表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
303/430

お断りします

ちなみにこのブリジアさん、ヒーラーをやっていて呪いに罹り、姿を隠している。

回復したものの、ランダムに呪いを振りまく相手のようにランダムに回復魔法を掛ける訳にはいかない。

何しろ、回復魔法は特殊な光のエフェクト・・じゃなかった、祝福が出現し、使った事が一目瞭然なのだ。

そんな事をしたら、集中的に呪いをもらって聖女の二の舞である。

顔を隠し、ギルドの要請を受けて護衛付きで解呪の仕事をする傍ら、別人になりすまして生活をしているのだという。


話を聞いてみたのだが、まるで犯罪者かのような潜伏生活を送っていた。

出入りは礼拝者や修道女に扮し、用のない日は外に出ず、他人と可能な限り接触しない。

ヒーラーは呪術師に狙われる対象となっており、堂々としていたら、あっという間に重い呪病に罹ってしまうのだそうだ。

なので、この教会が現在、ヒーラー不在という事になっている(・・・・・・・)

実際には有事に備え、孤児や修道女に紛れて、何人かが残っているらしい。

時折、呪病をもらってくるが、ランダム呪術に引っかかったか、教会関係者は重点的に狙われているとしか思えないそうだ。

老婆に扮して車椅子で教会の敷地を散歩したり、人数を減らしたり、一度は葬儀を行っている振りをしたりして、お茶を濁してみたそうだが、どうにも不穏である。


・・・え?これから、次の討伐戦まで、ブリジアさんと一緒に潜伏生活をしろって?

そんな馬鹿な。冗談を言うならもっと分かり易いのにしてくれ。

え?本気なの?マリッサ達はどうすんのさ。


「向こうには私が付いている。必ず守るし、毎日ギルドに報告する。」


ティティが発言するが、何のこっちゃ分からんな。


「つまり、ギルドの護衛を通して、お互いの動きを知ることができるという事だ。

ティティは潜伏が苦手なので、こちらに付ける事はできないが、マリッサの護衛と護衛任務のリーダーを任せる事に決まった。

アーディにも別の護衛が付くし、お前さんにも・・  コホン。入ってきなさい。

・・・紹介しよう。ローグリアムだ。」


なんか護衛を付けられたと思ったら、どっかで見た人だった。

というか、前に女性と一緒にハイランドベアに囲まれてた兄ちゃんだった。

入ってくるなり、ギルマスのステータス異常・・つまり呪われている事を告げ、ブリジアが慌てた様子でキュアを繰り返していた。

俺が呪われてるってギルドに報告したのもこいつかもしれない。


「よ、よう。久しぶりだな。」


「・・・・・よろしくお願いします?」


前に会った時は、おそらく俺の後を尾行していたんだと思うけど、引き離されて見失った上に、モンスターに襲われて顔色を悪くしてたんだよな。

それを、俺が助けたと。兄ちゃん、改めローグリアムが気まずそうに頭を掻く。だって、俺の方が強いもんな。

てか、護衛対象にかなわない護衛ってどうかと思うよ?


それはまぁ置いておくとして、俺は潜伏生活に同意してないんだけど?


「今、お前に死なれたら困るんだ。頼むから一旦、隠れてくれ!何なら可愛い女の子を付けるから!」


可愛い女の子ってティティの事か?それとも前にローグリアムと行動してた女性の事か?

女の子は好きだが、そういう問題じゃねーんだよ。


「俺はともかく、目印のスザクがいるんだから、どう潜んでも目立ちますよ。

数時間、せいぜい1日までなら我慢できますけど、何もせずに何日も隠れているなんて、とてもじゃないけどできません。

だったら、またコランダにでも・・・。」


「ギリギリまで動向が掴めないのは、ギルドとしては非常に不安なんだ。

目に付くところに居て欲しいんだが・・・。」


うーん、討伐の予行演習に行ったのが一昨日おとといか。

5日後に討伐クエストがあるから・・・4泊5日の潜伏生活となる訳か。

潜伏中は・・何かこう、暇つぶしになるような物はあるのかな?

祈り?祈りは暇つぶしに入りません!!


ゲームとか無いの?そんな嗜好品が教会にあるわけがない?

本とか・・・。聖書?・・いらねぇ。


とにかく却下した。

それに、だ。


「俺が隠れたとして、他の誰かが狙われる可能性が上がるだろ?

主要メンバーが倒れても、討伐に差し支える可能性は十分ある。

だったら、標的である俺がウロウロして、怪しい奴を洗い出した方が効率的じゃないか?」


そう、例えば、またマリッサが狙われるという危険性だ。

今、無事だからといって、将来的にも大丈夫という保障は無いのだ。


それで、というか。思い付いたのが、思い切り目障りな俺がウロウロしてれば、もちろん標的は俺になるだろ?

で、どうやるかは分からんが、とにかく呪う訳だ。

でも、俺はステータスの関係で、おそらく呪病に罹りにくいだろうし、まぁAGL(アジリティ)(敏捷性)型なので、かわさなければ意味が無いのかもしれないが、簡単には倒れない筈だ。

相手はムキになるだろう。

執拗に俺を狙ってくれれば、逆に周囲は安全になるという理屈だ。


もちろん、自分が狙われるのは気分の良いものではない。

だが、周囲が狙われるのを思えば、ステータスでのゴリ押しができる俺が狙われた方が、まだマシというものである。

相手の技術によっては、ギルディートやアーディと模擬線をした時のように苦戦するかもしれない。

だが、レベル差は覆らない。


仮に、そう仮に聖女さんが伝説のレベル100だったとして、数日持ったのだから、倍の俺なら安全域も広いだろう。

MP値はそこそこある筈だし、MPポットも周辺の品揃えを見た感じだと、相手の想定よりずっと良いものを持っている筈だ。

そして、最終手段の万能薬がある。

回復魔法と違い、MP0でも使えるのだから、これ以上は無いお守りだ。


というわけで、ギルマスを説得して、呪術師を釣り上げる事にした。

かなり渋られたが、無理をしない事と、俺に秘策があるという事を説明して、なんとか折れてもらった。

呪術師を釣るという話は内密にしておくように言われた。どこで漏れるか分からないからな。


ギルマスがかなり慎重になっていて、人気ひとけの無い所に行くなだの、1人になるなだの、人ごみは避けろだの・・・どうしろってんだ。


手練てだれのギルド員か、信頼できる腕のいい冒険者を付けてくれるって話だが、影から俺を見守ってくれるらしい。

気軽に遊びに行けねーじゃねーか。・・まぁ、しばらく夜の街に行く気は無いんだが。


まぁ、上手くいくといいな。

何故に他人事かって?いや・・だって捕まえるのは俺の仕事じゃないし。

俺は、いつも通りに過ごして、敵が食い付いてくるのを待つだけだしな。


「囮ってのは一番危険な役割なんだぞ?分かっているのか?」


そりゃ餌役なんだから、食い付かれたら大変な事ですよね。でも回復する餌だったら問題無い訳で・・・。

その辺もちょっと、調整しないといけないんだけど、無理だったら部屋から出ないし。


ギルマスのおっさんは、俺が楽観的過ぎると頭を抱えているようだが、俺の手札は見せる訳にはいかないからな・・・。


とにかく、4・5日の間、何もせずに教会の地下に匿ってもらって、食ってくそして寝るだけの日々なんて、俺には無理だよ。


スザクさえいなければ、CC(キャラチェンジ)で堂々と潜めるが、そういう訳にもいかないしな。


・・・・・・。


で、だ。


ブリジアさんが何故か宿に付いて来た。

冒険者をしているというのは嘘ではないらしく、しかも魔法ではなく剣を使うとかで、動きやすそうな服装をしている。

髪をアップにすると、髪が刈り上げてある部分が目に付き、とてもではないが教会で会ったヒーラーさんと同一人物は思えない。

これで、鎧でも着けていれば、かなり違ったと思うが、町の中では装備が勝手にアイテムボックスに戻ってしまう仕様なので、それはできない。

それでも、まるでキャラチェンジのような見事さであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▽お知らせ▽

◆高頻度で最終ページ《(仮)タイトル》は書き込み中。
加筆・修正により、内容が倍以上増える事があります。
たまに前ページの内容を見て加筆する事もあります。

◆後追い修正の進行状況:現在152ページ。H.30 5/5

◆作者が混乱してきたので、時間がある時にタイトルに日数を入れます。
あとがきに解説も入れていくつもりです。いや、無理かもしれん。
がんばるー(棒読み)

▽ぼやき▽
3月には書き終えるつもりだったのに、5月になってもまだ序盤ってどういう事だ?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ