廃屋の秘密基地 1
ちょっぴりエコな「廃屋の秘密基地」です。
廃屋の秘密基地
「きゃっ、いや、不潔!」
と、廃屋の一室で叫び声があがった。
声の主は鹿島綾子であった。
外で聞こえた「おーい」と呼ぶ声は彼女だったのだ。
「なんで、お前がこんなところにいるんだよ」
宗次は突然の綾子襲来に驚いた。
「とんでもないスケベ男ねっ、この変態!いたいけな実君にこんな変態雑誌を見せて」
罵る綾子に、
「なんでいるんだよ!」
宗次は声を荒げた。
「・・・・・・」
恐縮する実。
「夏希君の後ろをつけてきたのよ。また、あなた達が悪さをしないかってね。そしたら案の定、実君を悪の道に連れ込もうとしていたわ」
綾子は宗次を威嚇し睨んだ。
「なんだ。それ!」
負けじと、宗次も睨み返す。
二人が敵対心をむき出しにしていると、夏希と猛がやって来る。
「げっ!鹿島綾子」
猛は彼女の顔を見るなり絶句した。
「なによ、三バカトリオ!ついに揃ったわね」
綾子は、宗次の後に夏希、猛と順番に睨んだ。
(どういうことだよ)
夏希は宗次に口を動かしながら尋ねる。
(知るかよ)
と、宗次は返した。
「そこ、何やってるの!」
綾子は視線で二人を黙殺する。
それから、
「はぁー」
と、深い溜息をつき、急に優しい表情をつくって、ゆっくりと実の元へ歩いた。
「大丈夫だった実君。怖かったでしょう」
綾子は実に静かに落ち着いて言う。
実は恥ずかしいやら何やらで、身体を小刻みに震わしながら泣いていた。
彼女は、ますます勘違いし、
「もう、私が来たから大丈夫、あの変態男達を懲らしめてやるからね」
綾子は実の肩をぽんと叩く。
「・・・・・・」
宗次は言葉も出ない。
「えっぐ・・えっぐ、ち・・・ち・・・ちが」
実は懸命に言おうとするが、涙声で言葉が声にならない。
綾子は実の姿に大げさに首を振りって、
「何も言わないで、分かっているわ。さっ、一刻も早く悪の巣窟から逃げましょう」
と、実の手をとった。
「悪の巣窟だって」
夏希は呟いた。
「なぁ」
と、猛は頷く。
「さっ、行きましょう」
綾子は強引に実を引っ張ろうとするが、彼は踏ん張って抵抗した。
「・・・どうしたの?」
綾子は両手で実の左手を掴み、ぐいっと引っ張った。
「ち、ち・・・ちが・・・」
実は力を入れて踏ん張る。
「さっ、帰ろう!」
綾子は語気を強め、強引に実を引っ張ろうとする。
「違うんだ!」
実は叫ぶと、綾子の手を振り払った。




