表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/430

蜂蜜を樽に

コランダに戻ると、広場に樽が並んでいた。

また何か催し物があったらしく、後片付けが始まっている。


「おお?リフレじゃないか!遅かったな。ほとんど片付けてしまったぞ。」


このオッサンは飲んだくれの人じゃないか。外で遭遇するとは・・明日は雨かもしらんね。

何の事かと尋ねたら、昨日持ち帰った蜂蜜を樽に詰めていたらしい。

俺のアイテムボックスに入っている分も詰める予定でいたのだが、全て詰め終わっても俺が戻らないので片付けを始めていたようだ。

周辺は、作業が終わったせいか、特に甘い匂いがするというわけではない。

作業が終わってしばらく経ったのか。そういえば、マリッサ達が作業をしてた時も匂いがしなかったな。

蝋燭みたいに火を点けたり、熱を加えないと香らないものなのかもしれない。


「ものすごい勢いで街道を抜けていったという話じゃったから、もう戻ってこないのかと思ったわぃ。」


マリッサの爺さんだ。

酒の分は確保できてるんだろうな?


「まさか。宿も取ってますし、・・あ、今日の分はまだ払ってなかった。

東の遺跡も見に行ってないので、しばらくはこの町にお世話になるつもりです。」


あ、作業の手が止まってる。邪魔したかな?

撤収気味だった広場に人が集まってくる。

主に自警団と主婦っぽい面々だ。子供達もちらほらと。


「見ろ。リフレの為に、面白いものを作ったんだ。受け取ってくれぃ。」


そう言って隊長(ガルム)さんが取り出したのは・・・黄色っぽいプラスチック?で出来た樽だった。

サイズは小さめ。


[蜜の樽]


いや・・素材が知りたいんだが。

たがと栓の部分は植物系素材に見えるが、それ以外がプラスチックに見える。

これは一体・・・。


「使い込んだ酒樽ばかりだったから、蜜蝋を加工したのさ。これなら、味が変わらないからねぇ。」


おっ、魔道具ざっか屋のおばあさん。

もしかして、わりと若い?腰も曲がってないんだが。

しかし、プラスチックじゃなかったのか。ちょっと残念、かな?


「ま、温かい場所に置くと溶けるから、それだけ注意だけどねぇ。」


溶けるのかよ!怖いな。

くれるというので受け取っておく。

そしたら次々と人がやってきて、礼を言ったり挨拶をしたりしながら、1人1つづつ蜜蝋の樽を渡してきた。

どこから出した!ってアイテムボックスか。

いや、そんな風に渡されると断れないじゃないか。


「残りは酒樽に入ってる。巣を触るのも嫌ってんだから、詰め替えてあった方が便利だろう?

こっちが新しい樽。こっちは使った事がある樽、こっちの方は使い込んだ樽だな。

一応、しっかり洗って乾燥の魔道具で乾かしてある。」


乾燥の魔道具?!何それ、欲しい!

この人は・・[アスタ]さん。多分、自警団の人かな。

ってか、これもくれるの??多過ぎない?

いや、この作業をしてくれただけで助かるから、いくつか持って行ってよ、っつったら。

俺の今持ってる蜂蜜の中から分けてもらうって。


じゃぁ、ありがたくもらっておこう。


みんな、今日一日、俺のために作業をしてくれていたらしい。

知らなかった。普通に出かけてしまった。すまない。ありがとう。


で、残ってる古びた樽に蜂蜜を入れようとしてるけど、そんな樽で大丈夫か?


俺が戻ってきたので、片付け始めていた道具やら樽やらがまた出てきた。

残りの蜂の巣を出せって。OKOK。

アイテムボックスの中から・・・・・・。


あ、このキャラ、サブだった。


CキャラCチェンジ:リーフレッド


「ファッ!?」


「?!」


「「っ!?!」」


「!?!?!?」




涼しい風が俺の股間を通り抜けた。


・・・・・俺は、全裸だった。




一瞬、頭が真っ白になり、まず、“隠せ!”それが頭を占める。

とっさに体勢を変え、うずくまるようにそれ(・・)を隠した。

そしてフリーズしかけた思考が戻った瞬間、再び混乱する!

まずは対処だ。考えてる場合じゃねぇ!!


えっとCキャラCチェンジ


CキャラCチェンジ:リーフレッド!


違う!変わってねぇ!


CキャラCチェンジ:リーフレッド(サブ)!!!


・・・・・。

服を身に纏ったのを確かめる。うん、何も問題ないな。

ほっと胸と撫で下ろしたのも束の間、凄まじい羞恥心が体中を駆け巡る。

人が羞恥で死ぬことがあるとしたら、俺は死んでいただろう。

ちょっと顔を上げると、みんな、こっちを見て固まっている。


「ぅあああああああああああああああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」


俺は、手で顔を覆い、全力で逃げ去った。



思考停止の合間に、思い当たる事があった。


昨晩、体を洗う為に脱いだじゃんか?


今まで着てた服は汗っぽいし、着るの嫌だからって買い物する事にしたじゃんか?


清潔な服を身につけたキャラにCキャラCチェンジしたじゃんか?



どうして忘れちゃうんだよぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!!!!!!


俺の馬鹿ぁぁぁあああああ!!!!!



宿は、ものすごく甘い匂い包まれていた。

テーブルと椅子が隅に避けられていたので、蜜蝋の樽の作業現場だったのだと思われる。

普通なら、心温まる場面なのだろうけれども、今は心に痛い。


「うわぁあああああ・・・・!!!!」


俺は宿の部屋で悶えていた。

地図がそのまま置いてあったので、使っていいという事だろう。


しばらくして、女将おかみさんが来たので料金を払った。

これを忘れたら客じゃないからね。


それ以降、全力で引き篭もった。

明日から、どういう顔をして外に出ればいいって言うんだ・・・。


とりあえず、メインに服を着せておこう。


もう絶対に裸でCキャラCチェンジしない。絶対にだ。


俺は固く心に誓った。


ぅゎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ.....(夜なので消音モードでお送りしています)。


涙が出てきた。



・・・・・家へ(逃げ)帰りたい。



本当に。どうしてこうなってしまったんだか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ