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見かけない顔

ペットの世話はした。買い物は可能な限り済ませた。

あとギルドでの用事だが、コランダまでの距離を考えると・・・うん、時間はさほど無いな。

俺は会釈をして通り過ぎる。

幸いにも、ギルドはいていた。


「すみません。ギルドの利用は始めてなのですが、案内を担当にしている方はいますか?」


俺は窓口に案内され、解体クエスト発注についてと、買取カウンタの利用について説明してもらう。

ギルドは登録制になっており、登録すると優遇措置が受けられるようだ。

確認してみたが、おかしな制約はないようなので安心して登録を済ませた。


買取カウンタで、昨日仕留めたテントという虫型モンスターを見せようかと思ったが、アイテムボックスを開いてから、今使っているのがメイン鯖キャラじゃない事に気付く。


“グミーのかけら、買取価格を保証します!”

・・・少しぐらいは持っててもおかしくないと思ったが、売り払ったばかりだったのか、残念ながら持ってないな。

それに、グミーのかけらは、今後、俺自身が必要としそうだ。


とりあえず、スロットを圧迫しそうなゴミアイテムを出してみるか。


・モグゴンの爪×39

・サボンナッツ×42

・シャドウエッジ×27

・ミラバドの涙×34


しかし、知人がログインしなかったので、つまらなくなってメイン鯖に帰ったのだろう。数が中途半端だ。

30分も狩れば100の桁に届いてもおかしくないんだが、本当にちょっと狩ってログアウトしたっぽい。

全部出すとカウンタが大変な事になるので、1つずつ出す。

価格が判明したら、用途を聞いて売り払うとしよう。

ナッツなんて名のやつは食べられそうだしな。

・・・不気味な洞窟で育った気味の悪い植物のドロップアイテムだけどな!


レベル150狩場のアイテムなので、ゲーム的には1,000Dくらいするはずだ。

もちろん、クエスト品なので相場に変動があるわけだが、まずがこれをゴミ扱いされるかどうかが問題だ。

何しろ、武器製造や調合に使えないアイテムなのだ。


ゴミアイテムと言うのは、レア以外のドロップアイテム全般だ。

ゴミレアなどと呼ばれる存在もあるが、今は置いておく。


ゴミアイテムは、効率重視の課金者はほとんど拾わない。

拾ってる暇があったら狩りまくってレアを出そうという腹だ。

俺は基本的には課金者ではないので、ゴミはわりとよく拾う方だった。


それを、ギルドを通して購入依頼を出す。

割高でもクエストなどで必要とする人がいれば買ってくれるし、適正価格ならシステムにより…NPCキャラクターが購入したというていで購入される。

その“てい”部分が、この買取カウンタなのでは?というのが俺の予想だ。


だとしたら、ゲームと同じように購入してもらえるんではなかろうか?というのは、俺の希望的観測だ。


で、入り口で俺と顔を突き合わしたとたんに絡んできた魔族の男が、さっきからずっと背後で存在感をアピールしている。

悪いけど、今はお前に構っている時間は無いんだ。


「・・・あのぅ、失礼ですがお聞きしたい事が。」


お?俺につられたのか、さっきまで普通に喋っていた受付の人が敬語になったぞ?

若干、喋り難そうにしている気がするけど、ちゃんと敬語だ。

敬語はこの世界にも普通にあったようだ。良かった。


「はい、なんでしょう?」


視界の隅に入って来る尖った耳をピクピクさせた男を、視界に入れないように体勢を変える。

しかし、回り込まれてしまった!・・・ちょっと鬱陶しい。


「こちらのアイテムは・・もしかして、暗黒洞窟のモンスターを討伐されたんでしょうか?」


暗黒洞窟。150狩場の総称だ。

その奥に遺跡があったりなんかして、だいたい180くらいまでは適性レベルででレベル上げができる。

190近くまで粘る人が多く、レア出しも兼ねて200あたりまでと、幅広い層に人気だ。

他にそのレベル帯のめぼしい狩場がなく、遺跡が広大な為、暗黒洞窟内部のワープポイント周辺はプレイヤー達でごった返していて、PCのスペックが低いと重くなるほどだ。


「そうです。そこのやつです。」


そのワープポイントに辿り着くまでの通路的なものが洞窟なのだが、そこもちょっとしたダンジョンになっており、モグラや蝙蝠のような不人気モンスターがうようよいる。

何故不人気かって、それぞれクセが強いからだ。

モグラ風のモグゴンは、土に潜って別の場所から現れて攻撃してくるし、黒く棘の生えた不気味な植物(?)モンスターのサボンは遠くから種のようなものを飛ばしてくる。

シャドウエッジは動かず、洞窟の壁と同じような色のモンスターで、アクティブじゃないので気付かずに通り過ぎてしまう。

ミラバドは蝙蝠のようなモンスターで、通称大剣(ソロ)殺し。

他のモンスターがソロ向けなのに対し、このミラバドは種類問わずに周囲のモンスターを・・・植物モンスターのはずのサボンであろうとも構わず呼び集めるのだ。


このサブは、現在、そこでの苦行・・・レベル上げの真っ只中だ。

まぁ死んだらどうなるか分からないので、行く予定はないけども。


買い取り額は、いい値段になった。

全部売り払ったわけじゃなく、1つずつ売っただけで、今日の収支をプラスにしてしまった。

恐ろしかったので、とりあえず買い取りはそれだけにしておいた。


解体については、クエストの発注はできるものの、解体するモンスターによるので相場というのは無いそうだ。

都度、聞こうと思う。


で、だ。


俺は、振り返り、待ってましたとばかりにその男は不敵に笑う。


俺は開口一番、男に尋ねた。


「お前は、プレイヤーか?」

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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