静かな昼食(仮)
書き途中です。
解体をざっくりを終わらせた俺達は、暗黒洞窟へと向かった。
ざっくりと、というのは、内臓を棄てたりとかして重量をかなり減らしたが、細かい作業までは行われていない事を指す。
とにかく、暗黒洞窟に辿り着く事が優先された。
結果・・・。
人工的な門を構えた洞窟が、その姿を現す。
時刻は・・まだ午前だろうか?お昼には丁度良い時間である。
「ここに・・・ここに師匠が来るのね。」
来ねーよ。
PTメンバーはそれぞれ、周辺を探索し始め、俺は、適当な場所に腰を下ろす。
スザクも頭の上から降り、地面を突き始めた。
ちょっと横になりたいが、さすがに見咎められそうなので我慢する。
「・・・・・人の匂いは残っていない。」
「焚き火の跡も無いわ。・・まぁ、トーチを使えば焚き火の代わりにできるんでしょうけど・・。」
「そこの洞窟以外に雨の凌げそうな場所は無いな。」
「水源もこの辺には無さそうだ。」
あっという間に情報を集めてくる。つまり、人の痕跡が無いと。
当たり前だ。実在しない人物がいるという、偽の情報なのだから。
「・・・・・。」
問い詰められるのではないかと思うと気が気ではないのだが、俺は見えない、聞こえないで誤魔化そう。
俺は身を縮めるようにして、できるだけ気配を消し、スザクが地面を突くのを眺める。
「こっちはどうなのかしら?」
俺の気配に気付くとは、手練?!
・・冗談はさておき、マリッサに聞かれて動揺する。
「どうって?」
「合流はできてないみたいだけど、何か信号とか、合図とか、置手紙とか、そういうものは無かったの?」
ああ、そりゃ、存在する事を前提に話しますよね。
存在しない人物であっても、キャラとして持ち物があり、実際に別キャラと遭遇しているマリッサにとっては、存在の否定はしにくいのかもしれない。
それでも俺の顔を見ている筈なので、その認識がどうなっているのかは謎である。
「(ある訳が)無いな。」
マリッサがしゃがみ込み、地べたに座っている俺に視線を合わせる。
「・・・周辺を探索してないわよね?」
まぁ、探索する意味が無いからな。・・・まさか、バレた?
フリだけでもしておくべきだったか。
「探さなくても居れば分かるだろ。置手紙みたいなものは、今まで使っているのを見た事が無いな。」
その目が細められる。なんかヤバい気がする!
「それより、飯にしよう。休憩してるうちに誰か来るかもしれないし!」
嘘ではない。冒険者が狩りに来る可能性がある。
マリッサ提供でお送りされるジト目に気付かないフリをして、周辺を見回す。
接敵の際に気付き易く、できれば足を伸ばして休める、腰をかけられそうな岩のある場所があればと思ったが、そんなに都合良くはいかず、適当な場所で休む事になった。
俺達以外に、人の気配は無い。
「「「「・・・・・・。」」」」
最初は気を張っていた皆も、昼飯を無言で食っている。
ちなみに、今朝は迷惑をかけたので、カップにスープ、そしてサンドイッチ・・じゃなくてサンドニッチを少しずつ提供している。
それぞれが持ち寄った昼食とあわせて、そこそこ豪華に見える食事になったようだ。
「そもそも、本当にここに仲間は来るのか?」
ギクッ。
唐突に、しかし明確に俺に向かって放たれた呟きに、思わず動きを止める。
「確実性は無いが、金策にはここを利用している。」
正確には、暗黒洞窟のドロップ品を、だが。
そして異世界に来て以降、入ったことも無いが、実際にミラバドの涙さんには、かなりお世話になっている。
「ギルドの管理している売買記録を見たが、ここ最近ではリフレ以外に素材を売りにきた者はいないぞ。
一番近くて、6年前にロクスフェロー様が素材を持ち帰っているが・・・。」
げっ。プライバシー保護法の無い異世界の情報漏洩を舐めてたわ。
こりゃいかん。
「いろいろ事情があって、金銭の管理は俺がやってんだよ。今のところはな。」
メインキャラだしな。
と、いう事で、嘘ではない。嘘ではないぞ。
「・・・お前達の意図している所が、イマイチ分からないが・・。
ここで待ってれば、会えるかもしれないんだな?」
会えません!!!
「・・・・・。」
「おい?」
「ま、まぁ、そういう事になるな。」
俺の気が向いたら、CCして会いに来るかもな!来ないけど。
と、いうわけで、しばらくここで待機という事になった。
周辺には敵がいない事は確認済みな為、ただの待ち惚けである。
という訳で、俺は、暗黒洞窟の中を少しだけ覗いてみる事にした。
「じゃぁ俺も!」
アーディが名乗りを上げたが、しっかり断る。
さすがに、レベル150~のダンジョンに、二桁レベルを連れて行くのは足手纏いである。
それに、うっかりすれば俺だって死にかねない。
暗黒洞窟とは、そういうダンジョンなのだ。
「リフレがいなかったら、どうやって接触を図るのよ。」
「大丈夫だ。(現れないから)問題ない。・・それより、興味本位でアーディが入ろうとするかもしれんから、見張っておいて欲しい。」
俺は、そう言い残して、暗黒洞窟に入・・
ボコッ、ズシャァァ!!
「ぎゃぁああ?!」
暗黒洞窟に入ろうとした瞬間、入り口にいたモグゴンに鋭い一撃を浴びて、洞窟の外に弾き飛ばされたのだった。




