遺跡の攻略 ~一日目終了~
スキル:乱舞
自分の周囲のモンスターしか倒せないが、大剣にとって唯一の範囲スキルである。
それを、一気に前進しながら使用する。
ゲームと違い、応用の効くこの世界で、火力特化のこのスキルは絶大な効果を発揮した。
・・・主に、俺の精神に、だ。
謎の汁と残骸が体中に付着し、一瞬でドロドロになった。
ドロドロってどういう事か?本当にそのままの意味である。
マリッサとギルディートが引くぐらいには。
「・・もういい。家に帰る。」
殲滅を終えた時、俺に反対意見を述べる者はいなかった。
遺跡の外に出て、扉を閉め、土をかける。
そして、岩で蓋をした。
自警団の人がいたので、中はわりと危険なので立ち入らないように、と声をかけておいた。
何をやってるって、Gの解体なんだから、俺が近寄れるわけがないよね。
まぁ、それ以上に俺は今、大変な事になっているけどな!
おい、そこの人。顔を引き攣らせてんじゃねぇ。
マリッサに近くに川は無いかと聞き、森の更に奥地へと案内してもらった。
早く身を清めたい。
宿でやればいいのに、と言う2人に対して、
カビや虫は病気の温床なので、不潔なまま町に戻ると、抵抗の弱い人を病気にさせてしまうかもしれない、という話をする。
俺が真剣に話したせいか、2人も川で身を清める事にしたようだ。
石鹸がないという2人には、俺の気に入った石鹸を貸した。
俺は、まだ使っていない石鹸を使って見ることにする。
良い感じの岩の影とかが無いので、マリッサが上流、男2人が下流で体を清める。
絶対に振り返ってはいけない。そういう約束だ。
ギルディートがそわそわと耳を動かしているが、だめだからな?
アイテムボックスが当たり前のこの世界で、武器を置き忘れて大変なことになる、なんて事は無い。
武器がいつでも出せる以上、マリッサが無防備だからといって護衛なんて事にはならないのだ。
今回の石鹸は、泡立ちは微妙だったが、最初に購入した石鹸よりもましなくらいかな。
もう1つ買う事はないだろう。
装備と服も綺麗に洗う。
そういえば俺は、暑さ・寒さに強くなっているらしい。
季節は夏の終わりだというのに、暑いけど汗をかくほどじゃないし、水が冷たいのはわかるが、冷えて震えるほどじゃない。
「タオルをもっと持ってくれば良かったわ・・・。」
と寒さで身をすくめるマリッサを見て、実感した。
タオルを配り、石鹸は回収する。
あげないよ?それ気に入ってるやつだから!1つずつしか買ってないから!
荷物を絞ったと言うマリッサだが、ちゃんと服を持ってきたようだ。
ギルディートは持って来ていなかったので、俺の服の予備を渡した。
だいぶ数が心もとなくなっていたが、宿に帰れば女将さんが洗濯をしてくれているのがあるはずだ。
そして、また明日2着洗ってもらおう。
全員、洗った服をアイテムボックスに放り込み、洗った装備の点検を始める。
マリッサは自分でできるみたいだが、ギルディートは俺に助けを求めるな。
まったく・・・とりあえず、水気は厳禁だから最大限に拭いておけばいいんじゃないか?(適当)
あ、マリッサに聞きに言った。で、なんかボロ布とオイル的なものを分けてもらっている。
ふむ。俺の装備の耐久はそんなに落ちていないが、やっぱり日々のメンテナンスはしたほうがいいのかな。
アイテムは持っているが、マリッサに使い方とかちゃんと聞いておこう・・・。
「これもなかなかの業物なのよ!!!」
マリッサが顔を上気させながら整備している。
「これはそもそもレプリカなのよ!本物じゃないわ。
それを+3まで鍛えた職人は、なかなかの変わり者ね!でも凄いわ。
どんな信念を持ってここまで鍛えたのかしら・・。
基礎耐久が減ってるけど、大事にしなきゃ駄目なのよ。
研ぎ直しは下手なところに任せたら駄目ね。信頼できる腕の職人を探すのよ。
メンテナンスは、毎日やった方が良いのだけど、時間が無いのなら簡単にでいいわ。
やり方は・・・・・。」
うん、今度にしよう・・・。
そっと去ろうとしたら、マリッサに捕まった。
「前から思ってたけど、凄まじい存在感なのよ。+6って何かしら。+6?!?え?プラス6ぅ?!
・・・・・。
リフレはそういう奴だったのよ。わかったわ。
とりあえず、こうやって、こうして、ここを外すと柄と・・鍔が外れるのよ。そうしたら・・・。」
+6は珍しいよね。
俺がやったんじゃなくて、鍛冶キャラをカンストさせたクラメンにやってもらった。
100%成功する+5でいいって言ったのに、勝手に+6にしてさ。
成功したから良いようなものの、危うくPK沙汰だよ。…まぁ生き返るんだけどね。
今はカンスト上限も変わったはずだから、今のゲームでは+6なんて珍しくもなんともなくなってるんだろうけど。
レベル200を超えると武器を作るだけでも大仕事なので、もし間違えて壊したら洒落にならないのだ。
メンテナンスが終わるとわりと汚れていたらしく、大剣がピカピカになっていた。
「おおおお・・・ありがとう!」
感動して受け取ると、
「次からは自分でやるのよ。」
と釘を刺されてしまった。
防具もメンテナンスし、終える頃には夕方である。
切り上げるにはちょうどいい時間だったんじゃなかろうか。
自警団の人にも手洗い用の水を汲んで行くことになった。
清潔は大事だよね。
さて、帰ろう。