ!!」


 爆発の衝撃に逆らわずに勢いに乗る。流石の敵も横から自爆されるなど想定していなかったのだろう。ムジカと同様に吹き飛ばされ、その瞬間に拘束が解けた。

 アルマの機転に救われた――一方で、追い込まれた。自分がではない。アルマがだ。

 衝撃から機動制御を取り戻してアルマのほうを見やれば、彼女は浮島の大地から形容しがたい表情でこちらを見ていた。

 青ざめた顔。今にも泣きだしそうな。自分が過ちを犯したと気づいても、そうするしかなかったと震えている。

 アルマが本来取るべきは、ムジカを見捨てて逃げることだった。何をしようとしているのかは知らないが、彼女にやるべきことがあったのなら。目的の場所へ、<サーヴァント>で行けばよかった。

 それを違えてでも、ムジカを救った――だからこそ彼女は震えていた。機動力を失い、目的を果たせなくなった事実を前に。

 だがまだ終わりではない。少なくとも、ムジカにとっては。

 同じく姿勢を制御して、再度敵が襲い来る。この敵を捌かないことには先などない。だからムジカは身構えて――

 迫る敵の動きを、遠方から放たれた魔弾が止めた。


「今度は、なんだっ!?」

『――ムジカぁっ!!』


 その声にハッとそちらを見やれば、遠方に見慣れた<ナイト>の姿が見えた。

 ラウルだ。他にも数機、アールヴヘイムのだろうノブリスも。ようやく追いついてきたらしい。

 敵ノブリスへ牽制の魔弾を放ち続けながら、ラウルが言ってきたのがこれだった。


『行けっ!! アルマ嬢の目的を果たさせてやれ――急げ、もう()()しか方法がないっ!!』

(ラウルまで……? 本当にこんな状況で、打てる手がまだあるのか?)


 だとしたら、それはなんだ。

 嫌な予感に、だが悩んでる暇などなかった。事態は急変を続けている――先ほど〝ヴィルベルヴィント〟が放った生体弾から変化を続けていたメタルが、そのタイミングで〝完成〟した。

〝ヴィルベルヴィント〟と戦闘しているノーブルたち。ラウルや、遅れてやってきたアールヴヘイムのノブリス。それらを無視して、そのメタルはアルマを見ている――明らかに、アルマを警戒している。

 迷っている余裕などない。たたちに降下すると、こちらを見上げていたアルマを地表から抱き上げた。

 しがみついてくるアルマを守るため、赤子を抱くように両腕で抱えながら、問う。


「結局、どうすりゃいいんだ――どこを目指せばいいって!?」

「政務館だ! その最上階――そこに、管理者用の部屋がある。システムの中に見取り図があった。玉座の間の、その逆側!!」

「玉座って、ンなもんまで作ってんのかよ趣味悪い!!」


 叫んでムジカは、全力で<ダンゼル>を機動させた。

5-6章更新です。


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25/5/31
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