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ギルディート、最近耳かきをしていない事に気付く(仮)

書き途中です。

俺は、街道を全力で走っていた。

俺の後を尾けて来た奴がいたが、なんとか撒いた。

・・・まぁ、休憩の度に追い付かれるだろうが、今は完全に撒くつもりじゃないから問題は無い。


が、追い付かれる前に、だ。


「おい、お前、口は聞けるか?」


小瓶の中の妖精に話し掛けてみる。


妖精ってのは、人と似た外見を持ちながら、人とは大きく異なる為に、人ではなく亜人と呼んで区別されている種族の1つだ。

黄の大地サルトルドと呼ばれる、海の向こうの大陸にしかいない筈で、基本的にはそこから出たがらないと聞いている。

サルトルドの亜人は、4足歩行の生物の首から上に人間の胴体が生えたような種族や、人間のような外見でありながら、その背から翼を出し入れできる種族、そして妖精なんてのがいる。

もっと言うと、亜人の大陸と呼ばれるくらいだから、向こうには人間はほとんど居ない。


モンスターも、頭や尻尾がいくつもあったり、尻尾に頭が付いていたりと、かなり変わった生態をしてるって話だ。

その中でも、妖精はその愛らしい外見から、子供に聞かせる物語に登場する事の多い種族で、知らないって奴はいないと思う。

話に聞いたことはあるし、本の挿絵なんかにも描かれているのを見せてもらった事はあるけど、実物は始めて見た。

確か、知能は人並みで、言葉を交わす事もできると言われているが・・。


「・・・・・。」


喋る様子は無いな。口が聞けないのか、それとも、この瓶が特殊なのか・・?

俺の声が聞こえないってんなら、無反応でも仕方ないけど・・・妖精の知能にも個体差があるのかもしれないな。

瓶の中には他に何も入ってないし、揺さぶられてはさぞかし居心地が悪いんじゃないだろかと思ったのだが、この瓶を渡してきた男の話では、食事すら与えなくても大丈夫なんだとさ。

いくら生態が違うっつったってなぁ・・・。


「仕事な関係上、開放し(たすけ)てやる事はできないだろうが、何かできる事があったら言ってくれ。

布の1つでも入ってた方が楽だってんなら、買って来るから・・・。」


思えば、「買ってくる」なんて随分と懐事情も変わったもんだ。

まぁ、現状は借金地獄なんだけど、まだ「いくらか」を突き付けられていない以上、気は楽かもしれない。

無反応な妖精の入った瓶を割らないように仕舞い込み、追跡者に追い付かれないうちに移動を再開する。


今日中に次の町まで行けるだろうけど、すでに夕暮れだし、到着は夜になる。

特にこれといった目玉の無い宿場町なので、すべての宿がいっぱいと言う事も、遅くて入れないという事も無いだろう。

出発の時間が遅かったのもあり、その次の町であるクルジネまで行くのは無理がある。

リフレならともかく、俺はそこまで早くない。


とはいえ、安くて良い宿は埋まってしまう可能性があるので、早く到着するに越したことは無い。


スキル:疾風


俺は、気合を入れて次の町へと走り始めた。

日は傾き、落ち、周囲は薄暗くなって星が見え出した頃。

耳の奥でボソッと音がした。

これは、あれだ。耳かきをしてもらってた時に、たまにした音に似ている。

耳垢が耳の奥に落ちた音だ。


小指を耳の穴に突っ込んでみたが、特に異常は無い。

・・・たまには、ちゃんと耳掃除をしないといけないな。

特に困らないと思っていたが、こうして音を聞くと、あまり気分のいいもんじゃない。


『・・・ねぇ。』


何だろう?耳鳴りかな?

なんか、耳がキュッ、ってした気がする。


『ねぇ、さっきの、もう一回やってよ。』


違った。

耳元で囁くというより、耳の奥にある音を感じる器官が直接震わされているような、変な感覚だった。

ああ、これか、本にあった“頭の中に直接、語りかけてくる”とかいうやつは。

声の正体は、多分・・いや間違いなく、瓶の中の妖精だと思う。


「返事はどうすればいいんだ?聞こえるか?」


『聞こえるよ。でも、念話を使ったら喋らなくてもいいと思うよ。』


念話?そういえば、前にリフレが何か言ってたな。

パーティーチャットが念話でどうたらこうたらって・・・。

何を言っているのやらサッパリだったし、マリッサにも俺にも話が通じないと知ったら、その話はしなくなったけど。


「念話ってのはよく分からない。宿に着いたらゆっくり喋ろう。それまで辛抱してくれ。」


『やだよ、さっきのお願い!』


多分、この耳の奥の声は周囲の人に届かないだろうから、返事をすれば独り言を言っているように見えるだろう。

周辺の人に、奇異の目で見られる事は間違いないから、これから町に入るにあたって、会話を続けるのは控えたかった。


“さっきの”が何なのかと言ったら、スキルの事だった。

そういえば、スキルが切れてた。でももうすぐ町だしらなくないかな?

・・・と思ったけど、強い要望というか駄々をねられて、もう一度スキルを使った。

MPを無駄に使うのはどうかと思ったけど、耳の奥で直接ワァワァ言われたら、うるさくて敵わないからな。


俺は、町に着くなり、壁の厚そうな宿から順に当たって、残り1部屋だったそこそこ良い宿の部屋を取る事ができた。

良い宿って言っても、特殊な部屋以外は、料金はどこも同じなんだけどな。


さて、言葉を話す夜光虫ようせいさんと、一体どんな話をする事になるんだろか。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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