5
今日は学校のプールが清掃の為お休みなので、宗次はラジオ体操が終わると、すぐに廃屋の基地へ向かった。
台風は今朝のテレビの天気予報で、日本を大きく反れ、進路を変えた。
宗次の心配は杞憂に終わった。
台風一過の雲一つない青空、少しだけ涼しさを感じる。
路地脇にあるプランターの植物の葉や茎には、雨滴をのせ水々しい。
宗次はその世界を走る。
多量に雨水を吸い込んだ竹林に足をとられ、水が靴にしみ込んでくる。
視界に廃屋が見えると、陽光がより強く夏の日差しとなり、それまでの涼を一気に奪い去る。
秘密基地からは、湿り気とカビの独特な匂いがムンとたちこめていた。
宗次は、基地の中へ入る。
すると、奥の方でガタンという物音がした。
「誰かいるのか?」
彼は物音のした方に呼びかけるが返事はない。
そっと先へと進む。
外から、女の子が「おーい」と呼ぶ声がした。
「・・・・・・」
宗次はその声を無視し、廃屋の奥へと歩みを進める。
昨日、夏希、猛と喧嘩別れの原因の場所となった部屋の手前へ来ると、ドスッと人が転ぶ音がした。
(・・・ここに誰かいるぞ)
宗次は確信すると、秘密基地メンバーではない誰かがいるのかもとも思い、緊張する。
ゆっくりと忍び足で歩き、その部屋を覗き見た。
「実・・・お前」
部屋にいたのは、実で手に握り締められていたのは、あの雑誌だった。




