曇天のざわめき(仮)
書き途中です。
久しぶりに風邪引いたり、色々ありましたけど、まぁこれから週休2日になるので、
・・・なる筈なので、・・・・なるよね?
そんな感じなので、文章を見直して(仮)を外す作業を優先すべきか迷いはありますけど、ペースは上がる・・かな?
上げられるかなぁ(--;)そんな予定。
スザク鳴き声から始まる、爽やかな朝だ。
・・・と、言いたいところだが、どうだろうか?
空気が微妙に湿っていて、空が暗い。曇天。
これから海に出る事を思うと、決して良いとは言えない天気だ。
身支度を整え、宿に泊まっていた仲間達と合流して、すでに決まっている今日の予定を話す。
しばしの別行動。船の前で合流の予定だ。
まずはスザクとフェンを預けに、預かり所に行った。
フェンは大人しく預けられてくれたが、スザクの抵抗が激しくて困った。
持ち上げようとしたが、頭から離れようとしないのだ。
「コッコ鳥の変異種・・・これは興味深いわ・・・うふふ。
預からせてくれるのよね?嘘じゃないわよね??もちろん丁寧に預からせてもらうわ!」
「コケ?!コケーーーッ!!?!コケ!!ケェッ!!!」」
変異種?
進化してコッコ長から別の品種(?)になったんじゃなく、コッコ鳥のまま変異種とやらになったのか?
謎のワードが出てきた。これもゲームじゃ使われてなかったな。
だが、今は予定がある。気になる単語ではあるが、また後で聞けばいい。
走ればすぐだが、街中で走れば事故になる速度なので、常識的な速度を出す事を前提にすれば、ここは港とはかなり離れている。
一応、主要なというか、ギルドで俺の名義で手伝いを集めている以上、リーダー的な立ち居地な訳で・・そんな立場の俺が遅れてノコノコ現れるのは不味い。
「コォォォォオオオオ?!」
「うふふ・・ご主人が好きなのね。大丈夫、悪いようにはしないから。」
・・・職員のせいかもしれないが、俺の頭皮が心配になるレベルで抵抗し、そして職員も俺の頭皮に配慮が無い程度には容赦が無かった。
時間にして5分近く抵抗したスザクは、250レベルを超えている筈の俺にも、しっかりとダメージを与えたようだ。まだヒリヒリする。
「どんな食べ物が好きなのかしら?お散歩する?」
「コケ!!コケーーーッ!!」
職員も悪気は無いというか、好意しか感じないし、ちょっと怖い気はするが、扱いに関しては悪くはしないだろう。
助けを求めるような目で俺を見つめるスザクだが、コイツを頭に乗せたまま海中に潜る訳にもいかないからな。
「では、よろしくお願いしますね。」
「任せなさい。」
「コォケェエェェェーーーーーーッ!!!」
現地に向かう。
港の雰囲気は、妙に物々しく・・妙に心がざわつくのを感じた。
俺と離れて別行動をした仲間達がゴロツキに襲われたらしい。
返り討ちにしたのだが、問題はそれだけじゃなかった。
他にも、協力者が何人か襲われていたらしい。
天気がよろしくない。風も少しある。
場合によっては延期した方がいい、というのが全員の共通認識だ。
しかし。
「延期に関しては、俺も打診をしたんだが、ギルドでの管理が難しくなった。」
どういう事かと尋ねれば、人の少ない建物の影まで連れられて行った。
少し押し問答気味になってしまったが、要するに、ヒューマンの俺が事件を解決してしまう事に関する圧力が掛かっているんだという。
ここにギルディートでもいれば違ったのかもしれないが、そういう事らしい。
「と、いうのは表向きでな。おそらく・・・」
このクエストを完了させて欲しくない勢力がいる。
もしかしたら、それは例の組織と関わりがあるのかもしれないが、確証はない。
一応、ここまで明かすのは信頼関係を壊したくないからだそうで、それに応えるつもりがあるなら内密にして欲しい情報だそうだ。
が、建物の影で声を潜めているとはいえ、こんな街中で話せる内容なのだから、大した事ではないのだろう。
察してくれ、という無言の嘆願が聞こえてきそうだが、さすがに俺はそんなに頭が良くはない。
深読みするのは苦手なのだ。できないとはいわないが、おそらく、それをすれば明後日の方向に答えが出るだろう。
勘違いで物事を理解するのは非常に危うい。
せいぜい、裏がありそうだな、とかその程度を心に留めて置くに限る。
今回の仲間達の襲撃に何か関わりがあると考えるのは早計だし、そうだとしても今考えるべき事じゃない。
たとえ、謎の組織がこの討伐戦の妨害に絡んでいたとしても。
そして、どこか上の方に食い込んでいたとしても。
それは、俺にはどうしようもない事だし、知っていても知っていなくても起こる事は一緒だからだ。
忠告の心算ならば、ありがたく受け取っておくが、役に立つとは限らない。
情報は武器だが、それは生かせる人間が持ってこそなのだから。
そして、既に決定していたこれ以降の討伐に、ギルドの協力が得られなくなると言うのなら、ギルドの協力を得られるこの一回を不意にするのもよろしくない気がする。
ただ、それは天候が良ければの話で、俺の中の天秤はぐらついたまま、ただ流されるように・・というか流されるがまま、というのが正しいだろう。
「では、これより出発式を始める。」
曇天と、その微妙に湿気った空気のせいだけではない。
敵意の篭った視線さえ感じる、妙な空気の中、俺達は修理を終えた船に乗り込む事になった。
「……――。」
・・・なんだろう?
誰かが叫んでいるような音?が遠くから聞こえる。
悲鳴ではなさそうだが、何を言っているんだろうか。
聞きつけて気になった者もいるようだが、特に異常事態という訳でもないので、次々と船に乗っていく。
俺も、さっさと船に乗っていい位置を陣取らないとな。
今回は、天気も微妙だし、船内の、できれば客室ではなく操舵室に居させてもらえたらと思うのだが、さすがにわがままだろうか?
あそこならば、外の景色も見えるから、酔いにくいかもしれないし。
「―――ェ…」
メインで戦うのは俺の筈だし、操舵室にいれば情報はすぐに集まってくるだろう。
駄目だったら普通に断られるだろうし、ダメモトで聞いてみるのも手だな。
断りづらい、とかそういう事は無いよな?
ってか、何だろう。
叫び声が、だんだん近づいて来ている気がする。
と、いうか、どこか聞き覚えのあるこの声は・・・。
「コォケェェーーーーーーッ」
・・・うん?
その声に振り返ったのは俺だけじゃなかったようだ。
見ず知らずの冒険者が口から漏らす。
「・・・なんだ、あれ?」
俺も同じ事を思ったところだ。




