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6 波長が合うというのはいいこと日和

本編は長編シリアスなのに、こっちではのんびりほのぼののグダグダストーリー。まぁそれでもいいなら、どうぞです。



「へぇ、アルス達もリュウジからしたら異世界から来た人なんだ。」


「そゆことだな。まぁ今の生活に慣れちまってそんなもん微塵も感じないが。」


「そ、そんなことないですよ。」


「おコタに入った瞬間とろけるような顔になるのはどこのどいつだ。」


「…………。」


所変わって、ここはシャイアにある公園の一本の木の下。そこにある芝生の上で、龍二、アルス、ミント、プリン、ポトフ、ココアなるある意味奇抜なチームが座りながら談笑していた。ついでに龍二の胡坐かいた足に挟まるかのように珠がグッスリと丸まったまま眠っていた。アルスの頭の上ではフィフィがベッドの如く熟睡していた。


「……でもまた異世界に迷い込むなんて。」


「どうしてだろーなー?」


「うん、原因は目の前にいるとオレは思うな。」


アルスと一緒に考え込む仕草をした龍二にピンポイントで冷視線ビームを食らわすミント。


「あ、ところで他の皆は…。」


「ん? クルルは駄菓子屋、花鈴は服屋、リリアンは土産屋行ったぞ。」


「観光してるじゃないですか!?」


「バカ野郎。俺らは皆お前のことを心配してメシが喉を通らなかったくらい。」


「じゃあ食堂のあのバカ食いは何なのさ?」


「しょうがないじゃん。心配よりまず腹減ってたんだから。」


「「白状した!?」」


素直な龍二にアルスとミントは揃ってツッコんだ。


「……何かアルスとミントって、顔似てないけど空気とか似てるよねー。」


「あ、つまり不幸体質とツッコミ体質がか?」


「不幸じゃなあああい!!」


「とゆーよりあなたが言わないでください!!」


やっぱり何か似てるよアンタら。


「ま、何にせよ慌てたって何にもならんから皆して今この時を楽しもうってことだろう。」


「いい事言ってる気がするんですけどその緊張感の無さはどうにかして欲しいのですが!?」


「ははは、無理に決まってんじゃーん♪」


「…………。」


太陽のように明るく笑う龍二に対して、アルスは曇り空の如くどんよりとした。


「……大変だねアルス。」


「……はい……。」


ポンと肩を叩いたミントにアルスは力なく頷いた。


「まぁこれからの方針はゴミ箱にポイしておいて。」


「「ポイはダメでしょ!?」」


「じゃどっか放置ということにしよう。」


「「それもダメ!!」」


アルスとミントのコンビネーション。


「……息ピッタリだねーミント。」


何かアルスとミントの波長が合ってる気がしないでもないココアは、苦笑混じりに言った。


「ん、でもこっちには負けるだろ。」


だが龍二はそれを否定して、ある方を指差した。



「ぐー…。」


「かー…。」


その先には、まるで背中を合わせるかのように木にもたれかかっているプリンとポトフが無防備な状態で眠っていた。


「……。」


「……。」


「……。」


「……。」


「ぐー…。」


「かー…。」


じーっと見つめる龍二達に対し、なおもいびきを上げるプリンとポトフ。


「……仲、いいんですね。」


「そうだなぁ。」


アルスがしみじみと呟き、答える龍二。


「…さすがは双子って感じだよね。」


「そうだねー。」


同じく、しみじみと呟くミントとココア。


「ですよねー……………………って、ふぁい!?」


アルスが同感という感じに頷いてしばらくしてから変な声でびっくらぶっこいた。


「ふ、双子!? 二人が!?」


「うん……あ、そういや話してなかったっけ?」


「初耳ですよ!? リュウジさんは?」


「あ〜、何となくこいつら似てるなーって思ってたらなるほど、そら似てるわ。」


「スゲェ見抜いてたよこの人……。」


「いえ、とゆーよりあんま似てないですよ二人……。」


今さらながら龍二の勘の鋭さは見習いたいアルスであった。


「ぐー…。」


「かー…。」


周囲が騒がしかろうが、二人ともお構いなしでグッスリ。


「…………。」


それを見ていた龍二は、おもむろにプリンのほっぺに指を突き出してみる。


「ぷぅ……。」


プニョン、と弾力のあるほっぺをつつくと、わずかに開いた口から小さな空気が漏れた。


「…………。」



【ツンツンツンツンツンツン】


「ぷぅぷぅぷぅぷぅぷぅぷぅ……………。」


「って遊ぶな遊ぶな。」


ツンツン突つきまくって遊ぶ龍二に、ミントはさり気ない感じで止めた。


「いや、これおもしれーって。やってみ?」


「え、じゃあボクも……。」


「アルスも乗ろうとしない!」


おずおずと指を突き出そうとしたアルスをミントはスパンと叩いた。


「す、すいません……楽しそうだったからつい。」


「ついって……。」


……案外、アルスってボケ役なのかもしれないという思いがミントの頭の中を過ぎった。


「ぐー…。」


「かー…。」


プリンのほっぺが若干赤くなってる以外、全然微動だにしない二人。


「…………ならば。」


【キュポン】


「落顔もやめぃ!!!」


マジックペン(油性)のキャップを抜いた龍二にミントは速攻で止めた。


「ちょ、二人とも起きちゃいますよ?」


アルスが騒ぐ龍二とミントに注意すると、


「むぅ……ズッキーニ伯爵。」


「って誰ですか!!??」


謎の寝言を口走ったプリンに注意してた本人が盛大にツッコんだ。


「お前が一番うるせえ。」


「あぅぅ……すいません。」


キッパリと言い放った龍二にアルスは恐縮した。


「ぐー…。」


「かー…。」


「……いやにしてもホントよく寝るな。そこら辺は双子だからか?」


「うん、授業中でもよく寝るしね。」


それでオレまで巻き込まれるわけなんだけど……と小声で付け足したミントに龍二は気付いたけど気付かなかったふり。


「ぐー…。」


「かー………フフッ♪」


「おや?」


今まで何の変化もなかったポトフが笑った。


「ココアちゃん……かーわいー♪」


ついでにこんなこと口走った。


「…………。」


「…………。」


「…………。」


「…………。」


ポトフの寝言に、四人はしばらく動かなかった。


「…………。」



【ヒョイ】



「ふぁ?」



【ポスン】



「!?」


が、龍二がココアを片手で持ち上げて何気なくポトフの無防備な膝の上に乗せるという理解不能な行動に出た。


「な、何してんのよー!?」


「いや名前呼んどるからさ。」


「呼んでるからって膝に乗せることないでしょー!?」


「何か楽しいじゃん。俺が。」


「アンタがかい!!」


膝の上に乗って顔を赤くしたまま龍二に文句を言うココアと、そーれそーれという感じに受け流していく龍二。


「……ん?」


「あ…。」


で、さすがに目の前で騒がれて目を覚ましたらしく、ポトフがパッチリと目を開けた。ついでにココアとバッチリと目が合った。


「…………。」


「…………。」


「…………。」


「…………。」



「ココアちゃん型の抱き枕ー♪」


「ふやああああああああああああ!!??」



目は開けたけど起きてなかった。



「ちょ、抱きつかないでよこんなとこでー!!」


「あ〜寝心地サイコー♪」


「抱きつきながら和まないー!!」


「仲いいじゃん。」


「うるさいよこんな展開作った張本人ー!!」


「かー…♪」


「ってこのまんま寝るなイービルフィアー!!!」


顔真っ赤なココアがドッカーンと幸せそうな顔で寝ていたポトフを吹き飛ばして龍二がゲラゲラと笑ってプリンが寝返り打っている間、



「でね、この花って薬草にもなるんだよ?」


「へぇ〜……ミントさんって何でも知ってるんですね。」


「えへへ、植物のことなら任せてよ。」


どこ吹く風という感じに、しゃがみ込みながら微笑ましい雰囲気に包まれているミントとアルスなのであった。


あ、新キャラ……まぁいいや次回ということで。

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