なんかこの前と違う・・(仮)
書き途中です。
すまん、PCが逝っておった(--;)
雨は勢いこそ無いが、すぐに止むような素振りも無い。
しとしとと降り続き、風も幾らか強くなっている。
船は碇で繋ぎ止められてはいるものの、海上のうねりに身を委ねていた。
「・・・・・・・。」
雨天にも関わらず、クロキシで身を包んだ俺を多くの人が見送ってくれる。
さすがに海中にスザクを連れて行く訳にはいかず、大人しくマリッサに抱きかかえられている。
頭の上は無理だと言われ、心なしかショボンとしているように見えた。
今度は甲板からではなく、俺の希望もあって船の横の開閉部分から出るので、雨に打たれる人は少ないが、口々に応援の言葉を掛けてくれていた。
問題は、それが全く聞こえないって事ぐらいだ。
「さて、通信の魔道具の準備ができたわ。聞こえるかしら?」
「ああ、よく聞こえる。こっちの声は?」
「問題ないわ。」
通信の魔道具のテスト。
俺の要望で、こちらの声は押したときだけ聞こえるスイッチ式にしてもらった。
基本的にはオフになっているので、用が無い時には切っておけるようになっている。
「独り言とか漏れてたり、鼻息とか入ったら恥ずかしいだろ」って言ったんだけど、マリッサには「変な事を気にするのね」とすごく呆れられた。
魔力バッテリーの節約の為にも採用されたけど、別に変な事じゃないよな?結構、大事な事だよな???
実際、通信の魔道具で俺の状況を探ってたらしいし、途切れ途切れではあるが叫び声とかも聞こえたらしいので、普通に勘弁して欲しいと思う。
「出来る限り、前回と同じように停泊している。
後ろから来た警備隊の船は・・また変な停め方をしやがって・・・。
せっかく設置したマーカーが無いから、距離は探りながらになるが、方向はあちらの筈だ。
あの糞共、ホント糞みたいな仕事ばっかりしやがって・・・糞が。」
糞々言うんじゃねーよ。
マーカーは通信の魔道具の中継地点としても使えたらしい。
遠隔操作で光らせたりできるし、壊すと特殊な煙が出るので、合図にも使える筈だったという。
浮いているマーカーの上で狼煙を上げる事も想定していたという。
仮にシーサーペントに飲まれたとしても、発信機として使えるので、敵の位置を確認する事ができ、どう転んでも役に立つ筈であった。
それに、何より俺の前回の仕事の成果でもある。
それを目標(敵と想定)に訓練をして、ぶっ壊したアホに糞と言ってしまう気持ちもわからんではない。
ちなみに今回、予備のマーカーを持たされている。
今作戦の為のマーカーだったので、今回設置する意味は薄いが、それでも適当な所に置いておけば通信の魔道具での意思疎通がスムーズになると思われる。
もし失敗した時にも、目印があれば色々と捗るらしいので、置いておく意味はある。
余裕があれば設置して欲しいとの事だ。
例によってボロ船で目的地点へと向かう。
うーむ・・・空が暗いせいか、海の色が濃くて魚影が見える気がしない・・。
いや、光が乱反射しない分、見易い気もしないでも・・・・。
・・・・・。
だめだ、よくわからねぇ。
・・・・・・・・。
シーサーペントが襲って来ねぇ。
船が見えなくなりそうだったので引き返す。
俺の方向感覚と拙い操船技術じゃ、船が見えなくなったら最後、方向が分からなくなりそうだ。
俺の乗った小船の旋回は、ものすごく大回りで・・・これは船がボロイせいなのか、俺の腕が悪いのか、それとも船の特色なのかは定かじゃないが、ともかく思うように動かすのは難しい。
本当なら、前回設置したマーカーが役に立つ場面だったのだが、仕方ない。
目測で前回の位置と思われる場所に停まっ・・
停まれねぇ・・・。
ブレーキが利かない。
いや、一応、利いてるんだけど、減速していくだけというか・・・まだ流されてる。
・・・・・。
停まった、かな?
海面に揺蕩う以上、完全停止とはいかないようだ。
まだ動いているような気がするが、元々捨てる予定の船だ、ここへ置いて行くとしよう。
動力の魔道具を回収する。「できたら回収して欲しい」と言われていたからな。
浮標を取り出す。
前回のマーカーよりも少々簡易的な物になったのは予算の都合らしい。
壊れる予定じゃなかったからな。
そもそも、警備隊の訓練に使われるのは想定外だったし、部外者に壊されたようなものだ。
ヘッポコだ糞だの言われる訳である。
「・・・随分とおかしな場所に停まったみたいだけれど、大丈夫なのかしら?」
「・・・・・大丈夫だ。問題ない。」
やっぱり、予定の場所からズレてしまったようだ。
とりあえず、問題が無いという事を示すために潜ってみる。
「・・・・・・・・。」
うーん、ここはどこだ???
前回と似ているようにも見えるが、全然違うような気もする。
えーと・・・・・?
目印になりそうな、デカいビルみたいな岩・・・に似てるけどなんか感じが違うやつ発見。
これが、俺がかすかに覚えている岩だとすると、見える範囲にデカいサンゴっぽい岩がだな・・・無いな。
ぐるっと回ってみたけど、やっぱり、無い。
これが違うとすると・・・こっちかな?
・・・あ、あのサンゴは・・・。
違う・・かな????
水中を歩き回ったが、それらしい場所が見当たらない。
いや、それっぽい場所はあったんだけど、雰囲気が違うというか・・・。
一旦、浮上して考えようと思ったら、
「一体、何をしているのかしら。」
やけに鮮明な声が聞こえた。




