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アラクネ姉さん  作者: ますくばろん
森の中のアラクネ姉さん
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森の中のアラクネ姉さん 4

バリ……ボリ……。


ドキドキワクワクしながら向かった反応地点に到着……したのはいいんですが、これはどういう状況ですかね?


私の真下で繰り広げられるテンプレの様なゲス現場とでも言えばいいんでしょうか。


小麦肌で白髪……いえ銀髪の剣士風な出で立ちの女性と、小柄で金髪の女性というか少女? が二人組の如何にもアングラで俺ってかっこいいぃって、勘違いしてそうな男性たちに剣を向けてます。


で、私はそれを木の枝から見下ろしてるわけで。

因みに、それなりに高い位置にいます。


私が張った巣のお陰で音声は拾えてますが……何と言いますか、ね。


「――これだから! PKやってる奴は嫌いなんだよ!」と言ってるのは、多分小麦色の肌の女性――小麦ちゃん。と仮称します。


で小麦ちゃんに守られてる風な、怯えてる……のかな? たぶん。彼女はロリちゃんと仮称。


「――威勢がいいねぇ。黒エロフは」

「エルフな。でもエロフって感じだよなっ! リアルはギャルか? ははっ!」


とかなんとか言ってるのは……ゲスAとBで。


へー小麦ちゃんはエルフなんですね。じゃロリちゃんは、と思っていたらゲスから彼女についての情報が、


「ささ。生産職で有名なノアちゃん? 君の持ってる素材アイテムと――そだね。なんか作ってくれたら見逃してあげるんだけど? どかなぁ?」


うわぁなんかイラっとくる口調ですね。


「ほ、ほんとですか?」と怯えながら要求に従おうとしてるのがロリちゃん改め、ノアちゃん。


「ばかっ! 信用するなっ! こーいうクズは頭の中までクズなんだから!」とノアちゃんを制止する小麦ちゃん。


うんうん。その通りだと思いますよ私も。


うー……ん。どうしよ? 助けるべきなんでしょうが……助ける理由がないんですよねぇ。


というわけで、私会議を脳内で開催。議題『助ける理由は?』


先ず、このゲームでPK、いわいるプレイヤーがプレイヤーを殺す事は肯定されている。

なので、フィールドに出る、もしくはPK可な区域に行く事はそう言った危険性を考えなければならない。

よって今起きている事は『この世界では許された行為』になる。

なので、女性が襲われてる!! 助けなきゃ! って安易に行動すべきではないのでは?


感情論からいえば、悪はゲスABで彼女たちを助けるのが正義。

うーん。これだと私に何のメリットもないんですよね。

まぁあるとすれば私への感謝とか交流の切っ掛け。

いわいる恩を得られる、ですかね。それと自己満足。


私は正義は究極の自己満だと思ってますからね。

別に正義を否定はしませんが、正義とは感情であり理論ではない。そんな風に思うのですよ。

我こそが正義である! って声高々に正義を理論と位置付け、だから正義だ、と言ってる人って信用できないんですよね。

感情っていう超理論使ってわけわかんない事言ってるクレーマーとか見た時なんか特に。

まぁこれは個人のそれ、なんでここまでにしときましょう――怒られそうなんで。


よって、正義感のみで行動するのは理由としては弱いなぁ……――っん!?


ここで私の灰色かもしれない脳みそが閃きます!


対人実験とすれば私にも理がありますね。

私のスペックで現状プレイヤーとどこまで戦えるか、その確認を彼らですれば、彼女たちの救出にもつながります。


よし! そうと決まれば、早急に実験開始です。


別段見殺しにしたいわけではないんですよ?

そりゃ、あんな野盗のようなクズは見てて、腹が立ちます。ですがこの世界はそれが肯定されている弱肉強食な世界です。なので感情でそれを否定するのはねぇ。

私も人間ですから、感情を優先させるときもありますが、自分が納得できる理由をちゃんと見つけたいんです。


とまぁ自分を弁護してる間に準備完了。


後ろ脚四本から糸を出して足場にしている枝に巻きつけます。

そして私は逆さになって宙吊り状態に、何と言いますかクレーンゲームのアームになった気分です。

現実だと絶対頭に血が上る体勢ですよねぇ、と思いながら糸を伸ばして降下。


すーっと音もなく下へ下へと、音を立てないように枝を分けつつ……おっとこの辺でしょうかね。

いい感じにゲスの後方に位置取れましたよ。


で状況は――


「おらっよっっと! ははっ! エロフ姉ちゃん乳が邪魔で動き悪いんじゃない?」

「おお! 揺れる揺れる!」


とテンプレ発揮中。


「――くそっ! 死ね! クズっ!」と威勢よく剣を横なぎに振りますが、避けられてますね。


ふむ。どうやら回避速度が高いんでしょうか? 余裕を持って避けてますからね。彼ら。


でも、欠伸が出そうなほどスローだぜ、と言いたい。

そのぐらい彼女も彼らも遅い。


もしかして私よりレベルが低いので?


そんな風に見ていると小麦ちゃんの背後に回ったゲス……B? がサクッと彼女を切りつけます。


「どーよ? 俺のスキル【ステルス】 取るの苦労したんだぜ?」


自慢げに言ってますが……ただ姿が見えなくなるだけで、なぜそこまで自信ありげ何でしょうか?

【熱源感知】でバッチリ見えてましたよ? それ。


……うん彼からの行動から得られるものはないですね。

それに小麦ちゃんのHPがそろそろ限界のようです。


小麦ちゃんと目が合ったのを合図に()()()()です。




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