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嘘と秘密  作者: Noeru
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⑤嘘と秘密

⑤嘘と秘密


 次の日の朝、バス停で空に会った。

「おはよう!昨日はありがとうね。」

空が先に声をかけた。

「いえいえ。こちらこそ楽しかったよ。ありがとう。」

そんな話をしていると二人の後ろからミカがバスに乗り込んできた。

「おはよう!何、朝から二人でイチャイチャしてるの?」

「してないよ!」

二人の声が重なった。ミカは息ぴったりな二人の顔を見比べながら驚いた。

「いつからそんなに仲良くなったの………?」


 バスが動き始めてしばらくしてミカが口を開いた。

「そういえば、来週の振替休日って、二人は予定ある?もしも予定がなければ企業見学いかない?」

「あぁ、大学独自の平日休みの日か。そういえば見学会があるってゼミの先生も言ってたなぁ……。バスケの試合の前日だけど。」

空は少しだけ興味があるようだった。ひかりはすぐにバッグから手帳を出し、予定を確認した。

「うちは予定が入ってないから行けるよ。」

「やった、じゃあ三人で申し込もう。空も行けるでしょ?あんた暇そうだしね。」

「暇では無いけど、予定は無いから遅くならないならいいよ。」




振替休日の当日。

ひかりが集合場所の改札に着くと空を見つけた。

「空くん、おはよう!早いね。」

腕時計で時間を確認すると集合時間よりも三〇分以上早く着いていた。

ひかりは余裕を持って着くようにしていたが、それよりも早く着いていた空に驚いた。

「おはよう。遅れたら嫌だから早く家を出てきたんだよ。ひーちゃんも早いね。」

添乗の先生や二人を誘った当の本人であるミカなどの参加者はまだ見当たらなかった。

駅は通勤ラッシュが落ち着いてきているものの人でごった返していた。

しばらく二人きりの時間が続いた。ひかりは、行き交う人をボーッと見ていた。

すると空がひかりに声をかけた。

「ひーちゃんは、ここに来るまでどれくらいかかった?」

「約1時間くらいだよ。空くんは?」

「俺もそれくらい。」

すぐに会話が途切れてしまった。空は、リュックから飲み物を出した。

ひかりはその飲み物のパッケージを見て言った。

「あ、それ知ってるよ。今週に出た新商品でしょ?」

「お、よく知ってるじゃん。これ、めっちゃうまいよ。」

空は嬉しそうにパッケージを見せながら言った。

「そうなの?私も発売前から少し興味あったんだ。」

「思っていたよりも飲みやすいよ。よければひーちゃんも一口飲んでみる?」

空はペットボトルを差し出した。ひかりはその迷いのない空の行動に戸惑った。

(これは間接キスなのでは…?でも、断ったら失礼かな……?)


空は黙ってしまったひかりの様子に気がつき咄嗟に謝った。

「あっ、えっと。ごめん。つい、いつもの癖で……。」

空は焦りながら恥ずかしそうにした。

「あ、いや、別に大丈夫だよ。そ、それよりいつもの癖って………?」

ひかりは誤魔化すように空に聞いた。

「くーちゃん……妹とかだよ。俺、四人兄妹でさ。下の子に『ちょうだい』ってよくされるから回し飲みとか日常茶飯事なんだよね。」

「そうなんだ。空くん、お兄ちゃんなんだね!」

空はスマホを取り出し、妹たちの写真を見せてくれた。

その写真は空を中心に兄妹が仲良く写っていた。空は自慢げに笑顔を向けながらひかりに言った。

「かわいいでしょ?ひーちゃんは何人兄弟?」

「上に一人いるよ。頼りないお兄ちゃんだけど………。」

「へぇー、そうなんだ!確かにひーちゃんの方がしっかりしているイメージあるかも。」

「え、そうかなぁ。ありがとう!」

二人の緊張が、解けてきたところで一気に参加者と主催の先生が来た。その中にミカもいた。

「おはよう!二人とも早くない?もしかして私を差し置いて二人で待ち合わせしてきたとか?」

「いやいや、そんなことしてないよ。たまたま二人とも早く着いたってだけ。…というよりミカが遅刻してないって珍しいね。」

空は笑いながら言った。するとミカは怒りながら言った。

「珍しいって何よ!私、遅刻キャラじゃないし。」

「え、いやいやお前、高校の時の卒業ディズニー大遅刻してたじゃん。」

「あ、あれは………たまたまだし!変なこと思い出させないでよ。」

空はミカをからかった。

ひかりはそんな仲睦ましそうな様子を見て、二人が高校の同級生であったこと改めて認識した。

ミカがひかりを見ながら言った。

「ほら、ひーちゃん困ってるじゃん。なんか、ごめんね。本当に空が言うことは気にしなくていいからね。」

するとひかりは空の肩を持つように真面目な表情で言った。

「いや、今更隠さなくていいよ。ミカのことはうちも分かってるから。」

「ひーちゃんまで、もぉー!」

空はそんな二人のやりとりを見ながら笑っていた。


 参加者の集合がかかった。

すぐに一日のスケジュールを確認し、見学する企業に徒歩で向かった。

すると、ひかりはミカに袖を引っ張られて耳打ちされた。

「今日は頑張って、空との距離を縮めるんだぞ。」

「え、なに。どゆこと?」

「もう、何言ってるのよ。ひーちゃん。空と仲良くなるチャンスってこと!」

「いや、別に空くんに対してそういう気はないから……」

勝手に盛り上がるミカを牽制しながらもひかりは前を歩く空を少し気にしていた。


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