書籍1巻 発売記念SS 夫には敵わない
本日2/2『婚約破棄から始まる仮初の婚約~恩返しのはずが由緒正しき王家の兄妹に甘く囲われました~』書籍1巻が発売です(*´∀`)♡
レーベルはKラノベブックスf様!(講談社)
各書店限定SS特典や、電子書籍限定SSもあります!イラストはShabon先生でとっても美麗です。是非お手にとってくださると嬉しいです!よろしくお願いします!
そして新作の短編も投稿しています!
『愛するお義兄様を幸せにするために婚活に挑んだ結果』
↓にリンクが貼ってありますので、ぜひ(*´ω`*)
目の前に広がる剣を捌く騎士たち。荒い息遣いに、敵に対峙したような鋭い眼光。
対象者を守るため、敵を殲滅するため、国を守るため、一切妥協を許さず訓練をする騎士たちに混じり、本日非番のセレーナは訓練に励んでいた。
(やはり、一人で走り込んだり素振りするのでは訳が違うな)
セレーナはキャロルの専属騎士であり、第三王子フィクスの妻だ。
本来の騎士の仕事に加えて王族の伴侶となった彼女には時折、公務や社交界にも出席しなければならなず、訓練に割ける時間が少ない。
空いた時間に一人で走り込んだり鍛錬は積んでいるものの、やはり相手がいるのとでは雲泥の差だった。
せっかく巡ってきた好機だ。いつも以上に訓練に打ち込もう。
気持ちを引き締めたセレーナだったが、少し遠い場所に設けられている観覧席から聞こえる大きな声に集中力を削がれ、ふぅ、と大きく息を吐いた。
「ハァ〜〜セレーナ格好良い! さすが私のセレーナ!」
「は? セレーナは俺の妻なんだけど?」
その大声の正体は、セレーナの守るべき主であるキャロルと、夫であるフィクスその人である。
キャロルもフィクスも自身の仕事をサボるような人ではない。おそらく休憩時間中なのだろう。
それならば二人がこの場にいることに苦言を呈することなどできるはずもない。
だが、それにしても声が大きい。
あと話している内容が若干恥ずかしい。
いや、厳密に言うとキャロルのああいう発言は今に始まったことではないので慣れている。
主に褒めていただけるなんてこれ以上ない誉れであるため、こちらは別に良かったのだ。
ただ、問題はフィクスだ。
「あらやだ、お兄様。セレーナは私の専属騎士でもあるのですよ? 私を守るために訓練していることをお忘れかしら? 私のために剣を握るセレーナ尊いですわ〜〜!」
「確かにお前はセレーナの主だから、あの剣で守られるのはお前だろう。けど残念だね、キャロル」
「な、何がですの?」
「訓練が終わったあと、疲れたセレーナと一緒に湯浴みをしたり、他の奴には見せない色香の含んだ表情を見られるのは夫である俺だけなんだよ? そこのところ分かってる?」
「んなー! ことあるごとに取ってくるその夫マウントが鬱陶しくてたまりませんわー!」
そう、フィクスはたまに……俺はいや、とても頻繁に自身がセレーナの夫であることを周りに言いふらすのだ。
こればっかりは、さすがのセレーナも恥ずかしかった。
フィクスの言葉もそうだが、特に、お前も大変だな……凄い人の妻になったもんだよ……という仲間の騎士からの何とも言えない視線が。
「……フィクス様、キャロル様、大変申し訳ありませんが、もう少しだけ声の大きさを抑えていただいて構いませんでしょうか?」
恥ずかしさが限界突破したセレーナは、一旦訓練を中断し、フィクスたちの元へ向かうとそう尋ねた。
キャロルはセレーナの側に駆け寄り、キュルルンとした上目遣いで見つめてくる。
「ごめんね、セレーナ。お兄様のせいで。でも聞いてほしいの! セレーナがあまりにも格好良くて静かにしていようと思っても口が勝手に動くのよ! 好きぃぃ!」
「そこまで仰っていただけるのは大変光栄なことです。ありがとうございます、キャロル様」
「んふふっ、そういう律儀なところもなお好き! んへへ、んへへっ」
キャロルは王女とは思えないほどニマニマと口元を緩める。
その姿が周りに見えないようキャロルの侍女たちがバッと彼女の口元を扇子で覆い隠す。そして、このままでは王女の威厳を保てないと思ったのか、素早い動きでキャロルをこの場から遠ざけた。
セレーナが安心したのは束の間、次はフィクスが目の前に立っていた。
彼はキャロルと違い、申し訳なさそうなんて一ミリも思っていないような、絵に描いたような余裕の顔だ。
「そうそう。俺の妻があまりに美しいから、つい大声になっちゃった。ごめんね? 愛してるよ、セレーナ」
「……」
「あれ? 俺の時はキャロルの時みたく喜んでくれないんだ?」
楽しげな声を弾ませるフィクスに顔を覗き込まれ、セレーナはズイと後退る。
今自分がどんな顔をしているか、鏡を見なくても分かってしまったからだ。
「はは、照れてる。……可愛いね、ほんと」
「……っ、フィクス様、こういう話はあまり人がいるところでは」
「じゃあ、二人きりなら良いってこと?」
「!」
ああ言えばこう言うとは、まさにこのことだ。
しかし、惚れた弱みなのか、それとも主であるキャロルがいるからかなのか、はたまた周りに仲間の騎士たちがいるからなのか、セレーナはぐっと口を閉じて力なく目の前の男を睨みつけることしかできない。
怒りを表すのにはあまりに弱々しいそれに、フィクスは目を細めるようにして笑みを浮かべた。
「……セレーナ、訓練は程々にして、ちゃんと夜まで体力残しておいてよ? この意味……分かるよね?」
そしてフィクスは、最後に今日一番の爆弾発言をしてその場を悠々と去っていく。
「〜〜っ、フィクス様!」
もう! さすがに! いい加減にしてください!
そんな気持ちを込めて名前を呼ぶも、フィクスはこちらに背中を向けたまま手をひらひらと振るだけだった。
(諦めるのは性に合わないけれど、一生勝てる気がしない……)
今もなお飄々とした笑みを浮かべているのであろう夫にセレーナはそんな思いを馳せながら、訓練を再開させるのだった。
本日2/2『婚約破棄から始まる仮初の婚約~恩返しのはずが由緒正しき王家の兄妹に甘く囲われました~』書籍1巻が発売です(*´∀`)♡
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