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アラクネ姉さん  作者: ますくばろん
森の中のアラクネ姉さん
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森の中のアラクネ姉さん 3

おや? 姉さんの様子が……?

 ささっとやってきました東方の森。


 依然としてまだ森です。

 けっこーな距離移動したと思うんですが……リアルな森なんでね。距離感が曖昧です。


 ここに至るまで、ちょいちょい狩りという食事をしながら来たんですが、ついにレベルが五十になりました!

 そんで尻尾? が生えました。何言ってるかわからないでしょうが、私も何が起こったのかわかりません。


「これは……なぜ? しかも脚が六本から八本に増えました。まぁ蜘蛛は八本脚ですからね。それはいいんですが」


 生えた尻尾? でいいのでしょうか?

 外殻が蛇腹状に重なった尻尾とでも言えばいいんですかね?

 そんでもって、その先っぽは矢じりの様な感じに平べったく尖ってます。

 表現しにくい形状してからに……。


「尻尾の割には背中の中央辺りに生えてる感がします。まぁお尻ないですからね」と言いながら尻尾の付け根を触りながら確認。


「おや? この尻尾伸ばせます? ――おお伸びた。……けっこう伸びますね」


 新たな感触のままにやってみると尻尾がだいたい目測で十mほどシャラシャラっと小さく音を立てて伸びました。

 んー感覚的には腕をすんごい伸ばしてる感じですか。へー、と何となく手をぐっと開いたイメージをすると、カシャンという音が。


「まさか」と思い尻尾を元の長さに戻す。

 で、音が鳴ったであろう部分。それは先ほどの尖った先っぽ部分。

 それが少し開いてその隙間から両刃の剣みたいなのが……またややこしいな! これ!と見ていると――


『特定の行動をとった事により、アビリティ【テイルソー】を習得しました』といういつもの声が聞けてきました。


「刃が飛び出す尻尾……。アラクネとはいったいなんぞやって言いたいですが、便利そうなので。よしとしましょう」


 で説明を見る限りでは、どうやらこのテイルソーも私の手足同様に毒を流す事ができるようです。

 思いのほか有能なアビリティをゲットしたんじゃあるまいか?


 あとは【擬人化】というスキルを覚えました。

 そのままんですね。人になれます。

 これはあとで確認して、今は強化された武装(蜘蛛乙女)が気なるんですよね。


「見た目的には……手甲がちょい変わりました?」と自分の手を見ていると、これまたカシャンと音を立て、手の甲から剣の刀身部分が生えました。


 尻尾もこう表現すべきでしたね……いやだって尻尾から刀身が生えるとか思わないじゃないですか?

 まぁそれはいいとして、どうやら両手ともに生えるようです。


「ついに近接武器が手に入りましたよ! 今まで脚がそうでしたからね。まぁ脚もかなり有能な武器なんですがね。この手の爪も伸ばせるようになってますね」


 とまぁレベル五十になったら、いろいろ戦闘の幅が広がりそうな感じになりました。



 それからしばし、尻尾の操作に慣れるべく近場で狩りをしました。

 で、ただいま勢いよく敵――ゴブリンの頭をぶち抜いた私の尻尾ちゃん。


「アラクネとはなんぞや? 確かサソリとは別種と思うのですが……どうなんでしょ? まぁ強化される事はいい事なので」


 サソリと言ったのは訳が合って……その尻尾の剣? でオーク刺したらそのまま毒が大量に流し込まれましてね。一瞬サソリか? と思ったのですよ。




 さて――バリボリ鳴らして、倒した敵を捕食しながら辺りを見渡します。

 最初にいた森とはどことなく受ける印象が違う事に気が付きました。


「ふむ? どうにもこのゴブリンさんは弱く感じますね……。ん? こいつら味がしないぞ?」


 今は黄色いゴブリンを食べてるんですが、いつもならバナナの味がするのにこのゴブリンからはその味がしない。


「んん? どういう事ですかね」と頭を捻るが答えが出そうもないです。


「こーいう時に取得経験値が確認できないのは辛いですね」


 幾つか見当がつくんですが、確証がないんですよね。

 その内の一つが先ほど言った取得経験値。


 これはRPGお馴染みの自分より弱い敵を倒しても得られる経験値が大幅に減少するってシステムです。

 なのでこれかなっと思うんですが……。

 このゲーム取得経験値がわからないんです。

 情報サイトでは手ごたえを感じなくなったら、狩場移動のお知らせみたいなことが書かれてましたし。


「うーぬ。味がしなくなることがその証拠なんでしょうか。確かに味がしなければ、狩る楽しみの半減ですしねぇ」


 なんというか東に狩場求めたらレベル対象外だった件について……どうしよ?


「戻るにしろ……面倒ですね」と来た道を振り返ってそう思ってしまう。

 ここにきて私の飽き性が唸りを上げてきました。


「とりま……【蜘蛛の巣】使って周辺情報を集めますかね」


 飽きそうになるのをねじ伏せ、スキルを使用。


 地面に蜘蛛の巣のエフェクトが広がり視界に簡易のミニマップが表示されます。

 中心の矢尻マークが私。

 でそこを中心にして広がる蜘蛛の巣を描いた白い半透明なのが、さっきのスキル【蜘蛛の巣】効果範囲。

 ここになにかが触れると赤い点が表示されます。


 でもって蜘蛛の巣付近に、なにかいるとその方向に、ぼんやりとした赤い丸が浮かぶんですが、それは『だいたいこの辺から何か音がしたよ』っとお知らせしてくれるエフェクトです。

 これは【振動感知】の恩恵だったりします。


「便利ですね~私の巣って。で、どうかな……おやこれは?」とおおよそ東の方向。私の巣のギリギリのところになにか反応があります。


「音からして二足歩行ですかね。で微かに金属が擦れる音ですか? これは……人の声?」


 巣から伝わる情報(音)を読み取り、ある程度何がいるか予測できるんですが……人の声は初めてですよ!



 もしかしたら(プレイヤー)と初めての遭遇になるのでは、と胸がドキドキします!

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