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キリが悪くかなり短めです。

「フレア……私は、今度はどこに行けば良いのかしら…………」

「はい?」

「この結婚は王命だからめったな事では覆らないけれど、治らない病気を抱えていると分かれば白紙に戻る可能性があるわ。そうしたらここにはいられないもの……」


(え?お嬢様ったらなんでそんな飛躍した考えに!?あ、10歳の頃から王太子殿下の婚約者候補という立場でいらっしゃったから、思っている以上に色恋に疎いってこと!?)



マリアベルはずっしりと重い何かが胸に詰まってしまったような気がした。


父や母、弟が生きていたころとはまた違うけれど、確かに温かな世界がここにはある。

ここに来てからは随分と心が軽くなったのに、病を抱えているのなら温かなこの場所にはいてはいけないだろう。

酷く悲しくなって俯いてしまう。


「ちょ、ちょっと待ってください。分かりました。ちゃんとご説明しますから、落ち着いてください」

「説明?」

「はい。不治の病とは、恋の病にございます」

「こいの、やまい?」

「恋愛の恋、色恋の恋です。胸が苦しくなるというのは、恋煩いですね」

「―――………………えぇっ!?」

「旦那様の側にいるときや旦那様の事を考える時に胸のあたりが苦しくなるのは、それだけ意識しているからでしょう。旦那様を思うと切なくなったりドキドキしたりするのでは?」


確かに、訳もなく切ない気分になったりドキドキして落ち着かない気分になる。


「わっ、わた、わたしっ、ど、どど、どうしたら!?」

「どうもしなくていいのでは?あと半年もすればおふたりは夫婦になるのですから」

「そっか、そうよね。ふうふ、になる、のよね」


(これが恋……そういえば小説にも同じような状態になっている主人公がいた気がするわ)


これが恋なのだと自覚したら、そうとしか思えなくなってしまった。

一層落ち着かない気分になって、何かしなければと焦る気持ちにもなるけれど、全く嫌な気分ではない。


そして、はっと気が付いた。

私、好きな人と結婚出来るんだ。

もしかして、夢が叶う?


両親のように想い合っての結婚ではないけれど、でも、好きな人と結婚したいという夢は叶う事になる。

そう思うととても嬉しかった。



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