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お部屋のチェック

ティティはともかくとして。

何故ブリジアさんが付いて来たのか?


俺は、ティティとブリジアさんが部屋を取り、その部屋に案内された。


「冒険者をしている時は、ブリジットと名乗っているわ。

ここでなら、回復魔法が使えるから。何かあったら、必ず頼りなさい?」


どうやら、服装を変えると喋り方まで変わってしまうらしい。

ブリジアさんは、芯の強い優しい雰囲気の女性だと思ったのだが、ブリジットさんだと様子がガラリと変わる。

酒とかが好きそうな、勝気で世話好きの姉御といった感じになるのだ。

まるで多重人格者のようである。

教会(仕事)と冒険者プライベートは分けてます的なやつだろうか?


「あ、それはどうも。」


助かるのは間違いないので、軽くだが礼を言っておく。

俺の為に逗留とうりゅうしてくれているんだろうけど、頼んだ訳ではないし、まだ世話になってないからな。

内緒話がある時はこの部屋を利用するという事になった。

ティティとブリジア・・ブリジットさんは、潜む場所が無いか、そこら中をひっくり返して回ってた。

ベッドなどの家具を動かして、壁や天井まで叩いて回るのだから、その周到さが伺えるというものである。

潜伏って大変なんだなぁ。


「何言ってるんですか。常識ですよ。

中には、わざと隠し通路を作って、情報を売るような宿もあるんですから。」


「基礎の基礎。2~3人の部屋が特に怪しい。」


ブリジアさんが思わず素に戻るほど、基礎的な事なのだろうか。ってかこっちが素なのか?

ティティは隠れるのは苦手だけど、一応、諜報系の仕事をしているので、そういう人の常識はアテにならないな。

後でマリッサに聞こう。


2~3人というのは、他の人との会話で聞き取れないという事の少ない人数なのだそうだ。

なるほど、確かに独り言で重要な情報や秘密を喋り捲る奴はいないだろう。

4人以上だと、2人ずつで喋ったりと聞き取る事も大変だし、そんな人数の泊まれる大部屋というのは珍しいのだという。

言われてみると、確かにビジネスホテルはダブルかツインかシングルという三択で、それ以上の人数で泊まるなら別に部屋を取る事になるよな。

旅館とかなら布団を敷けるだけ泊まれたりするんだけど、こっちはベッドの文化だしな。


「これは、盗聴の魔道具が仕掛けられていないか探す魔道具。でも、その前に、隠蔽の効果のある魔道具が無いかを探す魔道具を使います。」


どうやら、こっちが素みたいだ。

それで冒険者の格好って恥ずかしく無いのかな?

この世界にコスプレって概念は無さそうだし、別に恥ずかしくはないか。


えらく本格的に部屋を改める二人をぼんやり眺めていると、暇そうに見えたのか、別の魔道具を見せてくれた。


「これは秘事の魔道具よ。これを使って耳に音を届けると、小声でも十分届き、周囲には漏れにくいの。」


こんどはブリジットバージョンか。キャラが安定してないが大丈夫か?

それよりも魔道具だ。ただの筒に見えるが・・・。

相手が話してる時はここに耳を当てて聞き、話す時は逆に相手に耳を当てさせて、そのまま話すのか。


・・・糸電話じゃねーか。


この筒の中で、コップとコップがピンと張られた糸によって繋がっているのを幻視した。

まぁ、魔道具なのだから、そのまま糸電話って事は無いだろうが。


「これ、安かったと思ったら、仕切りの中にぴんと張った糸があるだけの構造なのよ。

修理をする時に見せてもらったんだけど、特殊な金属とかも使われてなくて、革も薄い余ったものを使ってるみたい。

中身を知っちゃうと残念な事って、たまにあるわよね。」


「まるっきり糸電話じゃねーか!」


思わずツッコんでしまった。・・失礼。

ブリジットさんは「ふふっ」と笑うと、その手に持っていた別の魔道具を起動していた。

この部屋には、盗聴器も、盗聴器の存在を隠すような機器も眠ってはいなかったようだ。良かった。

まぁ、機械ではなくて魔道具なんだけどね。


さて、昼飯の時間はとうに過ぎて、今は午後・・・そうだな、3時くらいだと思われる。

全員、昼食を摂っていなかった。俺は朝食すらも食ってないぜ。

俺の腹の虫が盛大に鳴ったところで、軽く食事でもって事になった。


外に食べに行くには準備が足りていないので、今日のところは宿で食事である。


それはいい。良くも無いが、許容範囲だ。

まずいメニューは増えたし、味の改良も済んでいる。それに何より安くて量がある。

だが。


[旅人、リフレが我が宿に伝えたレシピ。

 彼は、本当の味を教えてくれた。]


・・・・・。


こっち見んな。


人目に付かないように、別々に行動するんだろ?少なくとも、さっき、そういう約束をして食堂に来た筈だ。

お互いの部屋に訪れる時以外は、他人として振舞う事になっている。


ティティは部屋の用心の為に残った。後でブリジットと交代するそうだ。

それぞれ別々のタイミングで席に着き、注文する。

もちろん、がっつり行こうと思っている。

久しぶりにステーキだ。ああ、米で食いたい。

カレーの時に買い込んだし、生の米も持ってはいるんだが、さすがに店でモリモリ食うのはマナーに欠けるよね。


うん、今度、ステーキ丼にしよう。

持ち帰り用(テイクアウト)に作ってくれと皿を差し出したら、何故か感動された。

そういえば、俺、ここの料理をけちょんけちょんにけなした事があるからな。

でも、ここのステーキ焼き加減はなかなか良いんだよ。

最近はソースの開発に力を入れていて、味もかなり向上してきたしな。


カレー以外はずっとパンの生活をしてたら、やっぱ米に飢えて来たわ。

パンやパスタは好きだし、毎日でも問題ない。

米なんて無くてもやっていけると思ってたけど、やっぱり俺も日本人だったらしい。

ステーキソースもおろし醤油・もしくはおろしポン酢系が食いたいと思う。

なんだろう、この「これじゃない」感。


味的にも向上したし、肉質は変わってないものの、しっかりと筋切すじきりがされていて、歯切れがいい。

下味も濃すぎず、ベストと言っていいだろう。絡むソースもいい。

程よい硬さと、食べ応えで、肉を思いっ切り味わえるのだが、腹は満たされても心が満たされないんだよな。

美味いんだけどな・・・。

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▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
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