ちゃんとしたPTプレイ?
あーーーよく寝た。
慢性的に睡眠時間が足りてなかった頃は、寝溜めなんてよくしてたよな。
寝溜めは効果がない?効果の問題じゃないんだ。必要なんだよ。
俺は寝溜めに効果があると思ってる派なんだけどな。
とにかく寝不足が続いた分、仇討ちのように眠る。
寝た!!!って気がするだろ?そしたら、またしばらく頑張れるだろ。
今回は、そこまで寝不足じゃなかったし・・寝過ぎて頭痛がしたら拙いと思ったが、大丈夫だった。
ちょっとボーッとするくらいだ。
身支度を整え、飯を食う。
俺と同じくらいボーっとしている奴を連れて、マリッサが現れた。
おいおい、アーディも連れて行くのか?
もし遭遇したら声くらい掛けようととは思ってたが、危険もあるし、積極的に誘うつもりはなかったんだけど。
「急にいつもと違う事をするのは不自然なのよ。
だいたいの事情は察したけど、相手が何もリフレの情報を得てないと思うのは楽観視し過ぎよ。
バレないように注意を払った方がいいと思うわ。」
耳元で声を低くして囁く。あー、なるほど。マリッサなりの気遣いという訳か。
いつもと同じに見えるように、ねぇ。
分からんでもないが、そんなに長い事ここにいる訳でもないし、そこまで気にしなきゃいけないもんかね?
てか、俺の顔を見て言いたいことを察したり、上辺だけの説明で大体の事情を察したり、マリッサさん、やっぱりエスパーなんじゃないですかね?
「ごはん・・・。」
アーディはもう少しシャキッとしろ。
やる気あんのか?・・ってか、これから出掛ける事を把握してんのか???
「ごはんは・・?」とか言いながら、マリッサに引っ張られて行き、水場でアーディの悲鳴が上がるまで、そう時間は掛からなかった。
お馴染みの光景になりつつあるな。
アーディがようやく目を覚ましたところで、ティティと合流。
ここで、ブリジットと名乗るブリジアさんを、ティティが紹介する。
はい、よろしく、よろしくっと。
ギルドへ行き、今度はローグリアムと合流。
今度はブリジットが皆に紹介する。体面は大事なので、ちゃんと挨拶したが・・・何この茶番。
さぁ、出発するぞ、という段になって、ティティが昼食の用意をしていないという。
だが・・
「しまったー。うっかりしてたー。」
そのゆっくり系の棒読みやめろ。
俺とは打ち合わせをしてないから、確かな事は言えないが、多分これ、町の中で呪術師の目を引く為の芝居だろ。
今まで特に問題は無かったのだが、ティティの演技が酷い。
「・・・・・・。」
「あれ?ブリジットは何か忘れ物ないの?」
多分、ブリジアも何か忘れてたという事にして、町中をウロつくつもりだったのだろう。
しかし、あまりにもティティの演技が酷いせいで、思考がストップしたようだ。
・・・これ、続けんの??
「大丈夫。ささっと昼食を買って行くわよ。」
「でも・・・。」
予定を変更したようだ。妥当な選択だと思う。
ティティは自分がどれほど大根役者なのか分かってないっぽい。続けようとすんな。
「臨機応変。大丈夫。さぁ、早く早く。」
これ以上、ボロを出させまいと必死だ。
ローグリアムは沈黙を守り、マリッサはジト目で、アーディーはよく分かってない顔で見守っている。
仕方ない。助け舟を出すか。
「ティティの分くらいは俺の持ってるので賄える。
今日は初めてPTを組む奴もいるし、時間が惜しい。とりあえず行くとしよう。」
しれっとスキップを選択する。
ここで粘っても、悪い方に流れていくだけだ。無かった事にするのが一番だと思う。
そうしようとばかりに全員が賛同した。
「え、でも・・。」
「次は自分で用意しろよ。」
気安い感じでいいだろう。ティティとは友人という設定なのだから。
ティティは当初の予定とは違う行動に困惑している様子だったが、全員が動き出すと腑に落ちない様子で付いて来た。
よし、OK。
釣るという意味では致命的だが、まぁこのPTで活動したという実績を作っておけば、今後、同じように動く時に不自然さが無くなるだろう。
だから・・まぁ失敗しても、問題は無いんじゃなかろうか?
口には出さないが、呪術師と組織が常に見張ってるんでもない限り、まず釣りには失敗している筈だ。
まぁ常に見張ってたとしても、今の会話を聞かれてたら警戒される可能性がある。
会話が聞えないほど遠くで見張ってるか、見張りがアホか、たまたま見つけてくれるという可能性に賭けるしかない。
適当な会話をしながら町を出て、高原フィールドに向かう。
ゆっくり歩いたが・・・尾行は無いみたいだな。
高原フィールドに到着し、1体のハイランドベアに遭遇。
その後も1体ずつにしか遭遇しなかった。
数体に囲まれるという事は稀みたいだが、ちょっとエンカウント率は他のフィールドより高い気がする。
味方の強さだが、マリッサは戦力外。
俺をタゲったベアを攻撃させてみたんだが、見向きもされてない。
業を煮やしたマリッサは、クロスボウに持ち替え、眼球を狙うという暴挙に出た。
あれだけガン無視してたハイランドベアが、マリッサに突進して行ったので焦った。
無事、倒すことができた。
アーディはそこそこやる。
素早さと、瞬間火力を活かし、敵を翻弄するようなスタイルだ。
「これでもガノッサス傭兵団では荷物持ちやってんだ」と自慢そうに語るので、「荷物持ちって自慢になるのか?」と思わず聞いてしまった。
なるらしい。そもそも、レベルを上げないと余分な荷物を持てないので、それだけ荷物が持てるという事はエースの証なんだとか。
ほー、荷物持ちって下っ端の仕事だと思ってたよ。所変わればってやつだな。
ってか、お前ら、下っ端じゃなかったのか。
ローグリアムも、単体が相手ならいけるみたいだ。味方の人数も前よりかなり多いしな。
アーディのような素早さは無いが、ハイランドベアは動きが遅く、分かりやすいので問題ないみたいだ。
安定感があるので、アーディと同じくらいのレベルじゃないかと思われる。
ブリジットことブリジアさんは・・・。ああ、うーん・・。がんばれ。
敵と距離を詰めるのが怖いみたいだ。本来、前衛じゃないのだろう。
どう見ても剣が得意って感じじゃない。邪魔にならない程度かな。
ティティはブリジットのフォローに当たっている。
得物がナイフなので攻撃力がイマイチだが、敵の注意がブリジットに向けば急所に当てて、一気に形勢を逆転する。
うんうん、なるほど。
俺は様子を見ながらフォローに入ろうと思っていたのだが、この人数もあって、なかなか出番が無い。
ところで、思ったんだが・・・
「・・・・・前衛、多過ぎね?」
蓋を開けてみれば、マリッサが槌を握れば全員前衛という、脳筋PTだった。
ドキッ?!前衛だらけの高原探索
~ ロリもあるよ ~




