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追尾型マリッサ(仮)

書き途中です。

スザクの鳴き声によって目が覚めた俺は、トイレに連れて行き、メシを用意してやって、再びベッドに潜り込んだ。

が、そこまできつい寝不足でもないせいか、眠れない。

部屋が明るくなったせいもあるし、スザクの立てる小さな音のせいもある。


鶏って生き物は、どうやら首を振る度に喉から声が出る性質らしい。

で、面白い事に、一歩進むと頭の位置がその場に取り残されたみたいになる。

その一歩に遅れて頭をクイッと前方に持ってくる。

その度に、喉からクッ、クッと音が鳴るようなのだ。

俺の頭の上に居ても、ちょくちょく鳴らしており、秒針の音のようなものだと気にしない事にしていたら、まったく気にならなくなった。

眠っている時に殆ど音がしなくなるだけ、秒針よりもいくらか親切だと思う。


不眠症持ちだった俺は、秒針の音の鳴らない時計を使っていたが、結局、秒針以外にも気になる音がして眠れるようにはならなかったんだよな。

社会人になって、忙しさに悩殺されたら不眠症は治った。

人間、限界まで眠れないと、眠れるようになるみたいだ。

まぁ、俺の場合はそれで治ったが、結局、眠れなくてつらい事に変わりはないので、治療法としてお勧めはしないが。


一度治ったら、決まった時間に眠れば、ちゃんと眠れるようになった。

ちょっと夜更かししてしまうと、神経が冴えてしまうらしく、寝つきが悪くなるが、朝まで眠れなかった頃を思えば大したことではない。

明るくても眠れるのは、それなりに寝不足が重なった時だけだし、それに動き回っている物音が加われば眠れる筈もない。

だが、目を瞑って休むだけで、効果はあると聞く。

お昼くらいまでゆっくりして、子犬・・フェンを迎えに行って、それから・・

マリッサの防具を何とかしないとな。あと聖水。


ちょっと考えて気付いたんだが、聖水って今作っちゃえばいいんじゃね?

昨日は遅くまで飲んでいたし、朝に弱いアーディは絶対に寝ている筈だ。

つまり、覗き魔の襲来が無いわけである。考えるほど合理的な気がする。

となれば、早速、行動である。


宿で樽に入った水を購入する。昨日、ちょっと使い過ぎた。

これで原価無料計画はついえた訳だが、それは大した事じゃない。

壷に入った超・聖水を殻の樽に移し変え、樽から水を入れる。


念のために、鍵を確認してパーテーションを立てる。

CC(キャラチェンジ)からの、浄化(キュア)回復(ヒール)の連打。

そして元のキャラにCC(キャラチェンジ)して、壷を回収する。

うん、少々時間は掛かったが、覗き魔さえいなければ、大した事じゃなかったな。

あとは、マリッサの防具をなんとかしないと。


以前、宿で作業をした際、熱が篭って大変だったし、独特な匂いもしたので、あまり室内でやるべきじゃないだろう。

となると、どこか人気ひとけの無い場所に行く必要があるが・・。

とりあえず、いつものように身支度を整え、飯を食う。


フェンを迎えに行くには、まだ早いかもしれないしなぁ。


こちらをじっ・・と見ている不振人物が居る。

それは、トイレに降りて来た時にも気付いたし、身支度をして飯を食っている間も、あからさまな視線を送ってきていたので、気にならない訳が無い。


「さっきからどうしたんだ、マリッサ。」


「また誰かさんが独りで何処かに行きやしないかと見張っているのよ。」


見張られていますた・・・・・。

預かり所に行く前にと、その辺をぶらぶらしたのだが、古いRPGの仲間のように、一定の距離をぴったり付いて来る。

そして気付く。マリッサの防具を手直ししに行けないじゃねーか?!


ちょっと町を出てみると、案の定、マリッサも付いて来た。


「どこに行くのかしら?師匠の所かしら?師匠の所なのかしら?」


それが目当てか。

こいつの言う師匠ってのは、マリッサの防具を手直しした俺のサブキャラの事だと思われる。

そのキャラは女性なので、CC(キャラチェンジ)を明かすには変態という汚名を被る可能性が高い。

そうでなくても、非力な自分が女性化してしまう事に嫌悪感のようなものがあるのだ。

なので、正体を明かすつもりはない。

マリッサの師匠というのは、架空の人物と言う他無い状態である。


「どこまで付いて来る気なのかなと思っただけだ。今日は外に出掛ける用事は無いよ。」


マリッサが付き纏って来る限りは、外に出る意味が無いからな。

全力で振り切ろうと思えば可能かもしれないが、マリッサが本気を出したらギルディート並みの勘で見つけ出しにかかる気がする。

その勘を振り切ろうと思えば、鍛冶中は移動ができないので、相当離れなければならない。

これまでだって見付からないように、結構な距離を取ったのにも関わらず、ギルディートは俺を見付けてきた。

最初はチームを組んでいるからだなどとうそぶいていたが、チームを抜けても効果は発揮された。


というか、この世界でのチームの括りは、俺の知るものとちょっと違うようではあるのだが。


とにかく。


預かり所に行って「もう少ししないと手続きが終了しない」と言われ、奥の方で俺の匂い(?)を察知したらしいフェンが騒ぐのを無視する形でギルドに行った。

ギルドで大量に作った超・聖水(回復(ヒール)浄化(キュア)バージョン)を渡しに行ったが、何やかんやで報酬は後日という事になる。

そして、再び預かり所に行き、フェンの首輪と許可証が発行されており、無事テイマーとして登録されていた。


さて、これからどうしようかな・・・。

そう考えて広場のベンチに腰を下ろす。その横に、ずっと後を尾けていたマリッサが腰を掛ける。


「ところで、さっきの聖水?いつの間に、どこで受け取ったのかしら?」


とてもいい笑顔でした。こわかったです。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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