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アラクネ姉さん  作者: ますくばろん
森の中のアラクネ姉さん
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街中のアラクネ姉さん


 ――着きましたよ! カーディル! 


 私はノアちゃんとお手を繋いで、ピョンと跳ねて街の城門を潜ります。


 イエーイとハイタッチするロリっ子と……アラクネという悪役の女性幹部然とした姿の私。

 際どいエロさがチャームポイントです。


「すげえ絵図だな」と笑ってるセクシーエロフ、ではなく褐色エルフのレイナちゃん。



 それから門をくぐり終え、私は目に映りこんできた風景に、ほぉーと思わず言ってしまう。


 石造りで趣きある街並み。

 地面は石畳で、何となくですが古い西洋の街並みって感じがします。

 画像とか歴史の授業でこんな風景を見た事がありますねぇ。


「へー大きな噴水広場と言えばいいんですかね? ……これはなかなか」

「あの噴水はこの街のシンボルなんですよ。時間に合わせていろいろ水の噴水の仕方が変わるんです」

「ほほぉう。それはまた粋な演出ですね」


 ノアちゃんから噴水などこの街もウリをいくつか聞きながら私達は街の中を進んでいきました。

 目指すのはノアちゃんのお店。

 なんと彼女はこの街に店を構えているのです。

 流石、有名な生産職と言ったところでしょうか。


 で、これが何に関係してくるかと言えば、勿論私の強化です。

 具体的には種族武装の、です。


 なんでもマーズアニマを合成する事で強化する事が出来るみたいです。

 レベルアップによる強化とは別口のようですが。


 それを行う為にノアちゃんのお店を目指してるわけです。


 では、そのお店に向かう間、ノアちゃんにこの街について軽くですが解説してもらいました。

 噴水が五カ所にあるとか、中央の噴水が大きくてちょっとしたデートスポットになってるととか。


「いいですね。是非とも行ってみたいですねぇ」

「強化が終わったら行ってみましょうか。あ、でも街を案内する時の方がいいかな……」


 とノアちゃんは思案顔になります。

 可愛いですねぇ。女の子って感じで。と思いつつ、レイナちゃんをチラッとみる。


「ん? なんだよ?」

「いえ。我々はノアちゃんを少し見習うべきなのかなって思いまして」

「……そうだな。ノア見てるとそう思うよな」

「ええ。物凄く」


 女の子ってこんな感じと言わんばかりのノアちゃんを横目に先ほどから気になってる事がある。

 それは周囲の視線。

 街に入ってきた時から感じては居たんです。

 でも、先に進むにつれ強くなってる、でしょうか?

 まぁ、原因はわかっているんですがね。


「やっぱ目立ってんな。シグ」と言って、ニヤニヤ挑発気味に笑って私を見るレイナちゃん。


「やっぱとは何ですか。と言いたいところですが……。そのようですね」


 チラ見する人もいれば、ガッツリ見る人。

 この辺はリアルでもよく感じる目線なのであまり気にはなりませんが、気持ちいいモノではないですね。


「シグさん。こういうのに慣れてる感じですね?」とノアちゃんがちょっと心配そうな表情で私を見てきます。

「慣れてると言えば慣れてますけどね。ひどい時は声かけられたりしますし」

「そうなんですか! じゃリアルのシグさんも綺麗なんですね」と目をきらきらさせるノアちゃん。

 レイナちゃんはへーっと言った感じで


「モテるんだな。シグは。でもまぁ声かけられる鬱陶しさはわかる」

「わかりますか? 対処法は姉に教わりましたので実害はないんですが……鬱陶しいですよねぇ」

「お? 対処法ってどんなん?」

「簡単ですよ。私目つきが悪いようなので、ただじっと見つめるだけで逃げていきますから。それからノアちゃん。リアルの私と今の私はそう変わりないですよ? 顔の造形と体型はリアルデータ使ってますので」


 そう言うと二人してえ? と驚いた顔に。


「え? そんなに驚くことですか? あー流石に下半身が蜘蛛だったりとか。髪とか目はこんな感じではないですよ?」

 と補足を付けたしますが、二人の表情は変わりません。


 あれ? どいうこと?


「いやいやなにキョトンとしてんだ? あんたその顔リアルの顔なのか?」

「ええ。自慢の美少女フェイスですよ? 可愛いでしょ?」

「……自分でいうなって突っ込みたいが。そう言い切れるだけの顔してるから何もいえねぇ。でも少女ではないとはっきり言っとくわ」

「ん? 老けてるといいますか!? 今年JKになったばかりのピッチピチですよ!?」


 ここは、私の乙女の沽券にかかわるので強く宣言しときます。

 が、今度は驚愕とはこんな顔だと言える表情になる二人。


 二人とも私の事をどう思っているのか詳しくお聞きしたいですね!!


 それから、私の尋問というお話し合いの結果。

 どうにもお二人は私を年上の女性と思ってたようです。

 確かにリアルでは実年齢より高く見られがちですが……。


「いや。普通に大学生ぐらいって思ってた。まさかアタシらと同い年だったなんて、な?」

「はい。すごく大人っぽいので……。私もれなと一緒で、そのぐらいかと」


 いやーうんまぁ。リアルでも同じ事言われますのでね。


「そうですか……まぁいいんですがね。では、お二人のその姿は……リアルデータではないので?」


「ん? アタシはリアルだな。ノアもこんな感じだしな」と言いつつ、ポンポンとノアちゃんの頭を撫でるように叩くレイナちゃん。

「えっと私、リアルでも、これぐらいしか身長なくて」とはにかむノアちゃん。


「いいじゃないですか、可愛らしくて。でしたら――うちの姉ぐらいですね」

「シグさんのお姉さんも背が低いんですか?」

「ええ。小柄で小さいですね。その代わり、ではないですが、私がデカいです」


 こういった女子トークをしていると、周囲の視線もさほど気にならなくなり、あっという間にノアちゃんのお店にたどり着くことができました。

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