方向性の問題(仮)
文字数 777,977文字だってさ。
・・・・・惜しい!
明日~明後日、更新できないかも。
書き途中です。
「・・・・・。ねぇ。」
おかしい、ゲーム時代はもうちょっと道がちゃんとしてた筈だ。
こんなに鬱蒼と木が生い茂ってるとか・・・・・。
切り立った崖は?まだ見えないのか?
道が無くなって、目印が無いんじゃ、だいたいの方向に行くしかないじゃないか。
移動自体は順調である。
相変わらず、俺の出る幕は無い。
「ねぇってば!」
「うぐっ?!」
マリッサさんが槌の柄で防具の隙間を突いてきていた。
さすが、防具を知り尽くしたドワーフ・・・。って痛い、痛い。
やめろよな。それ。曲がりなりにも武器なんだから。
「さっきから話し掛けてるのに、どうしたのよ。まさかと思うけど、道に迷ったわけじゃないわよね?」
・・・そのまさかだったりするんだけどな。
でも、大丈夫だ。あんなの行き当たれば自然に到達するんだから。
しかし、木の密度がやばい。さっきも、あそこだ!と思ったら小高くなった丘みたいな場所だった。
「この辺りに、断崖になってる場所があってだな。道がこう・・・続いている筈なんだ。」
「迷ったのね・・・・・。」
何故バレたし。
俺が探しているのは、フィールドの仕切りのようになっている、切り立った斜面というか、壁のようなものだ。
他にも似た地形はあるというか、地形変動があったような斜面が特徴のフィールドで、迂回をしないと通れない場所が何箇所かあるが、暗黒洞窟が生えている断崖に限っては、超えられる場所が無かった筈だ。
・・・ゲームじゃないから地形も微妙に違うとか、そういう?
「引き返すか?」
俺が不安に思い始めた頃、岩の壁が見えてきた。
乗り越えられない、という程でもないのでは?という場所もあるが、見渡す限りずっと続いている。
これは・・・もしや・・・?
「これが、さっき言ってた断崖か?じゃぁ、暗黒洞窟も近いのか?」
そういう事になる。
暗黒洞窟の前は、確か広いスペースがあった筈だ。
この岩壁に早く行き当たるように進んだので、暗黒洞窟は・・こっちだな。
間違ってるって事は無いと思う。
いい加減、ブリジットが限界を迎えつつあるので、比較的ゆっくり歩いた。
「もぉ、これ、やだぁ・・・。明日もやるんですかぁ?」
おい、素が出てるぞ。
喋るだけの余裕が出てきたみたいで何よりだが、明日って?
・・・まぁ、断続的にやるメリットはあるし、今回はおそらく失敗だろうから、本気で釣るつもりなら明日以降もやった方がいい。
そこんとこ、どうなんだ?
「いい体力作りになるだろ。・・・この調子だとレベルも上がりそうだし。」
ローグリアムの「レベルが上がりそう」という言葉に反応し、嬉しそうに頷くアーディ。
「私はブリジットのお守りが大変。」
ティティはブリジットに「重いから」という理由で剣を持たされている。
いや、アイテムボックスに仕舞っておけと。それでいいのか、自称剣士さん。
「私は、リフレのお友達に興味があるわ。
ちょっとしんどいけど、それだけの価値があると思うの。
ゆっくり話してみたいのよ。きっと面白い話がたくさん聞けるわ。」
マリッサの言葉に、「うんうん」と声に出しながら目を閉じて頷くアーディ。
ちゃんと前見て歩け。
「もしいたら、紹介してくれるのよね?」
「ああ、いたらな。」
存在しないけどな。
即答したのに・・・気のない返事だったからか?その疑いの眼差しをやめろ。
居た堪れなくなるだろ。
「ココココケコココココ?コケーココココココケコ。」
すまん、スザク。何を言ってるやらさっぱりわからん。
タイミング的に、俺の友達についてか?・・・んな訳ないか。
スザクの前ではCCを自重していないし、コイツが喋れなくて良かったと思う。
まぁ、もし喋れたら、こいつの前でCCなんかしないんだけどな。
「コココケコ。」
みんな微妙な顔してんだろ。話し掛けるなよ。
ニワトリ語は通じないんだって。
お、ハイランドディアだ。
逃げて行ったな。去るものは追わず、だ。
「うおおおお!待てぇええ!!」
だから追わないんだって。
鹿に人間が追いつく訳・・・追い付けそうだな。
アーディは放っておこう。
「行かなくていいのかしら?」
「俺達は別に狩りに来た訳じゃないしな。
助けを求めて来たら考えるけど、襲って来てないモンスターを追い掛けるのは自己責任だろ。
あれ?狩りに来たんだっけ?」
よく考えたら、暗黒洞窟を目指してたのって俺だけだったんだよな。
他の奴はどういうつもりでここまで来たんだろうか?
普通に狩りか?主目的は呪術師と謎の組織・・・この謎の組織っての、不都合が多そうだな。
何か呼称を決めた方が良いだろう。
もしかしたら、情報を公開してないだけで、呼称や仮称があるかもしれないし、聞いておくとするか。
ともかく、奴らを誘き寄せるのが目的なんだけど、それ以外決めてないって事は・・・無い、よな?
「ディア系は金になるから、見かけたら狩りたい奴は多いだろう。
この人数なら無難に狩れそうだしな。」
「私はしんどいから追い付くので精一杯よ・・・。」
「余力はあるけど、ブリジットと一緒に動く。」
ギルド組はこんな感じだ。
要約すると、自分の事で一杯一杯だが、状況が許せば普通は狩る、といったところか。
「なんで追い掛けて来ないんだよ!」
つまり、タゲを取って戻ってきたアーディが文句を言うのも仕方ないのだろう。
それまでノンアクティブだったモンスターが、一撃を入れるとアクティブになるという仕様は、この世界にも当て嵌まるようだ。
普通の動物は、逃げる事を選んだら、一撃入れたって逃げ続けるだろ?
この辺りは面白いなと思う。
「アーディならやれると思って。」
適当に言ったら、全員に湿気ったような視線を送られた。
だって仕方ないだろ。方針が決まってなかったんだから。
リーダーは俺の扱いなの?そこからまず決まってないよね?
一応、ギルドに報告して、ギルドの方針としてやってるとも言えるから、、ローグリアム辺りが指揮してもいいと思うんだ。
普通は実力がある奴がリーダー?違うだろ、常識と良識のある人間がリーダーをするのが普通だろ。
残念ながら、俺は常識の方に自信が無い。
「だいたい、俺が張り切ったら挽肉にしちまうだろ。」
「・・・ああ。」
「そうね。」
「そうだな、それなら仕方が無いな。」
事実である。・・事実ではあるし、自分で言った事なのだが、何故か納得できない俺がいる。
「そんな事より、とりあえずコイツを倒すのを手伝ってくれ!」
角を振り回しての突進を躱し、足場が悪かったのかアーディが蹌踉めく。
俺達は、各々の武器をハイランドディアに向け、戦闘を開始するのであった。




