合流(仮)
書き途中です。
戻って来ました。
ちょっと色々やりながらの更新ですので、500文字くらいからちょっとずつ進めます。
夜までには2000文字まで進むようにやります。
調整の拙かった“海明かりの魔道具”。
イメージは月明かりだと言うのだから、あんな閃光が出るのは失敗作であると言えるだろう。
もちろん、轟音が出たり衝撃波が発生したりというのも異常事態だ。
あくまで探索を補助する為に作られた魔道具なので、そんな邪魔にしかならない仕様にする筈がないのだ。
明らかな不具合と言えよう。
さて、もしクロキシ装備でなかったら、鼓膜的にかなりの打撃があっただろうと思われるが、幸いにも耳鳴りはすぐに治まった。
おかげで、
「リフレ、無事なの?!今すぐ返事をしなさい。
あとすぐに引き返しなさい。先に返事よ。早く応答するのよ。」
浮かび上がる手前からぎゃぁぎゃぁと喚くマリッサの声が耳に届いたんだが、俺、何か不味い事をしたのか?
何を怒っているのだろうか?
浮かび上がってすぐ、遠くに小さく船が見えた。が、当然、マリッサの様子まで見える筈もない。
「お、おう・・・どうした?」
一瞬、何も考えずに返事をしかけて、そういえば、ボタンを押して返事をする仕様に変更したのだと思い出す。
「聞こえるの?聞こえてないのかしら?
聞こえてたら返事なさいよ。・・・もしかして、壊れたのかしら?」
「聞こえてるぞー。おーい、聞こえてるってば。」
ベシベシと何かを叩く音が聞こえる。
テレビは叩いても直らないという話は聞いた事があるが、とりあえず、壊れているとしたら俺の方だと思う。
おそらく、このボタンが壊れたと考えるのが自然だろうな。
俺の意向を汲んで作ってくれたはいいけど、強い衝撃に耐えうるかという実験はしていなかったように思う。
ともかく、聞こえている事を示すために、俺は船に向かって手を振って見せた。
・・・・・。
そうだ、狼煙を上げよう。遠い場所とやり取りする為に渡されたんだった。
ジェスチャーでやり取りするなんて話は一切無いのだから、通じる筈もなかった。
小さい浮標でも、狼煙用の土台になるようにできている。
いや・・・できていた。
周囲を見渡して探す・・必要も無いほど、それは目立っていたのだ。
「おいぃー?!どうなってんのこれ?!」
狼煙は既に上がっていた。
というか、浮標の残骸から黒い煙が濛々と上がっており、そして・・
「嘘だろぉ・・ ちょっ・・あ、 ・・・ああぁぁぁ・・・・。」
完全に壊れてしまったらしく、花が萎れるかのようにフニャリと浮力を失い、海底へと消えてしまった。
二度目の浮標設置、失敗である。
「聞こえたら返事なさいってば!もしくはジャンプするのよ!できるだけ高く!」
無茶苦茶言うマリッサだが、まぁやれんことも・・・・・・・・・スイバも壊れてた。
俺は泳ぎながら、勢いを付けて海面へ躍り出る。
ドルフィンジャンプ的な感じのを試みた訳だが・・・。深く潜らないと高度は稼げないっぽい。
まぁ、船に向かいながらだから、そこそこのジャンプを披露したよ。
その後、ビターンと・・速度的にそんな優しい音では無かったな・・バシーンと腹を打ったが、恰好はともかくとして痛くは無かった。
そんな事をやっている間にも船は近付き・・・。
同じ形の船が2つ・・2隻か。あるとややこしいが、元の船に戻ることができた。
船に戻るなり、マリッサが凄まじい勢いで食って掛かって来たように見えたが、通信の魔道具を置いて来たのか、一切音声が聞こえない為、全く何を言っているのか分からなかった。
更衣室になっている船室に入り、ドワーフのおっさんらに助けてもらいながら、さっさと装備を外す。
そして部屋を出ると、案の定、マリッサがものすごい勢いで突っかかって来た。
「何があったか話してもらうわよ!」
いや、その前に何をそんなにピリピリしてるのか、教えてもらえませんかね?
状況を把握できてないんです、マジで。
俺が問うと、マリッサはガックリと膝を折った。
え、何々?どうした?
・・・・・。
個室を与えられている者は少なく、ほとんどの船室が空き部屋である。
まぁ、自由に使うようにと解放されているが、他の者を差し置いて使う奴は少ないのが現状である。
そんな空き部屋の一室。俺は、マリッサから客観的な事実を聞かされていた。
「じゃぁ、海明かりの魔道具も、浮標も、“誰かの工作”で爆発したって言うのか?」
「そうとしか考えられないのよ。だいたい、そこまで極端な失敗作なんて、試作段階でも滅多に無いわ。
意図的に作ったと考えた方が自然なのよ。自然とか不自然とかいう話じゃなっくて、当然の域ね。
それを作った人は、当然そうなると分かった上で作って渡した事になるわ。」
つまり、事故ではなく、事件だと言うのだ。
要するに、明確な悪意を持ってこれらを作った人物が、仲間内にいるという事になる。




