け、決着?(仮)
書き途中です。
更新が滞って本当にすまん。
「うおおおおおおおお!!!」
いい加減、地面が近づいてきた頃、ましゅまるが俺の服を掴んだ。
何だかんだで俺を心配してくれているんだな。このツンデレさんめ。
ビリィッ!
「・・・・・」
「ノォォオオオオッ?!」
防具でも何でもない、普通の服である。
そして、ましゅまるの足には鋭い爪がある。というか、鋭い爪しかない。
そりゃ、この高速落下を受け止められる筈も無いよね。
「あああああっ」
バキバキ、メギメリ、ガツン、ボトリ。
木がクッションになって・・というか、普通なら串刺しになってもいかしくないだろってぐらい凄まじい衝撃だったが、なんとか耐える事ができた。
俺の服は犠牲になったのだ・・・。
着地の姿勢を選べなかったので、俺は無様に地面に転がっている。
息が・・・あ、できるようになった。マジで痛い。骨が折れたかもしれない。吐きそう。
意識はしっかりしてるし、ヤバイ系のダメージは無いだろう。
そうだ、ポット。アイテムボックスからHPポットを取り出す。
瓶を開けようとして、手が震えているのに気が付いた。
・・・怖かったもんなぁ。
覚束無い手付きで瓶の蓋を外す。
蓋は、それこそ振ったら零れそうなくらいの簡易的なものなので、すぐに開けられた。が。
ぶへっ。ゲホッ、ゲホッ。横たわったままなせいもあり、上手く飲めない。
いいや、掛けても使えるやつだし。零しながら、ゆっくり飲む。・・・喉を通らねぇ。
呼吸がし難かったので、一旦吐き出す。勿体無いが仕方がない。
深呼吸。
「はっ、はっ、ふぅ・・・、」
思ったより一杯一杯だったらしい。
呼吸を落ち着けてから、まだ震える手を無理やり押さえ込み、もう一度飲み込んだ。
・・・・・。
うん、いける。
さて、そういえば、ましゅまるは・・・?
ルフ鳥を咥えて振り回していやがった。
そのドヤ顔やめろ。
送還:ましゅまる
呆然とした顔で送還されてったが、火を吐きながら飼い主を追い回すペットなど知らん。
肉なら今度やるから、とりあえず帰っておいてくれ。
さて、ルフ鳥はアイテムボックスに入るかな?
ああ、さっきハイランド系を全部放出したから、余裕があるわ。OK。
軽く体を拭いて、服も着た。
心の平穏の為には必要なのだ。それくらい、許されるだろう。
・・・ルフ鳥の匂いが手に付いて落ちなかった。
急ぎだし、石鹸で手を、とか言ってる場合じゃないな。元の場所に戻ろう。
・・・ちょっと遠そうだけど。
スキル:疾風
とっくに効果時間の切れていたスキルを掛け直して歩き出す。
うん、まだ体が落ち着いてない。足もガクガクしてるし、若干ふらつく訳だ。
ゆっくり歩くが、まぁスキル効果もあるし、そこそこの速度が出てる筈だ。
午後、それも結構日が傾いてきている。暗くはなっていないが、あのペースなら、もう帰路に就かないと深夜になってしまう。
結局、暗黒洞窟どころじゃなくなってしまったな。
だんだん落ち着いてきたっぽい。
足取りもしっかりしてきたし、手の震えも治まった・・・ように思う。
体調があまり思わしくないのは気のせいか?
HPポットをもう少し使う。・・・ああ、HPが減ってたみたいだな。
なんかだいぶ楽になったわ。
調子に乗ってがぶ飲みしてみたが、それ以上は良くはならなかった。
何か、他の数値が減ってるみたいだな。・・・SAN値か?
とりあえず、解体してた場所に戻ってみたが、そこにはハイランドウルフの群れがいるだけだった。
「・・・・・。」
「「「「「「・・・・・・・・。」」」」」」
お食事中でしたか、失礼しましたー。
って訳にはいかないのかね?
あの時とは違い、ボスっぽい一回り・・いや、二回りは大きなハイランドウルフが・・
うん?ハイランドファング?・・また見たことの無いモンスターだ。
そいつが仲間を庇うように前に出た。
「食事の邪魔はしないから、通してくれんかね?」
言葉が通じる筈も無いが、言ってみる。
これだけの数を相手するのは面倒臭い。
が、襲って来るなら話は別である。
「・・・敵対の意思は無いと?」
シャベッタァァーー?!
「な、仲間に手を出してないなら、そのつもりは無いよ。
すでに腹の中だったりしないよな?」
動揺を押し隠しつつ、受け答える。むしろ、話ができるなら好都合だ。
ついでに、安否の確認もさせてもらう。
「ああ。お前達に手を出すのはリスクが高過ぎると判断した。
この獲物は放棄したようだから頂いた。我々も後には退けぬのだ。」
獣の癖に頭の良さそうな言い回しをする。
まぁ、ハイランドウルフの群れに襲われてないなら、生存率はグッと上がる。
こいつの言葉を信用するなら、とりあえずは安心していいだろう。
「放棄・・まぁ、肉は重いし、内臓なんかは一部を除いて捨てていくつもりだったから問題ないけど・・・。」
「痛み入る。」
獣の癖に頭の良さそうな物言いをする。
いや、そうじゃなくてだな。
「本当に、仲間には手を出してないんだな?」
「うむ。美味そうな鳥が逸れていたので、『それだけでも食いたい』と言う仲間を必死で宥めたのだ。間違いは無い。」
スザク・・危なかったな。あいつ、逸れてんのかよ?
あいつ単体だとマリッサより数倍危ない。数倍じゃ利かないかもしれない。
十数倍?数十倍?とにかく、レベル1の勇者の前にスライムを置くよりも危険である。
つまり、何が言いたいのかと言うと・・餌でしかない。
「今は合流しておるようだが。」
「・・!匂いで分かるのか?」
「うむ。お主以外は全員、合流しているようだぞ。おそらくだが、鼻の利く仲間がおるのではないか?
無事のようだから確認して来るといい。我々は手を出しておらぬ。」
さすがに狼系は鼻が良い。風向きのせいもあるのか?
こいつの言う「鼻の利く仲間」とはティティの事だろう。あいつも狼系だし。多分。
とにかく良かった。奴らが合流してるなら、ハイランドベアに襲われても確実に対処できるからな。
よもや、前みたいに囲まれるような事も無いだろう。
「我々は手を出してはおらぬっ。」
わかったから尻尾を巻くな。部下たちが怯えてるだろ。
腹を見せてる奴までいるぞ。ほら、俺は武装してないだろ???
とりあえず信用したから。暴力に訴えたりしないから!




