ごごご(仮)
昨日、更新して寝たと思ったのに・・・!またかよ・・・・・orz
その時は中盤ら辺でクラーケンが姿を現すところまで書き進めたんだけど、どうやってその流れに持って行ったのか思い出せないんだ・・
クラーケンから身体の中の寄生虫を駆除して欲しいとの依頼を受けて数分。俺は待機中である。
理由は、クラーケンが姿を見せるのを躊躇している為だ。
何故こんな事になっているかというと、依頼に了承の意を示し、じゃぁ姿を見せろという段になって、問題が発生した。
『驚いて依頼とは関係のない攻撃をしてこないかの?』と聞かれ、姿を見せた瞬間にCCして眉間に大剣を叩き込むのを想像してしまい、それが伝わってしまったのだ。
やるつもりはなかったよ?でも想像はしてしまう。そして伝わってしまう。
『信用してくれるかの?』と聞かれた時も同様である。
具体的には、俺が依頼通り魔法を叩き込んだところ、帯電したクラーケンが極太の電撃ビームを吐き出して消し飛ばされるのを想像した。
大カウンターはロマンである。されたらシャレにならんけど。
信用も何も、言葉を交わせるとはいえ、敵対していた超大型モンスターである。何かの弾みにプチっとされてもおかしくない。
だが、姿を見せないあたり、つまりは相手も俺の事を信用できないんだろうからお互い様だと思う。
こっちの思考は筒抜けだし、大船を守るために攻撃をしたという事は向こうも理解しているので、俺が相手を信頼できれば解消できる問題ではある。・・おそらくは。
という訳で、俺は大人しく体育座りでクラーケンの主張を聞いていた。
『・・・という訳じゃからぁ、危害を加えるつもりは無かったんじゃよ・・?』
このクラーケンは興味本位で船に触れたり、中を覗いたりしたことはあれど、襲った事はこれまで無かったという。
長い時の中で、時に神として崇められ、人間と交流した事もあったし、ただプカプカと浮いていただけなのに襲われたこともあったそうな。
なので、人間が陸の知能の発達した生き物で、船という道具を使って移動する事、身を守るために魔法を使って攻撃してくるという事を学んだとの事。
それで、普段はその知的生物達を驚かせないよう、静かに暮らしていたのだが。
最近、かねてから身体に入り込んで繁殖していた寄生虫のせいで、最近は動くにも不自由さを感じるようになってきていた。
そんな折、俺が警備隊の大船で示威行為として放った魔法の余波をクラーケンが感知した。
それは興味を引くには少々弱い脅威度ではあったものの、眠気を覚ます程度の威力と、距離を割り出させるだけの衝撃があったそうな。
だが、クラーケンにとってはその程度のものでも、身体の中の寄生虫にとっては違った。
ピリピリとした刺激に対し、一斉に嫌がるように身をよじり出したのだそうだ。
それで船に姿を見せて少し驚かせば、『このピリピリで寄生虫を追い払ってもらえるのでは?』思い立って、発生源と思われる船に向かったと。
うん、あの大船が襲われたのは俺のせいでした。
警備隊の方々、すみませんでしたーっ。
交渉するにも手順が面倒な事もあり、これまで遭遇して来た人間の攻撃性から、脅せば簡単に寄生虫を焼いてくれるであろうと期待したが、そうはならず。
なかなか期待通りの成果が得られなかったので、船を揺らして催促したのだという。
揺らしてって簡単に言うけど、大船が壊れかけてたからね?
船1つ壊れれば人間は海に落ちてしまうし、人間は海の生き物じゃないから長時間生きていけないし、船もタダじゃないからね・・?
『まさか、あんなに脆い思わなんだ。しかし船は作り直せるのじゃろう・・?』
作り直せるけど、設備のある場所まで持って行かないと無理だし、タダじゃないからね・・?
『?????』
・・・説明する羽目になった。
木を細かくして木材にし、船を作っているので、細かくなる分には問題ないと思ったようだ。
ちゃんと決まった大きさ・形にカットして組み合してできているので、細かく砕けてしまうと材料にならないという事を伝えたら衝撃を受けていた。
クラーケンが思っていたよりも緻密な作業だったらしい。
イメージで伝わる部分もあったが、通貨とかそういう物がよく分からないみたいだ。
価値の変動が少ない通貨というものがあれば、物々交換ならば相手に必要の無い物品とでは取引が成立しない場合でも、金を間に挟めば成立して便利だという話には一応の納得を見せてもらえた。
が、労働の対価に金が支払われ、利益なしに人が動かないという話には共感すらしてもらえなかった。
『利益などなくても必要ならば作ったらええんじゃないかの?』と言われたらまぁそれも分からないではないし、強制的に労働させるという手段も無いではないのだが。
それはそれで反感を買うし良い事は無いのだ。
『人間に必要なモノなのに、人間は協力し合わないのか?不思議じゃの~。』
「まぁ、人によるが国を単位に仲間だと思っている奴もいれば、家族単位で仲間だと思ってる奴もいる。中には自分に仲間なんていないと思っている奴もいるからな。」
団結するのも人間なら、人と人との間に境界線を引くのも人間である。
宗教、肌の色、言葉の違い、文化の違い、住んでいる場所の違いetc.
なんやかんやと戦争をして“自分達とは違う”人間を排除したり、排除されたりして発展や衰退を繰り返して地上に蔓延っている生き物の生態である。
『数の多い生き物は大変じゃのぅ。』
「まったくだ。」
会話が途切れた。・・・うん、完全に途切れたようだ。
何か共通の話題――って、人種どころか生物の括りからして違ったわ。どうしよう?
そうだ、仕事をしよう。
っつっても、姿が見えなきゃどうにもならないんだよな。
ここまで言葉を交わして、少なくともいきなり大剣でぶった切るつもりは(元々無かったが)無いし、姿を見せてはくれないだろうか。
想像してしまうのは仕方ないし、想像しても実行するところまでは行かないんだけど、それをどうやったら証明する事ができるだろうか?
『姿を見せても良いが、驚いて急に痛い事をしてくるでないぞ?絶対じゃぞ?』
何かのフリか?
盛大にツッコミたかったが、それをやっていると時間がいくらあっても足りないので、了承の意を示す。
すると、俺を包んでいた泡が揺れた。
闇に、水面に邪魔をされてその巨体の殆どが見えなかったクラーケンが、遂に姿を現すらしい。
周囲に細かい気泡が揺らめく。
そして、珊瑚の間。海底へと続く青く暗い闇……。
水が濁っていたのか、暗かったのか、それにしては水質も良いし周囲も明るいのは、何からのスキルを使用していたと考えるべきだろう。
それを不自然と思わないのは、そう認識が歪められているせいだろうか、それとも。
この巨大な生物が自然の一部であるが故なのだろうか。
海のジャングルの底から、青白い影が浮かび上がって来る。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
そんな擬音語を発生させそうな巨体が、ぬぅっとその姿を現した。
真下と言ってもいいくらい、すぐそこに潜んでいたという事に戦慄する。
無数の触手、禍々しくさえある斑模様、感情の読めない目、そしてその大きさ。異様さ。
圧巻。
そりゃ、ちょっと寄りかかれば船も傾く。
暗闇で遠近感が麻痺していたが、大きさとかいう規模じゃない。想像を遥かに超える巨大さだ。
その全容が見えると、こんな化け物に立ち向かっていたのかと背筋が寒くなるほど・・・。
・・・ゴゴゴゴゴゴゴ
「いや、戻るな戻るな。」
『じゃって、化け物って・・・・』
そして、案外デリケートで扱いにくい生き物でもあった。




