表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/430

遺跡に入るのも一苦労

しばらくして、遺跡まで辿り着いた。

地味に足が速くなってきているマリッサ。体力も付いたようで、これまでより元気そうだ。


遺跡は土で埋め、大岩をフタとして乗せている。

中からモンスターが出てくるのを防ぐ為だ。

埋めただけだと、動物とかに掘り返されるかもしれないしな。


それが、今、問題になっていた。


「・・・。動かないのよ。」


「びくともしないな。」


自分の持てる重さまでしかアイテムボックスに入らないそうなんだが、どうも2人のSTR(ストレングス)(腕力)が足りないらしい。

ギルディートはいけるんじゃないかと思ったが、そういえば魔法剣士タイプだったな、と思い当たる。

MTL(メンタル)(精神力)に振らなきゃいけない分、どうしてもSTR(ストレングス)(腕力)が下がってしまうのだ。


掘り残した土の壁の上からアプローチしたり、スコップを使って梃子テコの原理で動かそうとしたりしていたが、やがて、2人は岩の前に穴を掘り始めた。


おいおい。それで動かせても、下手すると潰されるぞ。


・・・・。


ハラハラして見ていたが、やがて、2人は岩を押して穴の方向に倒し始めた。

いや、それ深さ足りないだろ。横着し過ぎだ。

グラ、と岩が傾き、穴にはまる。うん、キレイにはまったな。


「・・・ちょっと狭いのよ。」


「まぁ、何とかなるだろ。」


ならねーよ。おい、もうちょっと気にしろ。

掘り進めるな。ああ、掘った土を適当に掻き出すな。

今度はヤキモキしてしまう。


うーん、2人の経験になるんだから、これも有りか。うん。

だから、大丈夫、大丈夫だ。


「・・・扉がほとんど開かないわ。やっぱり狭いのよ。」


だろうね。よくそこまで疑問に思わずに掘ったと思うよ。

ガツガツ岩に扉をぶつけるのをやめなさい。


「ここから侵入するか?」


「どうやって出るつもりかしら。」


ギルディートが、遺跡の上部からの侵入を提案する。

その穴倉みたいな隙間から、よく入ろうなんて思ったな!

本当に危なっかしい奴だ。マリッサが冷静で助かる。いいコンビかもしれない。


結局、また岩の前を掘り始める。


「さっき掘り出した土が邪魔だー。」


うん、そうなるよね。

二度手間っていうかさ・・。


「ああ・・・リフレが来てくれたらなぁ。」


ここにいるけどな。

あ、そろそろスキルかけなおしておこう。

うっかりスキルを切らして姿を晒すのは間抜け過ぎる。


「・・・。なぁ、今、人の気配がしなかったか?」


「黙って掘るのよ。」


クノイチのキャラは、スキルを掛けなおす時にロスタイムが発生する。

補助キャラなどのスキルは、重ね掛けしてもスキルの効果が切れる事はないが、クノイチだけはスキルを使った一瞬、スキル効果が消えるのだ。

それは、敵に発見されないスキルが強力すぎて、修正を食らったせいだと言われている。

攻撃スキルを使ったら、全部の効果が切れる。

そりゃ、PvP(プレイヤーvsプレイヤー)で、見えない相手からバシバシ攻撃食らうのはきつすぎるもんな。

しかし、この一瞬で気配がバレるって、どんな勘してんだ?あいつ。


で、だ。今度は大き目の穴を掘り、そろそろいいんじゃないかって所なんだが。


いや、そこ掘っちゃう?危ないって!

そろそろ動くと思うからどきなって!


つつくな!

もういい、もういいよ!ああ、もう・・。


岩の下の地面をえぐるように掘るもんだから、気が気じゃない。


2人が移動してホッと胸を撫で下ろした瞬間、ゴロン、と大岩が転がった。


「・・・・・。」


「・・・・・・・・。」


危ねぇええ!!

ちょっとマジ今のやばかったよ!わかってる?


「いいタイミングだったな!」


「間一髪だった、っていうのよ。」


マリッサさんが正しい。

だから、その耳のピコピコは何なんだ。


2人が残りの土を掻き出し、遺跡に侵入したのを見届け、俺はスキルをかけ直す。

MPポットも使っておこう。

・・・そういえば、HPポットって飲まなくても効果があるみたいだけど、MPポットってどうなんだろう?

飲まずに回復できたら便利だよな!試してみようか。


・・・体が濡れただけだった。ちくせう。


さて、2人の後をけるとしますか。



遺跡に入ってみると、右側の部屋から戦闘音が聞こえた。

またマッドゴーレムが復活してたようだ。そっと覗き込む。


ギルディートが引き付けて逃げ回ってるのを、マッドゴーレムが追いかけている。

そのマッドゴーレムを追いかけて、マリッサが叩き潰している。

槌がまた新しくなっていて、重さを増したようだ。

なんだこれ。面白い事になってんな。


「ちょっと、もう少しゆっくり歩きなさいよ!それか減らすの手伝って!」


槌の装備によってAGL(アジリティ)(敏捷性)のマイナス補正が付いた文句を言う。

振るうのがちょっときつそうだけど、大丈夫か?


「無理言うなよ!立ち止まったらボコボコにされんだろうが!

リフレのやり方を期待してんなら諦めろ!こっちの方が普通だ。

それより変なところで止まるな。スペースが狭いんだから、逃げ回るルートが限られてんだよ!」


ヘイトを集めたギルディートが逃げ回り、マッドゴーレムがそれを追いかけ、そのマッドゴーレムをマリッサが追いかける。

一体がマリッサの攻撃を受けて振り返り、戦闘になる。

その際、逃げ回るルートで戦闘を始められてしまうと、ギルディートがとても大変なのだ。


入るのが遅くなったせいか、マッドゴーレムがちょっと多めに復活してたみたいだ。

その代わりと言っては何だが、ゴキらしきものは見えない。

ギルディートは牽制程度に剣を振るうが、追い付かれたらタダじゃ済まない。

ほとんど当てずに再び逃げる。


相手をしてられる状況じゃない。それはマリッサもわかってはいるのだろう。

だからと言って苛立ちを抑えるのは難しいみたいだが。


「もう!このぉっ!・・・てい!」


槌を振り上げ、思い切り振り下ろす。


スキル:粉砕パルヴァライゼーション


苛立ちを槌に乗せたおかげか、マリッサの放ったスキルは一撃でマッドゴーレムを叩き潰したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ