歩きたくないでござる(仮)
書き途中です。
雨でじわじわ延びてたけど、これからちょっとツーリング行って来ます。
濡れたマンホールという国の仕掛けた罠に掛からないよう、安全運転で^^
移動を開始する事しばし。
俺が通過した事に気付いたティティが慌てて追って来たようだ。
スザクを鳴かしっぱなしにしてくれれば、すぐに気付けたのだが、流石に岩や木の影に潜んでる奴を見つけるのは難しいよ。
いや、変にモンスターを引き寄せたら不味いってのは分かるよ。うん、理解してる。
だから、俺が通過したのは仕方ないだろって言いたいんだ。
「・・・・・。」
もちろん、悪かったとは思ってるよ!
しかし、敵に気付かれないって事は、味方にも気付かれ難いって事だろう?
合流すると、マリッサの頭の上で、スザクが膨らんでいた。
怖かったのか?興奮状態にあるらしいって事しか分からないな。
「おかえり。どうなったのかしら。」
「!!・・コケ!コケェッ!!」
マリッサさんは通常営業である。スザクはジャンプして俺の頭に飛んできた。
・・・本当に器用になったな。ちょっとマリッサが痛そうにしてんじゃねーか。
謝れと言っても喋れないしなぁ。
「ただいま?とりあえず、ルフ鳥は何とかなったよ。
ハイランドウルフの方も、とりあえず問題ない。素材は諦めてくれ。」
とりあえず、俺の方の現状を報告する。
素材の事を言うと、アーディがガックリと肩を落とした。
すまんな、ベア系の素材ははハイランドウルフの腹の中だ。
まぁ、伝説の鳥が手に入ったので、そっちで手を打ってくれ。
・・・ここでは出せないので、ノルタークに戻ってから見せる事になるが。
「それより、そっちはどうなったんだ?」
「私達は現場で待機してただけなのよ。下手に動くのは危険だと判断したわ。」
おそらく、マリッサさんは正しい。遭難した時も下手に動くなって言うしな。
まぁ、逆に動いた事で助かったという事例もあるが、それは特例と見ていいだろう。
ローグリアム達を見やる。
「俺達は、ブリジットと合流して手当てをした後・・・手当てには少し時間が掛かったが、真っ直ぐ合流に向かった。だから俺は何も見ていない。」
おい?何だ今の「何か見たけど黙秘します」的な内容は?
含むところありまくりじゃねーか。
湿った視線を送ると、動揺を隠し切れずに目を逸らしやがった。
「ふむ・・・・・。とりあえず、全員無事だった事だし、良しとするか。
今日はもう時間が無いし、町に戻るぞ。」
「・・また歩くんですかぁ?」
当たり前だろ。ってかブリジット、剣はどうした。
俺が言えた事じゃないが、さすがに無防備過ぎるだろう。
それとも、本気で歩けないのか?HPポットのあるこの世界で?
そんなに重症には見えないが・・・。
捻挫とかならともかく、骨折とかしてたら回復に時間が掛かるのかもしれないな。
「じゃぁ、ここで野営するか?」
「帰ります!わーい、おうちに帰れて嬉しいなぁ!」
何が言いたいんだ・・・。
・・一応、乗り物も無いではないけど・・馬車以外を見た事が無いし、出さないほうがいいだろう。
このキャラには持たせてないしな。
「あれ、嫌がらせじゃなくて、良かれと思って言っているのよ。
嘘でも冗談でも無くて、本気よ。しかも、ただの善意なのだから恐ろしいわ。」
「えっ、こんな場所で野営とか、死ねって言ってるようなもんだろ。」
滅茶苦茶言いやがる。だって、歩くのきつそうだし・・。
あ、担いで行けって事なのか?
男が3人いるのだから、交代で行けばできなくも・・・。
「今、何か納得したような顔したでしょ。十中八九、斜め上の解釈をしているのよ。
またおかしな事を言い出すから、覚悟しておきなさい。」
んなアホな。俺は当然の結論を出した筈だ。
何の覚悟が必要なんだよ。斜め上でもないし、当然、おかしな事など言う筈もない。
「俺とアーディとローグリアムが交代制で、休憩しながらゆっくり行こう。」
「歩きます、歩きます。大丈夫ですからっ。」
大丈夫なのかよっ。まぁ、大丈夫なら・・行こうか?
俺が歩こうとすると、そっとマリッサが止める。
話はまだ終わっていないって?
「ローグリアム・・ 長ったらしい名前ね。普通の対応を教えてあげてくれるかしら?」
長ったらしい名前と言われたせいか微妙な顔をしながら、ローグリアムはブリジットに向き直る。
そのうち、俺やギルディートみたいに適当に略されるんだぜ。
「戻ったら甘いものでも奢ってやるから、もう少し頑張ろうな。」
「っ・・ 頑張るわ。」
「こうよ。」
いや、おかしいだろ?!根本的な解決になってないよな?
それでいいの???これが普通なの??
「普通だな。」「普通。」「普通ね。」
え、でも何も解決してないよね?単なる精神論だよね?
普通、普通と連呼されて、ローグリアムは地味に凹んでいく。
いや、そこ落ち込むところじゃないだろ。普通を求められたんだから、間違いでは無い筈だ。
それより、今のは何なの?甘いものでやる気が出たの?
甘いものって高級品?それともものすごい回復するとか?
「アーディ。やりなさい。」
「俺?! ・・・んー・・っと、うちの傭兵団なら・・・そうだな。
『全員が無事に戻った祝いだ、飲むぞ。もちろん俺の奢りだ。さっさと帰って飯にするぞォ!』・・かな?」
「おお・・いいですね、早く帰ろうって気が沸いて来ます!」
「肉って言ったら100点だった。」
「甘いものって言ったら100点だった。」
「コココケコッコ、コッココ、ココケコココ。」
今のは団長の真似か?
でも、やっぱり抜本的な解決策ではないよね。
歩けないって問題に対して、何も解決していない。
「そもそも、ブリジットは『歩けない』と言ったのではないわ。
『また歩くのか』と、つまり、『歩く事に苦を感じるけど、歩けない訳ではない』のだわ。」
「すみません、本当にすみません。」
確かに、言われてみればそうかもしれない。
俺が勝手に解釈して、大げさにしてしまったのだ。
ちょっと悪い事をしたかもしれない。
「それに、リフレができる事を、他の人もできるとは限らないわ。
ブリジットのフォローをした分、誰かが無理をして動けなくなったら、どうするつもりだったのかしら。」
ブリジットがめちゃくちゃ恐縮してんじゃねーか。どうするもこうするも・・そうだな。
超・聖水があるだろ。・・・普段ならブリジットの能力で何とかなるかもしれないが、大っぴらには使えないので、補助魔法が込められていたら役に立つ筈だ。
乗り物があるだろ。これも、色々と癖があるし、このキャラの乗り物はゲーム時代に預かり所に預けてしまったので、サブキャラに変わらないといけないというリスクがある。
が、ブリジットの徒歩よりはマシな速度が出る可能性は十分あるし、何しろ乗り物なので疲れない。
「切り札を切るな。」
「・・・そうね。貴方の場合、そうなるわよね。マトモに聞いた私が馬鹿だったのよ。」
え、何この空気?俺、何か間違った事を言ったか?
全員が「ヤレヤレ」とでも言いたげに首を振る中、俺は1人1人の顔を見ては首を傾げるのであった。




