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アラクネ姉さん  作者: ますくばろん
森の中のアラクネ姉さん
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夜中のアラクネ姉さん 6

 

 エグエグ泣きながら頭を下げるラミアちゃん。


「ほん、とに。ありがとうございますぅ」

「お気になさらず。えーっとアイリちゃんでよろしいですか?」

「はい! その遅くなりましたがアイリです。ラミアやってます。アラクネさんがシグさんで。アルラウネちゃんが椿ちゃんですね」


 ここでようやく彼女の顔に笑顔が戻ってきました。

 やっぱり私の見立て通りノアちゃん系ですねぇ。ぐちゃってしたくなるほどに可愛いです。

 ですが、ノアちゃんはあわあわしてるはわわ天使。

 アイリちゃんはこう元気っ子な感じがします。人懐こそうですもんねぇ。つい意地悪したくなります。


 因みに下半身の蛇部分は濃い紫色の鱗に覆われています。

 光沢があって紫水晶のようで綺麗です。

 長さもそれなりにあるようですね。


 それから、ここでは落ち着けないだろうという話なり、モルグから出て椿ちゃんおススメのカフェ――ここに来る前に立ち寄った――に行く事になりました。

 今日のマンハントはお預け、ですかね。

 まぁそれでも四人は狩ってますのでいいとしますか。狩り過ぎるのも良くないでしょうし。




「かわいくて、お洒落なお店ですね!」と結い上げた癖ッ毛を揺らしながら、店内を見てはしゃぐアイリちゃん。


 ここに着くまでにいろいろとお話を聞いた事で警戒心はもうないようです。


 聞いた話を簡単に纏めると、彼女はこの街に観光目的で訪れたそうで、街に着いた彼女は先ずギルドに向かい、いろいろと街の情報を集めていたようです。

 そこで先程の男性たちに街を案内するからと声を掛けられ、ほいほいついていき、結果あの場に閉じ込められ嬲られた、との事。


 何故無警戒にエネミーについていったか謎でしたが。

 その疑問には椿ちゃんが答えてくれました。

 なんでもレッドネームを一時的に隠せるアイテムがあるそうで、彼らはそれを使って彼女に近づいたのではないかと言っていました。


「……知らない人にほいほいついて行かないように、と教わりませんでしたか?」

「うぅ、ごめんなさい。凄くいい人そうだったのでつい……」

「なんというか、危なっかしいねぇ。アイリちゃんは」

「それ、レヴィさんからよく言われてます。あ! レヴィさんってのはラミアの使い方? を教えてくれたとっーても強いラミアさんの事です!」


 自分の事の様にフンスと胸を張るアイリちゃん。


 一緒に話を聞いていた椿ちゃんが「ん?」と零し小首を傾げます。


「ちょいまち。ラミアで名前がレヴィ? ……ねぇそのレヴィって人さぁ。クラン持ってない?」

「あれ? 知ってるんですか? レヴィさんは同じラミア種だけのクランリーダーやってるんですよ。私、そのクランに誘われましたがお断りしちゃいましたけど」


 それを聞いた彼女は「あー」と零しながら手で顔を覆ってしまいます。


「椿ちゃん?」と私が声を掛けると首を振りながらげんなりした様子。


「あーうん。ちょいトラウマを思い出してね。でさ、アイリちゃん。最後に聞くけどさ、そのクラン名『世界蛇』じゃない?」

「そうです! やっぱり知ってるんですね! わーやっぱり有名なんですね!? レヴィさんのクランって!」

「知ってるよ……なんつーかさぁ。()()()()()()()()はみんな、アタイみたいな反応するぐらいには有名だよん」


 なにやら意味ありげにそう言って更にげんなりする椿ちゃん。

 それから椿ちゃんがエネミー時代の話を語り出します。


「当時はね、誰が言い出したか半身異形はいい経験値稼ぎになるとか、手ごろに狩れるMOBだとかいうのが流行っててねぇ。エネミーになったばっかりのひよ子ちゃんたちが半身異形だけを狙うってのが多かったのよ」

「ああ、それで半身異形種はMOB扱いされる、とか書かれてたんですね」

「あーそれ私も読みましたぁ。しかもラミアになった後に見ちゃってしばらくすれ違うプレイヤーさん達にびくびくしてましたぁ」

「で、そんな半身異形種たちを守るためにできたのが、さっき話に出た『世界蛇』なのよさ。これがまたえぐいぐらい強くてねぇ。あっという間にヒヨコちゃん達を含めアタイらエネミーは狩る側から狩られる側になちゃったの」


 語られた内容は、その頃椿ちゃんはやりたい放題してたとか。

 で、そのレヴィ氏にギッタンギタンのボッコボコされたという。


「あとはあれだね。戦うクリエイター『クレイジーイノセント』。これがまたヤバくてねぇ。見た目が妖精みたいで愛らしいんだけども……。でぇ、それと何度かやり合った事あるんだけども。最後に戦った時なんか両腕斬り落としたのにも関わらず、アタイの首に噛みついてきてさぁ。もうーおしっこチビりそうになったよ」


 最後にそう話した椿ちゃんはどこか遠い目をして、乾いた笑い声をあげた後「はぁぁ」と深いため息をつきました。




 そのあと、三人で雑談に花を咲かせ、そろそろお開きにしようかと流れになりカフェを出る事になりました。


 そして別れ際に椿ちゃんが話しかけてきました。


「シグちゃんはこの街を拠点(ホーム)にするのかい?」

「そうですね。ルームシェアをさせてもらっている方がこの街でお店を構えてますので」

「ふーん了解さね。であと何日ぐらいログインしてんの?」

「予定では後四日ほどです」

「んじゃー明後日会えるかい? 明日は顔なじみにとかに会って、例のギルドについて調べっからさ」

「それはいいですが――」

「あーー! なんの話ですか!? 私も混ぜてくださいよ!」とアイリちゃんが詰め寄ってきます。


 それに椿ちゃんが彼女の頭をツタで撫でながら、


「んーっとね。アタイら二人でエネミー狩りしようって話さね。アイリちゃんもご一緒するかい?」

「いいんですか!! やりたいです! というかあんな目にあわされたんです! お礼しなきゃ気が済みません!!」


 となにやら威勢のいい事言ってますが……大丈夫なんでしょうか。


「大丈夫です! あの時はシグさんが物凄く怖かっただけですから! あ! 今もう大丈夫ですよ!」とニコーっと可愛らしく元気に笑うアイリちゃん。


「アタイは問題ないよ。あのレヴィに仕込まれてるなら期待できるってもんさね」

「私もいいですよ。手札が増えるのは好都合ですので」

「やったぁ! じゃ不束者ですがよろしくお願いします」


 ペコリとお辞儀するアイリちゃんを見つつほっこりします。



 ん? ちょっと待て、この子私が怖かったと言ってましたが……何故に??



 ――最後にそんな疑問を残しつつ、長くて濃い一日が終了となりました。


 今日だけでお友達が五人も出来ましたよ!? 

 リアルがボッチな私としては快挙です!

やっと時雨ちゃんの長い一日が終了しました。


なんと言いますかグダグダ長くなってしまいましたが、後悔は――以下略。


腱鞘炎のほうも落ち着いてきましたが、突然更新が止まった際はあー手が死んだんだな、と思っていただけると助かります。


最後になりましたが、VRゲーム部門での日間週間月間と一位取る事ができました。

ありがとうございます!

もうやり切った感が強いですが、更にやりたい放題、バリボリ頑張りたいと思います。


引き続き、半身異形萌えアラクネ姉さんをよろしくお願いいたします。バリボリィ

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