のんびり…?
宿でのんびりした。
うん。最近、ずっと忙しかったから、たまには思いっきり寛ぐのも悪くない。
まぁ、何日もってのはお断りだが。
音楽も聴けない。ゲームもできない。読み物も無い。
そんな世界で「のんびり過ごす」は、ある意味、苦行じゃないかと思う。
でも、今回に限っては、ちょっと寝不足気味だったし、ちょうどいいや。
ゴロゴロ。だらだら。
うん、硬いと思ってたこのベッドも、起きてる事を前提としたら悪くない。
ゴロゴロするには程好い硬さなのかもしれない。
スザクも元気に歩き回っている。
呪いの影響は、もう無さそうだな。
さて、マリッサは、この部屋に通路みたいなもので盗聴されてる心配は無いって言ってたな。
つまり、覗きの心配も無いという事である。
聞かれて困ることがあるなら無言でいればいい。
最大の警戒地点であるドア付近は、頑丈にガードしてある。
ということで、改めて聖水を作ってみようと思うよ。
ロニーニャさん・・というか、教会から購入した壷を取り出す。
一応、何かあった時の為に綺麗に洗ってあるので、そのまま樽の水を入れる。
おっと、いくらSTR(腕力)があるからと言って、横着したら駄目だね。
床に少し零してしまった。
スザクが「また何やってんだコイツ」みたいな感じで近寄って来る。
お前、分かってんのか?この樽、結構重いから、俺が手を滑らせたらプチッといくんだけど。
「危ないからあっちへ行きなさい。」
スザクは鳥類特有のコミカルな動きで、ククッと首を傾げる。
まぁ分からんよね。そりゃ落とさないように気を付けるけど、万が一があるだろ?
進化したから大丈夫か?・・・うーん、多分、無理そう。
しかし、シッシッと追い払うのも何だか可哀想だし、動物相手に危険度について説明するのもなぁ・・。
迷っているうちに、樽はどんどん軽くなり、壷に水が満たされていく。
「おっとっと。」
「コッコッコ。」
それは真似か?真似なのか?
樽の方が容量があったみたいで、結局、また・・今度はちょっと盛大に零すことになった。
・・・ま、まぁ石の床だし、問題ないっしょ。・・駄目かな?・・・・・拭くか。
壷に蓋があるというのも不思議な話だが、この壷には付いてるんだよ。
蓋をして、CC。さぁ、回復魔法を掛けまくるぞ!!
スキル:浄化!
スキル:浄化!
スキル:浄化ッ!!――…
・・・・・しばらくお待ちください。
よし、なんか、蜂蜜より抵抗があったというか・・疲れた気がしないでもないが、魔法に対して反応が無くなった所を見るに、聖水になったみたいだぞ。
蓋を開けてみると、ほのかに銀光を帯びているあたり、間違いなく成功である。
一応、アイテムスロットに入れて確認。うん。聖水になってるな。
さて、お次は・・・。
スキル:回復、スキル:回復、スキル:回復、スキル:回復っ、スキル:回復――…
都合により、行数を変更して早送りしています。
Nice boat.
リフレは超・聖水を手に入れた!
・・・いや、面倒くさいわ。コレ!!
CCさえできれば、魔法一発分だよ?
それを、これだけ何度も何度も込めて・・まぁ、量があるのが救いだけど、労力に見合わない気がするんだけど・・・。
いや、人前でCCをせずしてスキルが使えると思えば・・・・・悪くないか。
悪くないどころじゃない。めっちゃいいじゃん。
うん?
これ、もしかして、補助魔法を込めたら、自分に補助魔法が掛けられるんじゃね?
もし、そうだとすると、この壷、結構すごいツールなんじゃ・・。
怪しい宗教の壷なのに。
怪しい宗教の壷なのに……ッ!!
「・・・・・買い占めようか?」
「コケ?」
いや、まだだ。本当にそれができるかどうか分からない。
できると分かってから決めるべきだ。うん。
その後、色々試して、本気で有能なアイテムなのだと改めて知る事になる。
それはさて置き。
「おかしい。町の中では回復速度が速い筈なのに、なんだこの疲労感は・・・。」
MP切れって事はないだろう。
いや、回復速度を速める装備はみんな外れてるし、あり得るのか?
ちょっと休・・・ 同じ轍は踏まない。ちゃんとCCしてから休むぞ。
俺はリフレ・・じゃなくて、リーフレッドに戻ってから、ベッドに倒れこむようにして寝そべるのだった。
あれ?今、CC:リフレって念じたような気がしたけど・・
まぁ、ちゃんとできたからいいか。ともかく今はどうでもいいや。
おやすみなさい・・・。
俺は、爆睡した後、猛烈な空腹を感じて起き、食堂で夕飯を食った。
2~3人前くらい食ったと思う。ちょっとウトウトして、店主に心配されたような記憶はある。
が、寝惚けててよく覚えてないんだよな。
食べ終えたら、そのまま就寝。
そして、次は朝が来るまで起きる事は無く――。
翌朝、寝桶を出し忘れたスザクに、超至近距離で鳴き声を浴びせられるのであった。




