キレの無い判断力(仮)
誤字修正ありがとうございます。めっちゃ助かります。
少な目に見積もっても半分ぐらいは執筆したんだけどなぁ・・・・・・・・・・。
ちなみに、その時の前書きは「連休わっしょーーーい!」的なテンションの高い感じのやつでした。
普段あんまし使わない顔文字もふんだんに使ってました。
保存は小刻みにいきます。執筆途中で見苦しい事も多いですがご勘弁を。
決断力というのは才能だと思う。
と、いうのも、俺にはその才能が著しく欠如しているというか、まぁそうならざるを得なかったというか。
一言で言うならば優柔不断。
選択肢があるのだから、どれを選んだら最善かを考えると悩むだろ、というのが俺の言い分だ。
だが、社会は厳しい。仕事は待ってはくれないのだ。
決断力のある後輩にはどんどん先を越され、俺も僅かに昇進したが、ずっと主任のままだ。
その主任でさえも、俺には過分なのかもしれない。
下のケツ拭き、上の叱咤、回らぬ現場、現実を乖離した上層部。
変わる社会情勢。飲みに誘っても、説教をしても、機嫌を取ろうとしても、“何ちゃらハラスメント”だと非難される。
社会人というものに夢を見過ぎていた感はあるが、現実を見て、昇進に夢を見るのはやめた。
下手に重責を背負わされてしまうくらいなら、一生“平”のままでいい。
基本的にリーダーって奴は、そういう才能を持ってないとできないのだが、失敗しない奴はいないと言っていい。
そういう奴は決めたら即実行。間違えてたらその場で判断して、また即実行。
迷って迷って最善手を打った俺より良い結果を引き寄せる事もざらにある。
が、俺がそれを真似すると最悪の結果しか招かないのだから、結局、決断力が育つ事は無いままだ。
だが、おかげで『最悪の結果』というのを思い描く才能には恵まれた。
というか、常にそれを想定してないと、いつだって最悪の結果は近くにあるのだから、才能というか必然というか。
ともかく、それを回避できるように動いてはいるつもりなんだ。
それを一部では鬱陶しがられ、ごく一部では有難がられている。
一人前の仕事をしたうえで、そういうごく一部の助けになるだけの仕事ができればそれでいい。
話が逸れた。
クロキシを外すというリスクがあるのだから、悩むのも当然と言えよう。
だって、水上走れないし、呼吸もできないんだよ?
水上を走れなかったら戦略の幅どころか、水中生物相手にろくな動きもできないし、呼吸できなかったら死ぬでしょ。
躊躇するのは仕方ないと思う。
だが、このままではクロキシの燃料や空気を無駄遣いするだけだし、まだ撤退という選択肢は早い気がする。
無駄に悩んで、結局、一刻一刻と時間を無駄にし、自分で選択肢を狭めていく。
不味い時のパターンだ。
クラーケンの裏側に回る。スイバをオフにして水没。
補助キャラにCCした瞬間、光は漏れたかもしれんが、触手に阻まれ、俺の動き(というかクランベールというキャラクター)は見えない筈だ。
スキル:雷苞弾での牽制。
バリバリ!!
このスキル、見た目は派手だがゲーム上は雷針弾とそう威力が変わらない。
それでも選択した理由は、雷針弾が単体攻撃で雷“針”弾という名が指すように、単体攻撃。
この巨大なモンスターに対して、非常に心もとないスキルだったからである。
余波で自分が痺れる事を心配し、万能薬の瓶を握りしめていたが、それは起こらなかった。
氷系魔法と何が違うのだろうか?海水なんて電気を通しやすそうなのに。
派手な閃光がその巨体の内側を駆け、周囲からは内側が透けるように青白く光るクラーケンが幻想的にさえ映った。
ズルリ、と船から触手が剥がれ落ちる。
『殺ったか?!』
大船上からそんな声が聞こえたような気がした。
俺の水深からは聞こえる筈が無いので、幻聴なのだが。
瞬間。
ヘイトがこちらを向いた。
大船から剥がれた触手が、・・・いや、その巨体そのものが、俺に掴みかかって来たのである。
CC:リーフレッド
いつまでも水中呼吸のできないキャラでいるのは不味い。
そう思ってのCCだったが。
「うぉ?!あっ?ちょ?!」
手元に愛剣 (?)が出現した。が、突如として攻勢に出たクラーケンに気を取られ、咄嗟の判断が間に合わなかった。
クランベールの装備が今マリッサの元にあり、杖を握っていなかったのだ。
そして、CCした俺剣を握っていない状態で装備が手元に召喚され、あっと思った頃には落下を始める。
重さもあるし、水の抵抗を受けにくいフォルムの大剣はあっという間に落下を始めた。
それでも通常であれば反応が追い付き、手に取れたのかもしれないが、今は戦闘中である。
それが判断の遅れを招いた事は否定できないが、致命的では無かった。
さっと身を翻し、逃げながらの浮上を試みる。
惜しい気はするが、CCにより武器が手元に戻ると分かっただけでも、良しとしよう。
全力で距離を取りながら、水上へ出る。
水中での挙動は向こうが僅かに上だった。
剣を拾おうともう少し粘っていたら捕まっていたかもしれない。
相手の土俵なのだから仕方が無いが、ここからは相手の土俵で戦ってやるつもりはない。
水上へ出てしまえばこちらのもの・・というほど有利な訳でも無いが、巨体というのはそれだけ重く、遅い。
自分の肉体でさえ元の身体を比べると、高AGIにもかかわらず、瞬発力というか小回りの面で相違を感じる。
動こう、と決めてから実際に身体が動き出すまで、タイムラグがあるのだ。
大きな体を動かすために“溜め”というべき時間。
動き出してしまえば、元の身体の性能を大きく上回って動けてしまうので、問題は今のところ起きていないが、ふとした時にそれを感じる事がある。
ターボの付いていない軽自動車から普通車に乗り換えたらこんな感じなのではないだろうか。
これを逆に利用する。今回、敵と比べて小回りが利くのは俺の方だ。
2隻の大船の位置を確認し、そこから大きく距離を取る。
この巨体が相手だ、多少の距離を取ったところで、戦闘に夢中になればうっかり大船に近付いてしまい、巻き込む可能性もある。
クラーケンは・・・追って来た。
変則的に曲がって相手の意表を突く。
敵の触手はこれに対応できずに空を掻く。
問題は、いよいよ闇が深くなってきている事だ。
水上の触手ならまだしも、暗く深い水中は、あの透明度の高い海とは目つものであるかのように黒々としており、敵の姿を捉える事は困難だ。
その上、一面が同じように黒く、不規則に高低する潮の足場は、距離感が狂ってやりにくい事この上ない。
大船の明かりも見えなくなった今、自分が大海原のどこにいるのか、方向感覚もあやしい。
これは、無事に戦闘を乗り越えたとして、大船まで戻れるのか怪しいところだが・・。
かといってこのモンスターを連れたまま戻る訳にはいかない。
確実に自分に有利なのは、CCをしても、大船から自分の姿を確認する事は、ほぼ不可能である事ぐらいだが、気兼ねなく戦えるという意味では非常に有難かった。
ふて寝しすぎた気がする。
ま、まぁ休みはまだある。うん。




