ほわっつ いず だっと?(仮)
書き途中です。
新たな仲間が加わった。
コイツの名前は付けない。付けたら、愛着が沸いて別れるのが辛くなるからな。
群れと合流するまでの、一時的な保護である。
離れた場所で、PTメンバーが恐る恐る見守っている。
「こら!威嚇すんな!ましゅまる!」
ましゅまるに威嚇された子犬が腰を抜かしてしまった。可愛そうに。
余裕のあった距離を更に離し、宥めてやったが、ましゅまるが怖いのか、餌を食うのに集中できないようだ。
今、俺はペットのましゅまるを召還していた。
ルフ鳥の時も召還したし、隠してばかりでは、世話をするのも難しい。
それに、言うことをどれだけ聞いてくれるかは未知数で、切り札としては弱いからな。
一応は見知ったメンバーだし、特に問題あるまい。
一番お世話になっているましゅまるを筆頭に、ペット達に餌をやって荷物を軽くする作戦だ。
気性の荒いましゅまるの挙動を見ておきたかったというのもある。
一応、理性と、ついでに知性もあるはずだ。“人喰らい”戦の時に喋ったからな。
様子を見て、駄目なら強制送還の予定である。
ましゅまるは、しばらく餌を気に入らなそうに眺めていたが、他のものが出ないと感付いたのか、食べ始めた。
その際、俺の頭の上のスザクをガン見していたのは気になったが、概ね問題無いだろう。
ブラッシングを強請られたというか、頭の上にブラシが落ちてきたので、仕方なく全身を綺麗にしてやった。
俺の“渋々”が伝わったらしく、何度もやり直しをさせられた。
送還し、今度はCCしてもふもふを呼び出す。
てか、同じキャラ同士のCCなら目立たないと思ったけど、外でやると駄目だ。
レベルが違うという事は、装備品も変わってくると言う事だ。
・・まぁ遠めだし、誤魔化しは効くだろう。・・多分。効くといいなぁ。
「だんだん隠す気が無くなって来てるのよ。」
「遠慮なくなってきたな。」
うるさい。
もふもふは出された餌を喜んで食った。
その際、やはりスザクをガン見していた。
ちょ、お前、ヨダレがやばいぞ。
食べ終えてもヨダレがやばい。でも犬って確かいくら与えても食べちゃうんだよな?
ここまで大きな獣の胃の許容量がわからないんだが、満足するまで与えるというのは不味いだろう。
こいつもブラッシングしておいた。
他のペットは草食だったり、小型で面倒が見易かったりするので、今回はこの2匹だけで充分だろう。
それに、今回はペットの面倒を見るためにやって来たわけじゃない。
もふもふをブラッシングして送還した後、離れた場所にいたPTメンバーと合流した。
そろそろ、復路に入ってもいい時間である。
「さて、『仲間』も来なかったし、帰るとするか。」
「「ちょっと待て」ぇぃ!」
男2人にストップが掛けられる。「あれは何だ」と。
何って、ペットに決まっているじゃないか。・・・まぁ、ちょっとレベルが高いけど。
卵から育てたのは事実だが、ゲーム時代の話であるし、何しろ放置期間が長かった為、親の刷り込みがどの程度アテになるかは不明だ。
「放置って・・野生化させた事もあるのかよ・・・。」
野生化はさせてない。ペットは好感度と満腹度が限界まで下がると、消える。
死亡なのか、それとも逃げてしまうのかは定かではないが、気が付くと居なくなっているそうなのだ。
それを野生化というのなら、そこまでは行った事はない。
データとはいえ、せっかく手に入れたペットなのだから、それなりに維持した。
何しろ、ログイン自体をしてなかったからな。下がる暇も無かったと言うべきか。
まぁ、ましゅまるの傍若無人具合を見ると、野性化させたと思われても仕方が無いだろうけどな。
「あれは精霊獣じゃないのか?」
どこかで聞いた名称だ。精霊獣。ギルディートもペットの事をそう言ってたな。
「精霊獣が何なのかは分からないが、そう言われた事はあるな。
スザクと何が違うのかは分からないが、召還・送還できるやつが精霊獣なのかな?」
ローグリアムにあきれた顔をされた。
「神獣とは違うのか?」
今度のはアーディだ。
何だよ神獣って。だんだん、ペットの別称に仰々しいものが追加されていく。
「神獣って何だ?」
「この世界とは別の場所・・神界に住んでいて、時々、この世界にやって来る、モンスターに似た獣の事だよ。
神だの精霊だのってのは、信仰の違いに過ぎないとも言われているけど、別物という説もあるんだ。
そもそも信仰なんてのは個人の単位の話だしな。」
信仰が個人単位って何だ?言ってる事が分からないよ!
政治と宗教と球団の話はしてはいけない。時として、血の雨が流れる・・というのは言い過ぎだが、とんでもない亀裂を生む事があるからだ。
ビジネスマンの禁忌を、俺は踏み込む。
そもそも、この世界での俺はビジネスマンじゃないし、ビジネスマンという職業自体あるかどうか不明だ。
それに、いつかは聞いておかなければならない事だと思ったからだ。
「信仰の違いって、そもそもここらの教会では、どんな神様・・いや、どんな宗教が信じられてるんだ?」
「何言ってるんだ?教会は信仰の自由を象徴する施設だぞ。
特定の宗教が信じられている筈がないだろう?」
????????
聞くと、教会に所属する人は、自分の信じる宗教や、神を他人に押し付けてはいけないらしい。
自分が感じられる神様に祈り、その性格・性質や容姿を想像し、信仰するのは自由である。
が、布教・・特に子供に語ったりしてはならないのだそうだ。夢でお告げを受けたとしてもだ。
布教をした時点で教会からは追放される。
多少の目こぼしはあるらしいが、それでも、特定の宗教なんてものを教会は許さないのだとの事だ。
「・・・俺が知ってる教会と違う。」
「文化の違いってやつだな。俺もお前の普通は、俺の知ってる普通と違うんだと再認識したところだよ。」
なぁ、今、さり気に貶されなかったか?




