表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/430

武器屋巡りと鍛冶屋との遭遇

その男の名はトマスといった。

どうやら、頑固そうな親父の、「装備が生きてない」店にメインで武器を卸している鍛冶屋らしい。


他にも何軒に卸しているが、たまたまそのうちの数軒がマリッサの毒舌にぶち当たり、参った店員がタイミングよく商品の補充にやって来たトマスに愚痴ったようだ。

ちなみに、あの頑固そうなオッサンは愚痴の1つもこぼさずに、いつも通り陳列を頼んだそうだ。

あのオッサン、割と大物かもしれん。いや、単に無口なだけか。


「ウチの売りは、手入れをしなくても長く持つ頑丈さと、使い勝手の良さなんだ。

多少手入れされて無いからと言って性能が落ちるような作りはしてねーんだよ!」


「それは、お客に案内しても良いと思うけれど、お客の手にも渡ってないうちから手入れされてないのは、ただの怠慢なのよ。

それに、手入れを怠れば、それだけ装備の寿命が縮むのは、どの装備も同じ筈よ。最初から『手入れは要らない』なんて言うのは、怠慢を招くだけなんじゃないのかしら。」


なんにも知らないクセに偉ぶりやがって。

錆びにくい金属を使っているし、ちゃんと錆止め加工もしているんだよ。」


「偉ぶってるつもりはないのよ。何を持って私が何も知らないと言うのかしら。

錆びにくい金属って絶対に錆びないわけではないんでしょう?どの程度錆びないの?

錆止めはどれくらいの期間もつのかしら?あと、貴方の方こそ偉そうなのよ。」


しばらくは2人の会話を聞いていたが、ただの喧嘩である。

だるいし、眠いし、時間の無駄だ。ギルディートに頼んで、次の店に向かう。

口喧嘩しながら2人は着いて来る。うん、問題ないな。

スザク、首を傾げたろう?問題ないからな。


「適性レベル30のセット装備を探しているのよ。あるかしら。」


毎度お馴染みとなった台詞で店員に話しかけるマリッサ。

トマスという若い男は腕を組んで様子を窺っている。

俺とギルディートは店内を物色。

おっ、この篭手、50レベル装備じゃないか?ただ、ギルディート向けとは思えないな。

やはり40レベルで揃えていくしかないんだろうか?えっ、50レベルからの武器防具は特注になるのか?


「違うのよ。セット装備を探しているの。色合いの似ている装備を組み合わせてセットにしたいわけじゃないわ。

こんな中身がスッカスカの装備なんて、恥ずかしくて着けられないのよ。」


店員のオススメする組み合わせの1つが、補正の酷いものだったらしい。

マリッサのげんに、トマスが噴出すのを耐えている。どうやら、自分の工房のものではなかったようだ。うん、誤解は解けたようだ。


しかし、50レベル以上の装備が特注となると、こうしていくら武器屋を回っても仕方ないという事だな。

鍛冶屋・・・つまり、工房の方を訪ねないと駄目か。


セット装備も工房で聞いた方が手に入り易いんじゃなかろうか?


欲しい装備が無さそうなので、その店も出る。

鍛冶屋に直接行かないか?と提案しようと思った時だった。


「おいぃ!そこの赤毛!!ウチの装備にケチを付けて回ってるんだってな!

おかしいと思ったら、モンテルノ工房の回し者だったか!」


また変なのが増えた。

ドワーフ族は小柄で若々しい外見のせいで、どうも少年少女に見えてしまうが、おそらく成人しているはずだ。

マリッサとトマスもそうだが、新たに加わったこの男も、やはり少年にしか見えなかった。

だが、下手に子どもの喧嘩扱いしたら後で怖い。工房で働いてるって事は大人だろうしな。


「お前はトルガンサ工房のエディ!」


ああ、さっき言ってたライバル工房か。これは話がややこしくなりそうだ。


「モンテルノ工房のトマス・・。ここまで明白(あからさま)な妨害をしやがって、よもや言い逃れができるとは思うまいな!」


説明乙。でもまぁそう思うよね。どうしたもんか。

俺達がしたいのは買い物であって、妨害でも誹謗中傷でもない。

こいつらが工房で働いているとなれば、敵に回すのは得策では無いと思うんだが・・・。


「悪いけど、マリッサはけなしている自覚が無い上に、何処の工房の装備も全てへだてなくおとしめているからな。

今のところ、褒めてるのは一度も見てないし、限りなく平等に罵詈雑言ばりぞうごんを浴びせている。だから、気にすることは無いと思うぞ。」


フォローしたつもりのギルディートさんは、マリッサさんに睨まれております。後ろ後ろ。

爽やかに笑顔を見せている場合じゃないから!ちょっと言葉を選ぶことを覚えような?

マリッサは?手遅れだ。毒が舌に馴染んでしまってるから、矯正してなんとかなるレベルじゃない。


あっ。マリッサさん、冗談ですよ冗談。

むしろ、毒のないマリッサはマリッサじゃないというか。毒の無い河豚フグみたいなもんだと思うわ。

まぁ無いに越したことはないんだが。


「コ、コ、コ、・・・」


うん?

頭の上で、スザクがなにやら体を上下してアピールしてるみたいだ。

町中でスザクが何かアピってくることは、そう無い。

うっかり、その存在を忘れそうになるくらいだ。

トイレかな?(適当)


「ちょっとトイレに行きたいんだけど。ギルディート、トイレってどこに行けばいいんだ?」


この町、公衆トイレがあるんだ。有料だけど。

でも、ちゃんと管理されているのでそこまで臭くも汚くもない。

俺達は、装備と毒舌について談義しながら、やかましく近くの公園へと向かうのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ