表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/430

仕掛けと捧げものと

さて、昨日のボス部屋に到着した。

その部屋に現れたのも普通のマッドゴーレムだったし、虫もクロゴッキー2匹だったし、範囲攻撃を覚えたマリッサと、安定感のあるギルディートのコンビは上手く機能しているようだ。

前半、ギルディートが引き付け、多少の時間はかかるものの、確実に仕留めていき、後半は2人で一気に殲滅するという風にパターン化されてきている。

そして、変なボスが現れる事もなく全滅させることができた。

トーチをはめ込み、仕掛けを作動させる。


“我に血肉を捧げよ”


例の謎の声だ。


マリッサが、羽根のついたままの鶏肉と、血液らしき赤い液体の入った桶を置く。


・・・・・。


「反応がないのよ。」


2匹目。

やはり、反応がない。

3匹目を取り出した時、マリッサが呟いた。


「重さが足りないのかしら。」


俺もそうじゃないかと思うよ。

ギルディートが複雑そうな表情を浮かべて耳を搔く。


「そうかもしれない、と思ってしまうあたり、俺も毒されて来てんだろうな・・。」


毒されるって何にだよ。

2人が古めかしい桶に土を入れ、祭壇に置く。

まだ足りないのか、と土に水をかけてみたあたりで、捧げものが消えた。


ガコ、と仕掛けが動いた音がする。


「・・・次は、土と水だけでやってみようかしら。」


「やめとけよ、さすがに遺跡の主が怒るぞ・・。」


2人とも、どうした?なぜ元気が無くなってるんだ?

おい、なんで耳が下がってるんだよ?なぁ?


聞きたい気持ちを押さえ、2人が去った部屋でスキルを掛けなおす。


さて、早く追いかけないと。

2人がボス部屋に閉じ込められるイベントとかが起きたら置いてけぼりになってしまう。



中央の部屋。

あの虫部屋だった部屋だが、他にきつ過ぎる部屋があったせいで、今では印象に薄いぐらいだ。

他の部屋より多めにクロゴッキーが復活していたのを、先行していたギルディートが片付けた。

次から、あいつが先行してくれたら俺、楽じゃね?


「・・・・・。」


何も起こらない、のか?

この部屋の隅にある、マッドゴーレムが出て来そうな煙突状の通路のようなものとか、凄く怪しいんだが。

この間、卵と虫だらけだった煙突状の通路を火攻めにしたトーチが転がっている。

ギルディートが拾うと、マリッサが部屋に入っていった。


俺もしれっと後に続く。


2人は手分けして部屋を調べていたが、祭壇を含めて4箇所のトーチを差し込む仕掛けを見つけただけだった。

トーチをどんどん差し込んでいく。


“試練を乗り越えよ”


例の声がして、煙突状の通路から土が排出された。

やっぱりか!


マッドゴーレム、アースゴーレム、クレイゴーレム、サンドゴーレムと、豪華ゴーレムの混成集団だ。

しかも、先行してタゲを取ることが出来なかった為、マリッサも攻撃対象になっている。

これはやりにくそう、と、普通なら思うだろうが・・・。


「動きが遅いから何とかなりそうなのよ。それにこの間の黒いのほどきつくないわ。」


「いい訓練にならァ!」


気合を入れたのか知らんが、ギルディートの口調が団長ダフっぽくなってるよ。

絡みつくように襲い来るゴーレムズの攻撃を避け、カウンター気味に攻撃を入れるマリッサ。

自分に襲い掛かるゴーレムズを捌くだけでなく、マリッサに攻撃をしようとしていたクレイゴーレムの腕を斬り飛ばし、カバーするギルディート。

よく戦えている。


マッドゴーレムはこれまでも戦ってきたゴーレムで、言ってみれば泥人形だ。

動きが遅く、脆くて攻撃が通りやすい。


アースゴーレムは土人形。マッドゴーレムの上位交換だ。

動きはマッドゴーレムより少し早く、少し丈夫で、少し攻撃力が高い。


クレイゴーレムは粘土人形とでも言うのだろうか。

動きはマッドゴーレムとさほど変わらないが、アースゴーレムより更に丈夫で、攻撃力も少し高め。

形を変えてトリッキーな動きをする事がある。


サンドゴーレムは、砂人形だ。

このゴーレムズの中では最も脆く、攻撃力も弱いが、トリッキーで素早い動きのできる曲者だ。

素早い動きといっても、ゴーレム系の鈍さだけはどうしようもないみたいだが。


マッドゴーレム以外はマリッサより格上みたいだが、ダメージはちゃんと入るようだし、ギルディートのフォローもある。

この分だと何とかなりそうだな、そう思った時だった。


祭壇の下から、もう2体の一回り大きいゴーレムが現れたのだ。


[ストーンゴーレム]


・・・。マジか。

こいつは固いぞ。

マリッサにとっては格上だし、ギルディートとは相性が悪そうだ。


「なんかヤバそうなの出たぞ!どうする?」


「どうもこうも無いわ。退くのよ!」


いい判断だが、その瞬間、扉が音を立てて閉まる。ですよね。

案の定、閉じ込められたようだ。


「っ?!」


驚くなよ。むしろ、「あるある」だ。

と思った俺だが、2人にとっては予想外だったようで・・。


「札、使うか?!」


うん、それが一番だな。

とっさに出てくるあたり、経験が豊富なだけある。


「慌てるんじゃないわ、札ならいつでも使えるのよ。

とにかく、一番強そうなのから倒すのよ。」


「いや、ここは弱いのから倒すが定石だろ。

ってか、お前一杯一杯だろ?!冷静になれって!」


ギルディートはマリッサをタゲっているゴーレムから地道に減らすつもりのようだが、マリッサは範囲攻撃で一気に片を付けたがっているようだ。

ここぞって時にはギルディートの方が冷静なのか。

マリッサはいざって時に脳筋気味になる・・と。

微妙の2人の呼吸が合わなくなってきているのが気になるな。


そして・・

動きの遅いストーンゴーレムが、その戦闘に加わった。


「ドン臭そうな相手なのよ。先手必勝だわっ!」


マリッサが突撃を敢行し、


「あ、馬鹿!様子を見ろって・・」


フォローの為にギルディートが動く。

飛び上がり、勢いと体重をかけた一撃を放つマリッサ。


ギィィン!!


槌がストーンゴーレムに炸裂するも、ダメージが通っていない。

やっぱりか。


そして、その硬直時間の間に、既に振り上げられていたストーンゴーレムの腕が振り下ろされる。


ゴッ、という鈍い音がし、弾かれた2人。

ギルディートに押しのけられ、マリッサは転んだだけのようだが・・


「ぐっぅ・・・。」


ギルディートの肩が外れたようだ。

いや、違う。・・・砕けてやがる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ