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アラクネ姉さん  作者: ますくばろん
森の中のアラクネ姉さん
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森の中のアラクネ姉さん 9

「コホン」と言ってわざと咳払いをします。


「サイコラブ云々は捨て置き、お二人は何をそんなに驚いているので?」と質問します。


 いやだって気になるでしょ。ノアちゃんも驚いてますし。

 それに……気になるはレイナちゃんが言った『私と変わらない』発言。

 それは私とレイナちゃんの()()()()()()()()()、て事でしょ?


 ここでちょっと不気味なのが私と彼女のゲームのプレイ時間。

 私はゲーム内の時間で四日ほど。

 レイナちゃんは現実時間で一年とちょっと。


 で、私達のレベルが同じぐらいって……おかしいですね。と思いながらも質問したんですが、凡そ私の考え通りのお答えが返ってきました。


「うーん」と難しい顔で考え込むお二人。


「……あのよぉ? これはこのゲームについて考察してるサイトで、見かけた事なんだけど――」とレイナちゃんポツポツ語り出します。


「このゲームのレベルは、他とは違う概念なんじゃないかって話があってな」

「ほかと言いますと従来のRPGって事で?」

「そ。他のゲームってレベルが上がると強くなれるだろ? でもこのゲームのレベルってほんと補助みたいな感じでしかも、めちゃくちゃ上がりにくい」

「このゲームの能力値って数値化もされてませんし。私も気になってそのサイト見たんですが、どうにもその表示も『その人にとって』て感じらしいです」


 とここでノアちゃんカットイン。


「ほう」と相槌を打って話の先を待ちます。


「例えばですね。私とシグさんのSTR値のグラフが、私が二センチ。シグさんが一センチだとします。普通なら私の方が強いとなりますよね?」

「そうですね」

「でもこのゲームはそうじゃないと言われてます」

「その心は?」

「えーっとですね。これも例えばって話ですが。私がゴブリンを二回ダメージ与えて倒したとして、シグさんは同じゴブリンを一撃で倒してしまう。しかも即死判定ではなくです。STR値二センチの私より、一センチのシグさんの方が強い。こういった現象が確認されてるって書いてありました。……すいません説明下手で」


 申し訳なさそうに俯いてしまうノアちゃん。

 あんまりも愛らしいので彼女の頭をなでなでします。

 おお! さらふあ! 毛並みのいい猫ちゃんみたい!!


「え? あの? あぅ――」と先ほどとは違う感じに俯いてしまうノアちゃん。


「お持ち帰りして……ゲージに入れ。ずっと眺めていたい」

「だから! こえぇーよ! あんたの発言は!?」

「失礼。ですが、ノアちゃんが罪を犯してしまいそうになるほど、愛らしいのがいけないのです」


「その――ありがとうございます?」と小首を傾げるノアちゃん。


「よし。全力で持って帰ります。邪魔する者は全身全霊を以てして滅ぼします。ノアちゃんなら天都とも仲良くなれるはずです。何ら問題ない」


「あり過ぎるわ!!」とレイナちゃんの鋭い突っ込み。

 なんか段々と彼女が早妃ちゃんに見えてきましたね

 口調は全く違うけども……性格と言いますか男前なとこがなんとも。


「まっ。冗談はこれぐらいで――ノアちゃんのお話だと。ステータス値で相手より勝ってようが、劣ってようが。それは個人の能力値なので、あてにならないって事ですかね」

「ったく……早い話がそうだな。あんたがあのゲスを瞬殺した理由にもなるな」

「アレは……論外でしょうに。ゴブリン戦隊やピーチオークのほうが、断然手ごわいです」

「いろいろ気になるが突っ込まねーからな。んであのゲスなんだけど。アタシの【脅威判定】でBって出てたから最低でもレベルは六十は堅いぜ? それをゴブリンの方が手ごわいって感じてるあんたってなに? って事だ」


【脅威判定】てのは相手が自分よりどの程度の強さなのかを教えてくれるアビリティだそうです。

 なんて便利そうなアビリティなんでしょうか……こういったところが強みですよね人類種は。



 それから三人であーでもこーでもないと言ってレベルについて考察した結果。

 このゲームにおいてレベルとは、絶対的なモノではなく何かしらの目安。と言った感じに落ち着きました。


「――って事は従来のゲームのようにレベル上げに躍起にならなくてもいいって事で?」

「そーゆ事だな。四日でアタシ同じぐらいのレベルになってるし。ノアだって二十そこらだけど、この辺ぐらいならPT組んどけばなんとかなるし。レベル差でペナルティなんてないしな。でもまぁ高いに越したことはないけど」


「なので」とノアちゃんが話を引き継ぎます。


「私のレベル上げと、あとは素材集めに今日はこの森に来たんです」

「で、ゴブリンにも劣る存在に出会ったと」


「えっと……その。――はい」と彼女は言いにくそう言って頷きました。

 どうやら、そう認識はしてるようですね。


「なるほどねぇ。で話を戻しますが。剥ぎ取りってなんですの? そのままの意味で認識しても大丈夫なんでしょうか?」

「剥ぎ取りは……そうですね。そのままの意味です。MOB倒した後に『剥ぎ取りナイフ』を使うと戦利品オーブを手に入れる事ができます」


 ふむふむ。

 どうやら、MOBを倒した後、数分そのままの状態で死体が残るのは、そう言った意味もあるんですね。

 あとここで彼女言った戦利品オーブとは、このゲームでは入手したばかりのアイテムは基本、手の平サイズのボール状だったりします。これを使用すると中に入っているアイテムに変化する。

 まぁ簡単に言えば、宝箱、でしょうかね。


 でも私の場合だと、倒した後は美味しくいただくので、剥ぎ取りはしたことがないんです。

 ですが、捕食するとイベントリーに直接オーブが送られんですよね。

 その辺は楽でいいかな、とノアちゃんの話を聞きながらそう思いました。



「あ、シグ。あんたアニマはちゃんと使ったか?」と何かを思い出したのか、私にそう聞いてくるレイナちゃん。


 アニマ? なんぞ? 俺の歌を聞け的な? 


「その顔はわかってもないし、使ってもないな。アニマってのはプレイヤーを倒すと手に入る強化素材だよ。あんたあいつら食ったから手に入ってるはずだよ? 確認しとけ。かなり便利だから」


 ほうこれまた有益な情報サラッと言ってきましたね! へー強化素材ね。



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