再会(仮)
書き途中です。
今日・・祝日だったんですね・・・。
会社に言ったら、隣の会社がやってなくてびっくり。
お昼のコンビニ、客層が全然違ってびっくり。
カレンダー見たら、赤くなっててびっくり。
眠い。もっと時間が欲しい。
「コッケコーーーー!!!・・・ケコーーーーーーーーーッ!!!」
チュン、チュン。
なんだか、爽やかな効果音で目が覚めたが、いきなり咽るような血の匂いを嗅いだ。
「ぐっ・・・ゲホッ、ゲホッ。」
というか、咽た。少し身動きしただけで、異常事態だと分かる。
全身、血まみれであった。
ネチ、と、血を吸った地面から手を剥がすと、そこに木の葉や木の枝、土が付いてくる。
顔までガビガビしている。
「・・・みんな・・・・・。」
意識が覚醒すると、昨日の出来事が蘇る。だが、俺はただ呆然とするしかなかった。
あまりに失ったものが多過ぎ、そして・・重過ぎたのだ。
「うう・・・。」
涙が零れる。
何も・・・何も守れなかった。
動く気も起きない。
テラテラと泥の浮いたような地面に横たわる。汚れるとか、そんなのは気にならない。
既に手遅れなレベルで汚れいていたし、そんな事を気にするだけの余裕も無かったのだ。
どうして俺は・・・・・・・・・
「ココ?」
・・・・・・。うん?
俺の顔を覗き込んできた、赤い鶏と目が合う。
見間違えようが無い。でも、昨日、お前はナイトメアに食われて・・・?
「スザク?」
「コ、ココ、コ?」
どこからどう見てもスザクである。
改めて周囲を見回す。
数体のダークホース、そして、無残なナイトメアの死体が転がっていた。
ちゃんと死ぬんだ、こいつら。
・・・というか、俺が最初に相手してたダークホースだよな?
焦げたり、穴が開いたりしてるし、間違いない。
・・・となると・・・。
「どこからどこまでが幻覚だったんだ???」
スザクが生きているあたり、後半は殆ど幻覚だった可能性が高い。
となれば・・誰も死んでない、のか???
ただ、こうしてナイトメアが倒れているあたり、戦ったのは現実で・・・
ズキリ。
頭が痛んだ。あれ?あの後、どうやってコイツを倒したんだ・・・・・?
・・・・・・・。
とりあえず、だ。
これから町に戻るとして、どれくらい時間が掛かるだろうか?
「やっべぇ!!」
マリッサ達と行動する予定だった筈だ。俺は慌てて跳ね起きた。
全身、血だらけなのをどうにかしないと。
時間が・・いや、この状態じゃ、どの道、行動できないから、身綺麗にするのが先決だ。
周辺のモンスターをアイテムボックスにぶち込む。
品質は悪いが、放っておいても腐らせるだけだしな。
簡単に持ち運べるのだから、入れておかないと損である。
困ったら捨てればいいのだ。
・・ちょっとゴミとしてはデカ過ぎるが。
固まりかけた服を無理やり脱ぎ、大きな桶に水を入れて、頭と体を洗う、
そして、装備もだ。ジャブジャブ洗っていると・・・
「ココッ!」
「うおっ?!」
スザクが俺の頭の上に陣取った。
お前・・せっかく洗ったのに、爪に枯れ葉が付いて来てるんだけど・・・。
「クゥン?」
子犬がいた。・・ハイランドウルフの子供だっけ?
地面に殆ど染み込んだ、泥みたいな血液や、零れた内臓を舐め取っている。
よっぽど腹が減っているらしい。ん?こっちをチラ見しているな。
さすがに、不憫に思い、ぶつ斬り状態の肉を分けてやる。
商品価値は無さそうだが、ついでにとゴミ拾いの感覚で回収したものだ。
ペットの餌にもなるし、気楽なものだ。
めっちゃ嘗めてるな!喉が渇いているのか??
水を出してやると、ものすごい勢いでガブガブと飲み始めた。
ブシッ!!
あ、咽た。鼻を突っ込みすぎたらしい。・・犬も咽るんだな・・・。
何故か、水を被った後みたいに体を振るわせる。乾いているので、何も飛び散らない。
可愛いなぁ。
群れはどこに行ったんだ?もう奥のフィールドに引き上げたんだろうか?
だとすると、何故コイツは取り残されているんだ???
ああ・・もふもふしたい。ささくれ立った心が癒される・・・・・。
って、癒されてる場合じゃねーわ!!
防具に付着していた血に染まった水を空け、すすぎの水を桶に入れる。
あ、こら、その水は汚いから飲んじゃいけません!
まだ喉が渇いているらしいので、もう少し水を出してやる。
スザクが首を伸ばしてその様子を見ている。お前も喉が渇いたのか?
スザクが襲われないように、壁役になって水をやる。
子犬と鶏は、お互いに相手の事を気にしながら水を飲んだ。
・・・・・。
俺の時間が!削られていく!!!
水を飲み終わったのを確認してスザクを頭に避難させる。
子犬は与えた餌を食い終わっていたが、まだ無いかと探している様子だ。
これ以上はしてやるつもりは無い。
下手に懐かれても困るからな。
俺がその場を離れようとすると、ギャンギャンと鳴き声を上げた。
何か起きたのかと思い、思わず戻ったくらいだ。尻尾を振って擦り寄って来るのを見ると、心が揺れる。
懐かれないつもりだったが、手遅れだったか・・・。
だが、接触はこれっきり。まだ遅くは無い筈だ。
野生に還って貰おうと、俺は涙を飲んで背を向けた。
「キャン!!キャウン!!・・ギャイン!!!」
周辺にモンスターはいなかったようだし、問題ない。
一度、叫び声に驚いて戻ったので味を占めたのだろう。必死に追って来てるけど、見えない、聞こえない!
スキルを使い、振り切るように速度を上げる。やがて、諦めたらしく、声が聞こえなくなった。
・・・・・。
ノルターク。
まだ朝の匂いの残っている内に到着する事ができた。
宿に行くと、全員が揃っていた。
そう、誰も欠ける事無く、怪我も無く。
ホッとして、少し泣きそうになった。
・・・が。
「私、今日はすぐ出発するって言ったわよね?
その為に、昨日、早めに解散したのよね?
朝帰りっていうのはどういう事かしら?PTを舐めているのかしら?」
マリッサの勢いに、少し泣きそうになった。
下手なモンスターより、よっぽど怖いかもしれない。
あ、もしかして、これも夢かな?
悪夢なら覚めてほしい。切実に。




