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屁理屈と齟齬と

向かうのは東の森だ。

撒き易さが優先だ。全力で何時間も走るような逃走劇を繰り広げるのは勘弁だ。


しかし。


「よォ、大剣の兄ちゃん、待ってたぜェ。」


門の影に隠れていた男にタックルされ、がっちり捕まった。

どっかで聞いた喋り方だが、双剣キャラでは無い。


振り払って逃げようとするが。


「ギルディートからの伝言だ。

プレーヤーについて情報を渡してやるから模擬戦をしろと。

あと、『お前はノルタークに入っていないんだから、捕まえさえすれば俺の勝ちだ。』とさ。」


ギルディートって誰だよ。いや、流れ的にはあの双剣か。

プレイヤーの情報?そんなんあるのか?いや、十中八九ないだろうな。

一瞬、動きを止めてしまったが為に


「っしゃーァ!捕まえたぞ!」


双剣の野郎に捕まってしまった。


確かに、ノルタークに着くまでに俺に追いつくか、追い抜いたらすぐに勝負してやるとうな事を言った気がする。

ああ、俺がノルタークに着いてない以上、確かにあの約束は生きてるな。


いや、こうも言える。


「だが、お前はノルタークに入ってしまったんだろう?結局、ノルタークに着くまでに追い付けなかったという事になるだろうが。」


俺が屁理屈を真顔で投げた瞬間、双剣の男(ギルディート)の耳がヘタッと垂れた。


・・・・・・・・。


==========


戦場。


「敵襲!敵襲!!」


敵の遊撃隊と衝突した。


こちらの急襲を読まれたらしい。


まさかの出来事だ。俺達が迎え撃つ側に回った。


(戦闘イベント)


怒号。悲鳴。そして惨劇。


敵・味方のどちらからも血しぶきを上がる。


・・・そうだ、忘れていた。


俺たちはいつだって狩る側だと思っていた。

しかし、戦場は命のやり取りをする場所なのだ。

俺達が一方的に敵を狩れる道理は、ない。



敵部隊は魔族の男をリーダーとする傭兵団のようだ。


・・・しかも、かなりの手練れ。


相打ちで倒れる者。


辛くも勝利を収めたと思いきや、その瞬間に狩られる者。


満身創痍で身動きの取れない者。


そして、死体、死体、死体。


俺は、目の前の敵に一撃を入れようと剣を振るったが、綺麗に流され、反撃の一撃を弾き反す。

こいつは副長か?何でもないような長剣が得物のようだが・・・。


(戦闘イベント)


やりやがる。


敵の双剣の魔族(リーダー)と、俺たちの団長リーダーがぶつかり合う。


大丈夫。


その背中に絶対の信頼を乗せる。


団長はいつだって・・・。


どんな時だって・・。


必ず、不利をひっくり返して帰って来る。


「そんな攻撃で、そんな剣捌きで、俺に勝つつもりでいるのか?」


敵のリーダーが嘲笑う。

・・なんだ?

ふいに、胸に冷たい予感が湧き上がった。


「くそっ、どけ!」


俺が焦りを感じたのは、団長が押されているように見えたからだ。

孤児だった俺を、ここまで育ててくれた団長の命が危ないと言うのなら、俺はいつだって盾になれる。


・・・だが、こいつが邪魔だ。


焦っては駄目だ。

俺とそいつはタイプの違いこそあれど、ほぼ互角。

ちょっとした事で不利になる。そうなれば、俺は骸となるだろう。


長剣の男の集中力が増していく。


攻撃が通らない。


敵のリーダーの歌うような声が、うめき声ばかりとなったその死地では妙に響いた。


「お前は、弱い。そして『いらない』。」


団長の鎧の隙間に、その刃が、入った。


「どけぇえ!!!」


叫ぶが、俺も腹を斬られる。が、浅い。

反撃に剣を振るうが、ザクリ、という音が耳に響いた。


「ああ・・・。」


それが、何の音であるかを理解してしまう。

理解してしまったが為に、俺の戦意は喪失した。


殺せよ。


俺の願いを汲んだのか、長い剣の男は、俺に剣を振り下ろした・・・。


==========


確か、大剣キャラ(リーフレッド)のストーリーはこんな感じだったはずだ。

サブも含めると4回は見ているので、再現率は高いはずだ。


ちなみに、俺の双剣キャラ(レンカノッサ)のストーリーでは、この件は一切出てこない。

どういう背景があったのかを知ることが出来ると思ってプレイした俺としては、そこ重要だろ!と思うのだが。

多くの・・つまり大剣キャラ以外のプレイヤーからすれば、そんな事は大したことでもないらしい。


それはさておき。


団長は大剣キャラ(リーフレッド)の育った孤児院に金を寄付し、剣を教えてくれ、あらゆるイベントで助けてくれたりと活躍した恩師のオッサンなのだ。

メインキャラが大剣キャラ(リーフレッド)の俺が、こいつに良い印象を受けるはずもない。


しかし、どうもゲームで受けた印象と齟齬そごがあるような気がしてならないのだ。


「はぁ。」


重い溜息を吐く。


「冗談だ。あの時は急ぎだったしな。『今度』と言ったのに引き下がらなかったから、適当に撒いたんだよ。

常識を持って・・要するに強引で面倒くさい奴を相手しなくていいって言うなら、ちゃんと話ぐらいは聞くさ。」


俺が逃亡の姿勢から一転、話し合いの姿勢を見せると、2人とも安堵したように離してくれた。

ここで再び逃げてもいいんだが、そうすると次回が怖いし、そこまでして逃げ回るほうが面倒くさい。

まず、俺にタックルをかましてきた男が口を開いた。


「挨拶が遅れたな。俺の名はダフ。ダフ=ガノッサスだ。よろしくなァ。」


・・・・・。


はぁ??ダフ?!

ダフ=ガノッサスだって???


なんで大剣キャラが所属する傭兵団の団長(ダフ)がこんなところにいるんだよ?!?

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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