休養とは心身の安定の為に必要である
P.21~24、自警団員の名前がめちゃくちゃだった。脇役(MOB)だしと、必要になった時にその場で適当に付けたのが祟った。すまん。
あ、MOBじゃなくてもその場で適当に付けてるわ。ごめんなさい。
ほら、脇役だから。本筋とはそんなに・・・・・。いや、ホント申し訳ない。
宿はいい。
何しろ、時間になれば完全なプライベートスペースだ。
野宿なんかしたことはないが、外でキャンプする事を思うと、ちゃんと毎日シーツを変えてくれるベッドと、日光に干してくれた香りの漂う布団のある宿のなんと快適なことか。
ベッドは木製で“すのこ”みたいになっている所に布団が直接敷かれている。
硬いのは難だが、床で寝転がってるうちに寝てたり、会社のパイプ椅子で横になったりと、“向こう”で柔らかい布団に寝てたという記憶も薄い。
ちゃんと全身を伸ばして寝られるし、むしろ、ちゃんと毎日手入れをされているスペースである事を考えると贅沢な事この上ない。
飯は毎日、女将さんが作ってくれる。これが美味い。
追加で頼む料理もなかなかだし、酒も飲もうと思えば飲める。
まぁ、俺は嗜む程度だったから、無くても構わないが、メニューが寂しいと、気分も侘しくなるというものだ。
そう、メニューが多いのだ。他の宿を知らないが、ちゃんとメニューなのだ。
俺が、宿がいかに快適であるかを熱弁したところ、
「や、宿ってそういう仕事だし。」
とギルディートに返されてしまった。
確かに、客としてそういうサービスを受けている以上、当たり前なのかもしれないが・・・そういう事が言いたいんじゃないんだよ!
この宿:小麦亭は、朝~昼にかけてと、夕方から夜にかけて、飲食店としてもやっている。
よく1人で切り盛りできるものだと感心していたら、朝に下ごしらえや、ある程度の調理を済ませたものをアイテムボックスに入れて、そこから出して盛り付けているようだ。
なるほど、アイテムボックスがあれば、開店時間はほとんどウエイトレスとして動くだけでいいというわけか。
で、放出できずに在庫としてダブついたものは、「日替わりスペシャル」として安く提供されている。
よくできたシステムだと感心したが、そうでもなかった。
日替わりスペシャルが売れれば、他のがその分売れずに、結局日替わりスペシャルに加わる。
同じメニューでもスープやサラダが違えば、不平・不満が生まれる為、その日の仕入れなどによって微妙に変えてしまえば、簡単に出せないのだそう。
割と食にがめつい人の多い土地柄らしく、それだけで喧嘩の原因になったりするのだ。
そして、どんどん増えてタブついた「日替わりスペシャル」が、俺達の追加注文だ。
ギルディートはゴキの触覚がいくらで売れたのかしらないが、あれからちゃんと自費で宿泊している。
しかし、宿から出してもらう飯のみで腹を満たしていたため、俺がおごっているのだ。
そういえば、「後は温めるだけだから」って飯を出してくれた事があったが、そうやって作ってくれてたんだなぁ。
どおりで、出来て冷めたものをレンジでチン、みたいな味がしなかったわけだよ。ありがたい。
今日はマリッサも加わり、賑やかに話ながらの夕食だ。マリッサは自宅みたいなものだし、おごりは無しだ。
めっちゃ飲んでるけど、絶対におごらないからな?・・・これで軽く飲んでる?冗談だろ。
「リフレは明日の予定、決めてるのかしら。」
もぐ、もぐ、もぐ・・。
ふむ。明日な・・。みんなで休むってんなら、他の町にでも行こうと思ってたんだが・・・。
しっかり味わい、料理を飲み込む。
「休養に当てるって事だけは、決めてる。」
うん、これだけは覆すわけにいかないんだ。
「具体的には、決めてないのかしら?どこに行く、とか。何をする、とか。」
・・・・・。
決められる、訳が無い。
お前らが素直に遺跡の探索を止めるって言ってくれたら、俺だって優雅に休暇を満喫したさ。
他にやりたいことはいくらでもあるし、別に2人が心配なわけじゃ・・・ 心配さ、何か文句あるか?
明日は休養というわけだが、別に、出掛けないなんて言ってないし。
「ふふん。期待して待ってるわ。」
読んだのか?読んだんだな?!でも行かないぞ。
俺には休養が必要なんだ。
「待つ必要は無い。せいぜい頑張りな。
まぁ、帰還の札はやるから。無事に帰って来いよ。」
2人に渡そうとしたら、もう持ってると突き返された。
しかも、一昨日にも渡したらしい。そうだっけ。ちょっと恥ずかしい。
予備があった方が心置きなく使えるから、いいから持っとけと無理矢理渡した。
引っ込みがつかなかったわけじゃないよ?
ちょっとどうかと思う価格のアイテムだが、ギルディートは特にケチって大怪我しそうで怖い。
ついでに、万能薬も5つづつ渡した。これももう持ってた。
「・・・そんなに心配なら普通に着いてくればいいのよ。」
「過保護だな。」
ぐぬぬ。
さすがに渡して無さそうな蘇生薬も2つずつ渡した。
2人は「何だこれ」と言った顔をしていたが、何なのか“見た”んだろう。
神妙な顔になった。
「これがあるから、という理由で無茶はするなよ。万が一の時の保険だ。
命の補償が無い場所に入る事を忘れるな。」
数を渡さなかったのは、「これがあるから大丈夫」と思わせたくないからだ。
まぁ、俺の持ってる分にも限りがある。それをホイホイ渡して減らすわけにもいかないしな。
「本当に、着いて来る気は無いのね・・・。」
そういうマリッサの声は寂しげだったが、それでも行くという選択をしたのだから、受け止めて欲しいと思う。