魔法で殲滅してみる(仮)
書き途中です。
気を取り直して・・。
防具が無いとはいえ、木の上にいれば、後衛職でも安心である。
スキルを使ってステータスを上げまくっても、イマイチ攻撃力に欠ける弓キャラよりも、遠距離での連続攻撃や範囲攻撃を持つ補助キャラの方が、殲滅力がある。
それこそ、「補助キャラとはこれいかに」という言葉が流行るくらいには。
CC:クランベール
キラキラと光に包まれる。
以前使用した補助魔法の効果がまだ残っているのだ。
スキル:石針弾
ニードル系各種は、連射能力に優れた魔法である。
属性による状態異常はあまりなく、性能差もほとんど無い。
そして、序盤から使える事もあり、レベルを上げてもそこまで強くはならない。が。
「ブキキキキィ!キキィ!キキィ??!ギキィ?!?」
スキル:石針弾
「ギ?!キィ?!ギィ?!?」
スキル:石針弾
「」
このように、針のような弾丸を幾つも飛ばし、連射が終わる頃には、次のスキルを打つことができるので、うまくいけば延々とノックバックさせ続ける事ができるのだ。鬼である。
なので、補助キャラは聖女系にも関わらず、PK最強の一角だったりする。
決して打たれ強くは無いが、そんな欠点も補助魔法で補う事ができる。
まぁ、今は防具が無いので、あまり過信できないのだが。
「ブキキキキィィン!」「ビヒン!」「ギヒヒヒヒヒン!」
1匹や2匹、倒したところで減るはずも無い。
ならば、範囲スキルを連発した方が早い。
・・・の前に。
スキル:浄化
飛んでくる状態異常攻撃がうぜぇええ!!
数が減れば、状態異常に掛かりにくくなるだろう。いくぞ。
スキル:氷礫嵐
二回連続で氷礫嵐を叩き込んだ後、礫土嵐に切り替える。
敵の攻撃の殆どが届かない高所からの攻撃。成す術無く、荒ぶるモンスターは地に伏す事になる。
そこから見える光景は死屍累々。
特に、一塊の集団を成していたダークホースは一掃できた。
ガチガチガチガチ・・・・・
震えが止まらない。
浄化で何とかなる問題じゃない。
「さ、さ、さ、寒すぎる・・・。」
「・・・・・。」
スキル:氷礫嵐が、これほど周囲の気温を下げるとは思わなかった。
おそらく、スザクも頭上で震えている事だろう。すまん。だが、簡単に移動はできないんだ。
かといって、ここで火炎嵐を叩き込めば大惨事になる事など、目に見えている。
CC:リーフレッド
うん、当たり前かもしれないが、防具を着けていた方が暖かいわ。
金属系だから、却って寒いという可能性も考えたけど、そうならなくて良かった。
単体攻撃なら遠距離もあるが、場所が悪い。具体的には、まともに剣を振るえる気がしない。
まぁ、物は試しだ。
スキル:飛燕斬
鳥にも見える空気の塊が、スイ、と翔けて行く。
その翼が刃となって、ダークホースへと衝突かる。が、小さな切り傷を付けただけだった。
元々、興奮状態にあるダークホースが嘶くが、大して変わりは無いな。
スキル発動時の体制って大事なのかもしれない。
もっと強力なスキルを使ってみるとしよう。
スキル:神威断
ミシィッ!
「あれ?」
狙いが逸れて、地面に斬撃が吸い込まれた。草木が吹き飛び、土が露出・・そこまでは見えた。
ベキベキ・・
体が傾く。
俺を支えていた木の枝の悲鳴・・いや、断末魔の叫びだった。
幹に近いところなら、枝の太さがあるし、体重くらい支えられると思ったのだが、ちょっと無茶が過ぎたらしい。
CCにより、装備と体重が一気に増えた上に、スキルの反動がトドメとなったようだ。
まぁ、幹にしがみ付けば何とかなりそうだったが、大剣キャラの本領は、遠距離じゃ発揮できまい。
俺は落下しつつも、戦闘に備え、気を引き締めた。
ズン。
着地は成功。高ステータスに物を言わせ、空中で強引に体制を立て直す事ができたからだ。
地面は思ったより柔らかく、俺の身体の耐久性も相俟って、怪我をせずに済んだ。
この危なげない感じ、無敵と勘違いしそうになるな。
「ビフィヒヒヒヒーーン!!」
「ていっ。」
突っ込んで来たダークホースを、通り過ぎざまに切り付ける。首への一撃だが、致命傷だ。
続けて、別の固体にも斬り付ける。慌てて距離を取ろうとしたようだが、急な方向転換は苦手なようで、俺の攻撃範囲から逃れる事はできなかった。
すでにダメージが溜まっていたせいもあり、あっという間に2匹。
それまでの戦闘でボコボコにしてしまったので、素材の状態は微妙かもしれないが、ここからは気を付けていこうと思う。
半分以上のダークホースがボロボロになって倒れているし、生き延びているダークホースもズタボロ・・・今更気を付けても手遅れかもしれないが。
それを思えば、初めから大剣キャラで行けば良かったのかもしれないが、レベル差もあるしいけると思ったんだよ!
しかし、この世界でのモンスターからのアイテム取得がドロップ方式じゃない事を思えば、もう少し気を付ければ良かった。
・・・万能薬を使用する。
この状態異常、俺の元々持っている恐怖を増幅するものっぽい。
レベル差があるとはいえ、モンスターと戦うのは未だに怖いし、非常に残念だが夜の森というのも怖い。
敵との距離が近付いた分、恐怖に鋭さが増したような気がした。
が、残る敵など僅か、しかもトドメを刺すだけの簡単なお仕事である。
だから、この程度の状態異常に恐れを成す必要などないのだ。
「バロロロロロ・・」
「?!」
そう、もう楽勝・・なんて思ってはいけなかった。
漆黒の巨躯、本来ある位置の横と額にも2対の目。合計6つの赤い目が俺を睨む。
俺を背後から捕らえたのは、夜限定のフィールドボス、ナイトメアであった。




