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ガーピー言ってるんだろうか(仮)

ゲーム上で存在した自然回復。

座れば早まったが、それでも時間が掛かる。

全快するのを待つくらいなら、元の大船に戻って回復薬を飲んだ方が早いだろう。


死ぬかと思ったが、奇跡的にも?外傷は無く。まだ手は震えているが戦えそうな気がする。

いや、正直、もう帰りたい。


高レベルとはいえ、あの怪物クラーケンの馬鹿げた回復力に対抗できる筈もない。

というか、むしろ、あのクラーケンは俺が討伐できるレベルのモンスターなのだろうか?

どう見てもレイドボスなんだが・・・。


この戦いでクロキシ装備を失うのはきつい。だが、大剣を失ってしまった。

レベルが低いので攻撃力は劣るだろうが、別のリーフレッドの持つ大剣の装備を外してこっちで使うという手もあるが・・・。


――引くべきだ。


そう考えている俺がいる一方、あの船に何人も乗っている事を考えると、素直に引く事ができない。

あそこにいるのはイベントの為に用意されたNPCなんかじゃないし、映画のエキストラでもない。

当然、死んだら命が無くなる。

そして、あんな化け物に対抗できるのは、俺くらいだとも思う。


「あ、アンタ・・・。大丈夫なのか?」


小舟で通りかかったのは、先ほど救い上げた男だった。


「っておい、こんな近くまで来て大丈夫なのか??」


「・・・酷い雑音だな。その格好だと外に声が聞こえないから、魔道具を使っているんだとは思っていたが。壊れかけているんじゃないか?」


俺の問いに答えろや。

小舟に近づいてよじ登る。男が手を貸してくれた。


「アンタが見逃されているあたり、多分、よっぽどの事じゃないと気を引くのは難しいだろう。

仲間たちが共有している範囲で、海に落ちた奴は回収できたと思う。その・・アンタはどうするんだ?」


仲間を助けたうえで、まだやる事が無いかと見に来てくれたらしい。

警備隊=悪という訳ではないと思っていたが、やはり腐った人間には見えない。


「正直、悩んでいる。・・・どうした?」


小舟が自然にその場を離れていくので、男の顔を見る。


「どうって・・・ああ、アンタ、まだやる気なんだな。

俺が言うのも何だが・・・・。その、大丈夫なのか?」


あー・・。大丈夫か?と言われれば、大丈夫じゃないと答えるしかない。

何しろ、武器が無いのだ。

だが、武器を出し入れできるアイテムボックスがあるこの世界で、武器の紛失を心配された訳ではなさそうだ。

こちらの様子をおもんばかっている感じからすると、小舟に乗る時に手を貸してくれたこの男は、俺の手の震えに気付いたのだろう。


「まぁ、大丈夫かと言うとそうでもないんだが、そうも言ってられないだろう。」


「・・・そうか。」


どのみち、飛び降りてもう1戦!という精神力も体力も無いし、座って休めるのは有難い。

行くとなれば、俺にはスイバがあるので、離れても・・まぁ問題ないだろう。


俺達の乗っていた大船が、動いていると気付くのに時間が掛かるような速度でゆっくりと移動している。

クラーケンに見つからないようにする為だろうか?


その船から少し離れた場所にあった、小舟の船団に合流する。

そこにはマリッサとドワーフのオッサンが数名、鬼族の商人達、助け出されたらしい、揃いの制服を身に纏った警備隊の兵士達がいた。


「えーと、ここで何をやってるんだ?ってか、現状は?」


「酷い雑音なのよ。直せる道具も無いし、困ったわね。」


雑音・・・。聞こえないな。

音を拾う魔道具の特性なのか、それともマイクというかスピーカーの問題なのか。

雑音を除去するようなシステムなのか??

この事態で会う人みんな言うくらいなら、よっぽど酷いんだろうけど。


マリッサによると、大船はいつでもノルタークに戻れる位置に移動中で、座礁しないように慎重に運航しているようだ。

と、いうのも、警備隊の大船が主要なルートを塞ぐように配置されているので、リスクの高い航路を選ばなければいけない。


「それで、私達は船に戻れないリフレのサポートなのよ。

ゆっくりとはいえ、動いている大船に近づくと転覆しかねないから・・まぁ、リフレなら何とかしそうだけれど、今は搬入部も閉じているし、梯子も無いから入るのが難しいのよね。

内情を知っていて信頼できるか、この件で何らかの組織に取り込る可能性の低い人の中から、戦闘になってもサポートを続行するというメンバーを厳選したわ。」


あの怪物クラーケンを相手に、戦闘になってもサポートを続ける、という事は、つまりは海の藻屑である。


要するに、クラーケンのいる警備隊の大船の方に特攻して死ぬか、座礁して死ぬか、戦って死ぬかだ。

選んだ結果、それぞれ、まだ生き残れそうな方に賭けたらしい。

だが、その場にいた者の表情を見るに、あまりのいい賭けでもないらしい。


(デッド)or(デッド)or(デッド)。非常に分かりやすくて、どこにも希望が無い選択肢である。


「まぁ、最悪、あの人達には私たちを残して逃げてもいいって言ってあるわ。

そう考えると、一番無難な選択だったのかもしれないわね。」


そう言って指示したのは鬼族の商人達だ。

酒らしきものを盃で飲んでいるのは、釣りをしていたとかいう男だ。

他に酒を呑んでいる奴はいないようだが、何かしら頬張っていて、まるでピクニックに来たような様相を呈している。

戦場とは思えない、和気あいあいとした雰囲気なのは、いつでも逃げられるからなのか。


「それで・・何か土産は無いのか?そう、足の一本でも構わないのだが・・。」


それとも食い意地のせいなのか。・・・食い意地だな、間違いない。


「あの辺に落ちているだろうが、正直、食えるかどうかわからないぞ。

大きすぎるイカはアンモニア臭くて食えたものじゃないって聞くし、正直、アレがイカかどうかも怪しい。」


「ほう。今度はイカっぽいのか。あんもにあ、とは何だ?」


「・・・とりあえず、近くまで行ってみるか。」


「刺身はダメっぽい、って解釈でいいのかな?」


「とりあえず煮ておけば良かろ。身が堅くて食えなくとも、出汁にはなる。」


スィーッと船団から離れていく鬼族の商人達。

もちろん、逃走ルートではなく、クラーケンの方に向かって、だ。

乗組員に動揺は無く、七輪のようなアイテムで火を起こしている奴までいる。

何の為に?・・・・言わずもがな。


お前ら、命が惜しくないのか?

雑音を除去するようなシステムなのか??>>ハウリング(カラオケとかで鳴る、キーンって音ね)という現象を起こさないように調整がされているので、自らの発生させる声(外付けのスピーカー系魔道具から出る音)は聞き取りにくくなっています。

正面に付いているスピーカー(っぽい魔道具)はダメになりかけていますが、外の音を聞き取る(マイク的な)場所はサイドにあるので大丈夫だったもよう。

あと、構造上の問題でヘルメットの内側の魔道具の方は全くの無傷ですね。

あ、ヘルメットっつちゃった。魔道具、魔道具。


簡単に言うと、

〇外側の音を聞き取る魔道具⇒◎外の音を中に届ける魔道具

◎中で喋る音を聞き取る魔道具⇒△中の音を外に伝える魔道具(←これが壊れかけ!)

こんな感じ。


雑音は、オンオフを繰り返すようなプツプツという音、音割れ現象、バリバリ?ブーン?という低い音の3重奏です。主人公はともかく、周囲の人は声が聞き取りにくいです。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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