テイマー登録(仮)
書き途中です。
ここは飼育モンスター管理組合、登録及び預かり所である。
本部とか、その「登録及び預かり所」以外の設備・・本部とか訓練所、研究所などもあるらしいが、一般の冒険者にはあまり関係がないらしいので割愛する。
預かり所って言うのは通称みたいなものだったらしい。
一度、登録を済ませてしまえば、預かり所としてお世話になる事の方が多くなるので、そう呼ばれているらしい。
で、ここで子犬の登録をしようという訳だが・・・事件が発生した。
「ス、スザクゥゥウウ??!?」
突然、頭の上からポトリとスザクが落ちて来たのだ。
・・・・・死んでる・・・?!何かの冗談かと思ったぐらい、唐突に死亡しやがった。
蘇生薬を使う。
子犬も元気が無いので、もしかしてと思い、万能薬を使用した。そして、MPポットを与える。
ケチってる場合じゃねぇ。
完全に油断していた。
自分は確かに250レベルを超えて、簡単には死にはしないだろう。
だが、弱点を突かれれば絶対ではないと、ナイトメア戦で味わった筈だった。
自分が大丈夫でも、周りの仲間まで確実に守れる訳ではないと。
所詮は幻影だからか?
違うだろう。目に見えない攻撃に弱いのは、現実である。
それに仲間が巻き込まれると言うのも、現実である。
俺に向けられた[呪い]だが、こいつらも視線を集めてしまったのだろう。
見るからにMPもHPも低そうなこの2匹なら、弱るのはあっという間だろうしな。
蘇生アイテムが無ければと思うとゾッとする。
[呪い]は死に至る状態異常なのだと、再認識した。
よし、2匹とも大丈夫そうだな。
動物って、元気になると身震いするもんなのか?
パタパタ、ブルブル・・っておい、羽毛と毛が飛んでるんだけど。
「虐待かしら?」
マリッサがと思ったが、声が違った。
それに、マリッサ達は宿である。付いて来ようとしたので断ったのだ。
「勝手に森に出るんじゃないのよ」との言いつけだ。さすがに飯の約束があるのに行かねーよ。
声のした方を見ると、見るからにキツそうな眼鏡の女性がいた。この世界にも眼鏡はあったようだ。
もうちょっと老けてたら「ザマス」とか語尾に付けそうな、そんな風貌である。
「登録です。」
聞かなかった振りをして、普通に受付をしてもらう。
・・・なんかジロジロ見られてるなぁ。今更か。
でも、ペットの預かり所なんだから、俺みたいな客はたくさんいるだろう?
「テイマー登録かしら?」
「いえ、連れ歩き許可証が欲しいんです。」
「それなら、テイマー登録なさい。複数のモンスターを連れ歩くには必要よ。」
この受付の女性の目付きが鋭いせいで、睨まれているような気がする。
生来の顔付きに文句を言うつもりはないのだが、窓口に立っている以上、笑顔くらい見せればいいのに、と思う。
テイマー登録か。テイマー職ではこの預かり所・・・ゲーム内では厩舎と呼ばれていたが、こんな感じの施設でスタートしたのを覚えている。
奥の庭のような場所に連れて行かれる。柵ではなく、全体が檻のようになっているあたり、飛行できるモンスターが逃げられない構造なのだろう。
地面は綺麗に均されており、大型のモンスターは厳しいかもしれないが、大型犬くらいサイズまでの動物なら、十分な運動はさせられそうな広さがある。
馬位の大きさだと手狭くらいな・・俺の知ってる25Mプールよりちょっと狭いかな?くらいのスペースだ。
「普段している躾と、コミュニケーションを見せなさい。」
「あ、コイツは今日拾ったばっかりなんです。」
睨まれた。だって仕方ないじゃない!拾っちゃったんだもの!
案の定、子犬は待てと言われても付いて来ちゃった。餌を使って躾けようとしたが、一朝一夕にはいかないだろう。何度か試し、今回は諦める。
鶏のスザクはできてるのに、子犬ができないとは残念である。スザクが「よし!」で駆け寄って来て頭に飛び乗る。もはや芸の領域である。
体力が回復していないのか、いつもより動きにキレが無い気がしたが、躾的な意味では些細な事だろう。
スザクは(何故か)トイレの躾が済んでいる事を伝えると、女性が変な顔を披露した。
「コッコ鳥にトイレの躾とは斬新ね・・・。」
言われて見ればそうかもしれない。でも、その辺をトイレにされると困るのだ。
コミュニケーションと言われても困るので、ひたすらモフモフした。スザクさんご満悦である。
子犬はブラッシングしたが、若いせいもあってか、あまり興味が無いようだ。
じっとしていられず、「そんな事より遊ぼうよ」といった様子だ。
初めて遭遇したときのスザクほど臭くもないので、今すぐにジャブジャブ洗わないとという程ではないが、宿に連れて行くなら洗わないとな。
むしろ、今から洗うか?
なんか、桶とか井戸とかあるスペースあるし。
ほら、ちゃんと水を流せるようになってる。ありがたい。
ただ、この町は水代が掛かる所なので、井戸の水を勝手に使う訳にはいかないだろう。
大きい桶にぬるま湯を用意する。ついでに、スザク用の水桶もな。
最初はちょっと綺麗にしなきゃいけないが、毎度、ぬるま湯を使うと、体に付いている油を取り過ぎてしまい、ペットに良くない筈である。
子犬は慣れない入浴にちょっと暴れたが、しつこく丁寧に洗っているうちに、諦めたように静かになった。
スザクは勝手に水浴びをし、何故かちょくちょく子犬に自身の姿を見せに来る。
スザクなりのコミュニケーションだろうか?
今回は水の色もそこまで変わらなかったし、異臭事件にもならず、時間もそこまでは掛からなかった。
タオルで拭き始めると、全身を震わせて水気を飛ばしてくる。
ほとんど用無しになってしまった気はするが、しっかり拭いてやり、「こんな感じで面倒を見ていこうと思ってます。」と締め括った。
「井戸を使ってくれても良かったのよ?」
それ、もうちょっと早く言ってくれませんかね?




