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容疑?交渉?(仮)

現れたそいつ(・・・)は、人を見下したような態度の男だった。


「ふん・・どういった手品か知らんが、交渉権を得たようだな。」


「・・何なのかしら、このチビスケ。」


マリッサが言うのもどうかと思うが、小さいオッサンだった

エルフは美形というイメージがあるせいもあり、シャクレ気味のそいつが肌色のゴブリンか何かに見える。

比較対象が無いので何とも言えないが、下手したら元の世界の俺と同じくらい小さい。

お付きの人がいたので見てみると、さっき逃げてった3人組だ。


「よりによってなんでコイツなんだよ・・。」

「控えめに見積もっても切り捨て傭員だ。そして同行する俺達も以下同文だ。」


ひそひそ話しているのが聞こえて来る。

が、マリッサの声にも3人組の声にも反応しないあたり、集音機が仕事をしているだけで、実際にはかなり小さい声なのかもしれない。


「まず、貴様らには敵国のスパイ及びテロリストの容疑が掛かっている。」


「は?」


思わず声に出たが、マイクがOFFになっていた為、聞こえなかったようだ。

俺達が大人しく聞いているように見えるかもしれないが、この小さいオッサン以外は冷めた表情や呆れた表情をしていた。


「詳しく話してもらいたい。」


ローグリアムが真面目な顔をして説明を促したが、その前に一瞬振り返って変顔を披露したので、この態度は偽装である。

主に、ローグリアムが相槌を打ったりして反応を示すことで、スムーズに話を聞きだす事ができた。

その結果がこれである。


俺にスパイ容疑が掛かっていると。

出自しゅつじが不明である事、ヒューマン族である事、この辺では手に入らないアイテムを所持している事などの証拠が挙げられる。


・・・何にも言えねぇ・・。


討伐隊がテロリストである容疑が掛かっていると。

突然、降ってわいたような魔道具の開発を始めた事、それが兵器として転用可能である事、ドワーフ族が中心である事、“人喰ひとぐらい”と同系のモンスターを連れていた事などの証拠が挙げられる。


いやちょっと待てと。


「待ちなさいよ!」


魔道具スイバの開発は、水上での活動に有利な状況を作りたくて始めた事で、ドワーフのオッサン達は善意の協力者だ。

だいたい、兵器として転用可能っつったら、難癖付けたら何でもそうなってしまうだろう。


「思いついたタイミングにまでとやかく言われたくないのよ!それに、この討伐に必要だから開発を始めたのよ?

それに、さっきからヒューマン族だのドワーフ族だのって、結局エルフ族じゃないから信用できないって言ってるだけじゃない。

兵器として転用可能だから何なのよ?ちゃんと本来の目的に使ってるし、間に合わせだから粗もあるのは仕方ないわ!

使えるなら兵器だろうが茶器だろうが土器だろうが使うのが人間でしょう?!」


ブラゴンに襲撃を受けていた事実こそあれ、連れていたという事実は無い。


「それと、アンタ、目が腐ってるのかしら?

何喰らいだか知らないけど、連れ歩いちゃいないわよ!襲われていたの。わかるかしら。

むしろ、襲われなかったこっちの船の方が怪しいと思っているわ。」


俺が何か言い出す前に、だいたい全てマリッサさんに言われてしまったな。


「あと、リフレがスパイ?仮にそうだとして、それで?何か不都合があったわけ??

そう。薬を売られちゃまずくて、この海域を正常に戻したらまずいのね?

つまり、この国を良くしたら不味いのね?ほぉ~ん?どっちがスパイだかわかったもんじゃないわね!」


ちょ、マリッサさん?何故そんな挑発的な物言いをするんですか。

ほら、オッサン、プルプルしてるから。顔を真っ赤にして震えてるから。


「この・・穴倉あなぐら族風情が・・・!」


ああ、このオッサン、こういうたぐいの人か。

何か具体的な反論があれば、たとえ感情的な人でも話し合いになる。

しかし、この場面で全く関係ない、侮辱と思しき言葉を吐く人とは、議論しても何の価値もない。

・・ところでアナグラ族って何だ???


「あら?まともな反論もできないのかしら?大筋で認めたって事よね、それ。

で?反論があれば聞くのよ?もちろん、こちらも反論するわよ?何かあるかしら。」


ここであおるのがマリッサさんの悪いところである。

本人は、まだ話し合いになると思い込んでいるから議論を続けたいだけなんだけど、見切りをつけるタイミングを覚えるのは経験則になってくるからなぁ。

噴火寸前、オッサンが激高しそうになったところを、ローグリアムが抑えた。


「そちらの言い分はわかった。それで、疑いを晴らすにはどうしたらいい。」


顔が赤くなりすぎて、逆に目の周りが白くなり、逆パンダみたいな形相をしている小さいオッサンだが、ぐっと喉を鳴らして堪えた。偉い。

まぁ、何か言ったとしても3倍返しを受け、泥沼になるだろうから賢明な判断と言える。


「調査員として我々が派遣される事になった。

そちらの船内を調査し、おかしなものが出て来たら差し押さえる。」


・・・なるほど。

正直、さっきの基準だとおかしなものだらけになる訳だが。

スイバ関係だけでもかなりあるはず。討伐に来たのだから、兵器だって。

正直、良い予感はしないんだよな。


何でもかんでも証拠として押収されまくって、濡れ衣でも着せられるんじゃないだろうか?


もし敵対関係が解除されるなら、それに越したことが無いんだろうけど・・。

俺では判断が付かない。マリッサに頼んでも泥沼だ。ここはローグリアムに任せよう。


「分かった。調査団を受け入れよう。」


マリッサが何か言おうとしたのを押さえつけ、なんとか話は進んだが。


「・・・目にものを見せてくれる。」


集音機が、低いつぶやきを拾う。

嫌な予感しかしないんだよなぁ・・・・・。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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