アイテム紹介?(仮)
書き途中です。
そろそろお昼なんではなかろうか?と思ったが、俺のした仕事といえば、無駄に空気と燃料を使って明後日の方向を探索していたくらいである。
つまり、何もしてないみたいなもんだ。むしろ、してない方がマシなのかもしれん。
なので、昼飯については触れずに仕事に入る事にした。
小舟に乗って行っても、目標地点の近くで襲われなければ、俺の操舵でおかしな場所に行ってしまうという事で、単騎で行くことになった。
単機か?どっちでもいいや。スイバ+クロキシだし、魔道具だし、どっちでも合ってるっしょ。
さっきのは、シーサーペントを食いつかせてやろうと思ってウロウロしたせいであって、さすがに、真っ直ぐに行くだけならばおかしな事にはならないと思うんだが・・。
そう思って口にしたら、無言で睨まれた。失った信用はでかかったらしい。
「そうそう、水面を走らずに泳いでいきなさい。その方が燃料の節約になるのよ。」
水上を走る為に作ったのに、燃料を食うからと使わせてくれないマリッサさんであった。
というわけで、俺は大船を背に、マリッサの指差した方向に向かって泳いでいる。
体感的にはそろそろか?もう少しか?というタイミングで振り向く。
船は、かなり小さくなっているが、シルエットはわかる。
うーん、まだちょっと近い気がするが・・ちょっと潜ってみるとするか。
・・・。
しばらく散策して、それらしい場所を見付けた。
振り返って船を見ると、かなり小さくなっていた。
思ったよりもだいぶ離れていたらしい。
海の中は、雨天なのも影響してか、暗い。
心なしか、透明度もほんのり落ちている気がする。
ビル群のように見えた、青い光の反射する幻想的な岩が、のっぺりとした黒い影になっただけなのだが、ずいぶんと雰囲気が違う。
気のせいかもしれないが、あの日の感動は少々の不気味さへと変化しているようにさえ見えた。
魚影でもあれば、ずいぶんと雰囲気も変わるのだろうが、やはりそれらしいものは無いしな。
魚影もそうだが、敵影も無いので、岩海老の巣のあった場所へと特攻する。
いや、本当に特攻した訳ではないよ。言葉の綾というやつだ。
その岩肌は黒く、穴は暗く深かった。
さすがに、前も見えない場所へ突っ込む勇気は無い。
俺は、アイテムボックスから、用意してもらった明かりも魔道具を取り出した。
あ、ちなみにアイテムボックスはいつものウエストバッグではなく、別の物を使用している。
しかし、見た目についてはそっくり同じと言っていいレベルで酷似している。
形が同じものの方が使い易かろうと、ドワーフのおっさんらが気を利かせてくれた結果である。
元々持っていた方は、この世界に来た時から身に着けていたもので、キャラの造形の一部と言えよう。
実際、防水加工のしていある革製のもので、ドワーフが目玉を引ん剝くぐらいには丈夫に作られていたらしい。
いわばキャラの一部・・ゲームでいうところのオブジェクト的なものなのだから、当然と言えよう。
とはいえ、この世界はゲームに似ているがゲームでは無いのだし、ゲームには海に潜るような描写は無かった。
海に潜る前提のものでは無い筈なので、念のためだ。
痛んでも買い替えればいいんだけど、せっかく丈夫で長持ちすると言われているものを、わざわざ粗末に扱って壊す必要も無いというのが俺の考えである。
さて、取り出したるは“海明かりの魔道具”、新たに発明されたばかりの消耗品である。
込められた魔力燃料分、光輝いた後は、海水中の微弱な魔力によって、ほのかに光る程度になるのだという。
使い捨てOK。
この燃料、化石燃料のように周囲を汚染しないらしいし、ほとんどが海の材料、それ以外も自然のものを使用しているので環境に優しそうだ。
いや、捨ててきていいとか言うから確認を取った結果である。
変な事を気にする奴だと言われたけど、大事なことだよな?・・な?
構造的には、固めた砂という簡易的な防水加工をしてある、石のようなものを割ると、海水に反応して光るのだ。
光は2分割で30分以上、4分割で15分程度は保つように作られているが、あまり細かく割ると光が弱くなるし、保ちも悪くなるので。それ以上は細かくしないようにと言われた。
アイテムボックスから出した瞬間、もろもろと崩れ始める海明かりの魔道具をバキッと割ってみると、乾かされた砂に一気に海水が浸透して崩れ、出てきた石のような物体が海水に反応して光り始める。
これは、結構な明るさ・・うーん、蛍光灯を少し暗くしたくらいの明るさはあるんじゃないか?
余談だが、塩バージョンもある。が、コストが嵩んで没になったそうだ。
この明るさならばと迷わず4分割。暗い洞窟へ投入していく。
うーん・・まだ暗い。厳密に言うと、明るさが足りるが、範囲が足りないのだ。
まだ欲しいな。取り出しては割り、バラ撒いては進む。
バキ、バキ。ぽい、ぽいぽいっと。
それを繰り返し、奥に進む。
コストは一応、前回の収穫(?)で賄えているので気にしなくていいらしい。
1メートル先の右、さらにその先の左に。そんな感じで通路と呼ぶには歪な岩の隙間を潜り抜けていく。
間接照明のような、ちょうどいい具合の明かりに、ホッっとしつつ。
バキッ
何気なく見やった先。
あまりに動きがないのと、岩の色に溶け込んでいて、至近距離まで存在に気付かずにいた。
呼吸としているのか、口らしき器官と足?をピロピロ動かしながら、ぼんやりと佇む小ぶり(?)な岩海老を発見・・・
―― カッ!! ドゴーーーーーーーン!!!
した瞬間、俺の割った海明かりの魔道具が閃光と共に弾けたのだった。




